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高校生の娘の交際相手は、大きく年の離れた塾の先生…子どもの不安定な心につけ込む「グルーミング」の恐怖を描いたコミックエッセイ【書評】

  • 2026.8.29

【漫画】本編を読む

『娘をグルーミングする先生』(のむ吉:著、斉藤章佳 西川口榎本クリニック副院長(精神保健福祉士・社会福祉士):監修/KADOKAWA)は、心に傷を抱えた高校生の少女に近づき、その信頼につけ込んでいく大人の恐ろしさを描いたコミックである。親身で信頼できる「先生」が、なぜ少女にとって特別な存在になってしまったのか。子どもを不純な目的で手懐ける「グルーミング」の怖さを、母娘の視点から描き出している。

主人公の佐倉真美は、高校1年生の娘・小春を女手ひとつで育ててきた。進学校へ入った小春の成績が落ちていることを心配し、塾へ通わせることにする。そこで塾長を務めていたのが、小春が小学生だった頃に副担任をしていた森だった。熱心に向き合ってくれる彼のおかげで小春の成績は上昇し、真美は安心していたのだが、ある日、小春から「ママに会わせたい人がいる」と告げられる。そして現れたのは、信頼していた森だった。

なぜ娘が大人の男性、それもかつての教師と交際することになったのか。母親なら激しく動揺するのも当然だ。本作で描かれる「グルーミング」の怖さは、両親の離婚で心に傷を抱えながらずっと母親に気をつかってきた小春に対し、森は自分の欲求のために小春を理解してあげたような姿を見せ、距離を縮めていったところだ。そのため小春は「被害を受けている」という認識が持てなかったのである。

さらに苦しいのは、娘を守ろうとすればするほど、母娘の気持ちが離れてしまうことだ。真美からすれば普通ではない関係に見えても、小春にとって森は「自分を理解してくれる大切な人」であり、母親が否定すれば小春はますます森に傾いてしまうかもしれない。大切な娘を救いたいのに、強引に引き離すだけでは解決できない。この状況に真美はどう向き合っていくのか。

この大人は、もしくはこの人は信頼できそう、という判断は危険である。本作は、子どもの純粋な気持ちにつけ込んで支配関係を築いていくグルーミングの怖さを知るとともに、子どものSOSをどう見つけ、どう予防すべきかを考えさせてくれる作品である。

文=甲斐ハヤト

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