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【60代エンタメ】岡本圭人主演『月を抱く人魚』開幕 250年読み継がれる『雨月物語』が現代劇としてよみがえる

  • 2026.8.8

江戸時代のベストセラー『雨月物語』を現代劇として翻案した『月を抱く人魚―雨月物語より―』が、8月7日から東京・シアタートラムで開幕します。初日に先駆けて行われたフォトコールと取材会では、主演の岡本圭人さんをはじめ、南沢奈央さん、松岡依都美さん、相島一之さん、脚本の鈴木アツトさん、演出の生田みゆきさんが作品への思いを語りました。

撮影:細野晋司
 
右:画家・宮木を演じる南沢奈央さん、左:主人公・絵画モデルである勝四郎を演じる岡本圭人さん。勝四郎はモデルとして、宮木のもとを訪れる。

1776年に刊行された上田秋成の『雨月物語』は、幽霊や妖怪、人間の業を描いた全9篇から成る短編集で、日本文学を代表する古典のひとつです。刊行250年を迎える2026年、その世界が現代劇として新たによみがえります。
 
脚本は鈴木アツトさん、演出は生田みゆきさん。日本文化ならではの幽玄な美しさをベースにしながら、現代に生きる人々の孤独や渇望、人間の執着や悲しみを描き出します。
 
主人公・勝四郎を演じるのは岡本圭人さん。勝四郎を幻想の世界へ導く日本画家・宮木を南沢奈央さん、高名な画家・青頭金子を松岡依都美さん、その執事・丸谷を相島一之さんが演じるなど、実力派キャストが顔をそろえました。

撮影:細野晋司
 
右:高名な画家・青頭金子を演じる松岡依都美さん、左:その使用人・丸谷を演じる相島一之さん

撮影:細野晋司
 
岡本圭人さん

岡本圭人「稽古場では見えなかったものが見えた」

フォトコールを終えた岡本圭人さんは、「稽古場では見えなかったものが見えました。これも舞台の力だと思います。この景色や感情を、そのままお客様に届けられたら」と笑顔。
 
南沢奈央さんも初日への期待を「お客様の反応からまた新しい世界が見えてくるかもしれない。皆さんを幻想の世界へ一緒に連れていけるよう頑張りたい」と語りました。
 
松岡依都美さんは「稽古場では何度もディスカッションを重ねてきました。幕が開いたら、お客様の空気も感じながら、この作品を最後まで届けたい」と意気込みを語り、相島さんは「江戸時代のベストセラーを令和の時代に立ち上げました。現代的な視点も入っていますので、そこも楽しんでいただけると思います」と見どころを紹介。

撮影:細野晋司
 
右から、丸谷役/相島一之さん、勝四郎の友人・作治役/薬丸翔さん、勝四郎役/岡本圭人さん、勝四郎の友人・夢子役/鈴木結里さん

脚本の鈴木さんは「セリフを土台に、その先にあるものを見たいと思って脚本を書いています。フォトコールでは、俳優の体にキャラクターが本当に染み込んでいることを実感しました」と完成度の高さに手応えを見せます。

撮影:細野晋司
 
脚本家の鈴木アツトさん

演出の生田さんも「見てもらうことで俳優に生まれる緊張感や空間との一体感が、芝居の質をさらに高めてくれました。ぜひ多くの方とこの空気を共有したい」と語りました。

なぜ『雨月物語』だったのか

本作は、海外の優れた戯曲や古典を現代の視点で再解釈し、将来的な国際共同制作も視野に入れた世田谷パブリックシアター「あたらしい国際交流プログラム」の第3弾作品です。

撮影:細野晋司
 
演出家の生田みゆきさん

なぜ題材に『雨月物語』を選んだのかという質問に、「今回は、自分たちが培ってきた文化的な土壌をもう一度見つめ直したいという思いから、この作品がスタートしました」と、生田さん。
 
一方、鈴木さんは「現代劇なので、現代のお客様がどう楽しめるかを考えて脚本を書きました。映画『雨月物語』で描かれなかったエピソードも取り入れています。この舞台を観たあとに原作を読むと、さらに二度楽しめる作品になればと思っています」と話します。

「謎解きゲームのような作品」

俳優陣も、この作品ならではの難しさと面白さを口々に——。
 
岡本さんは「脚本はとても難しく、生田さんや鈴木さんに何度も『ここでは何が起きているのか』と質問しました。でもセリフを重ねるうちに、自分の理解を超えて世界が広がっていく感覚がありました。それが演劇の素晴らしさだと思います」と、稽古期間を振り返ります。

撮影:細野晋司

撮影:細野晋司
 
勝四郎(岡本圭人)背中には、宮木(南沢奈央)が描いた背ビレが残された

南沢さんは「現代劇らしい自然な会話の中にも、日本語の美しさを感じる文学的なセリフがあります。宮木の言葉には詩的な表現も多く、『この言葉は何を意味しているのだろう』と皆で話し合いながら稽古をしました。謎解きゲームのような作品なので、お客様にも想像を膨らませながら楽しんでいただけたら」と自らの役から作品を考察。

撮影:細野晋司
 
南沢奈央さん

松岡さんも「脚本を読んだ時は、まるで謎解きのようで、とても面白かったです。それをどう舞台に立ち上げるのか、とても楽しみでした」と打ち明けました。

撮影:細野晋司
 
松岡依都美さん

相島さんは「演劇のあの手この手が詰まっています。ちょっと怖い作品ですが、怖さはとても繊細なもの。照明、音響、美術などスタッフの仕事にもぜひ注目してほしい」とアピール。

撮影:細野晋司
 
相島一之さん

また、上半身裸で舞台に立つ場面が多い岡本さんは、肉体づくりについて質問されると、「ジムに通って食事制限もしました。この舞台は半分以上、裸足で上半身裸、ズボンだけなんです。こんな舞台はなかなかありません」と笑顔を見せ、会場を和ませる一幕もありました。
 
最後に岡本さんは、「この作品は古典と現代の架け橋であり、日本と世界、そして今と未来をつなぐ作品でもあると思っています。観る前と観た後では、お客様の中にもきっと何か変化が生まれるはずです。感情や匂い、色彩がとても鮮やかに描かれている舞台ですので、ぜひ劇場で体感していただきたいです」と締めくくりました。
 
幻想と現実が交錯する世界の中で、人間の愛や執着、孤独を描く『月を抱く人魚―雨月物語より―』。250年前の古典が現代にどのような新しい息吹を吹き込まれたのか、その答えはぜひ劇場で確かめてみてください。

撮影:細野晋司

撮影:細野晋司
 
勝四郎(岡本圭人)は背ビレの謎を追い、青頭金子(松岡依都美)を訪ねると、使用人・丸谷(相島一之)に出会う。

あたらしい国際交流プログラム 『月を抱く人魚』―雨月物語より―

あらすじ
日本画家宮木と、絵画モデル勝四郎。二人が宮木の部屋で一夜を共にしたことからこの物語は始まる。宮木はふざけて、勝四郎の背中に背ビレを描くが、翌朝、勝四郎が目覚めた時には既に彼女の姿は無かった。その後、宮木を忘れられない勝四郎は友人作治と夢子に助けを求め、宮木の部屋を再訪するが、部屋は荒れ果てており、水道や電気も通っていなかった。宮木の痕跡を探す中、見つかったのは一本の扇。そこに描かれた絵をきっかけに、勝四郎は高名な画家「青頭金子」を訪ねることを決意する。かつて自分を捨てた父・大宅から車を借り、作治と夢子とともに琵琶湖へ向かう。 琵琶湖近くの山道を抜け、青頭金子と謎めいた使用人の男・丸谷が二人で住む屋敷に辿り着く。異様な雰囲気の中、青頭と丸谷は壮絶な過去を告白する……。 上演日程
2026/08/07(金) – 2026/08/23(日) 上演日程、チケットの詳細は公式サイトをご覧ください。
https://setagaya-pt.jp/stage/32245/ キャスト・スタッフ 【出演】
岡本圭人 南沢奈央
薬丸翔 鈴木結里 上村聡
松岡依都美 相島一之 【原作】上田秋成
【脚本】鈴木アツト
【演出】生田みゆき 【美術】長田佳代子
【照明】松本永
【音楽】国広和毅
【音響】小笠原康雅
【衣裳】西原梨恵
【ヘアメイク】鎌田直樹
【擬闘】栗原直樹
【演出助手】インディー・チャン
【舞台監督】八木清市 【世田谷パブリックシアター芸術監督】白井晃 主催
公益財団法人せたがや文化財団
企画制作
世田谷パブリックシアター
後援
世田谷区
協賛
東邦ホールディングス株式会社 トヨタ自動車株式会社
協力
東急電鉄株式会社
助成
文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会

この記事を書いた人 杉村道子

カルチャー系を中心にインタビュー記事を執筆しています。趣味は歌舞伎、落語、ミュージル、ストレートプレイに小劇場と、ひたすら雑食舞台鑑賞。年に何本見ているのか、最近は怖くて数えていません。

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