1. トップ
  2. エピソード
  3. 「椅子にタオル、まるで個室」機内で座席を囲って我が物顔で過ごす乗客に、私が呆れて見ていた末路

「椅子にタオル、まるで個室」機内で座席を囲って我が物顔で過ごす乗客に、私が呆れて見ていた末路

  • 2026.8.10

機内に作られた「個室」

数年前、海外へ旅行したときの話です。長時間のフライトで、私はエコノミークラスの通路側の席に座っていました。

離陸してしばらくすると、少し前の座席で、何やらもぞもぞと動いている乗客が目に入りました。何をしているのだろうと、つい視線が向きます。

その人は、備え付けのタオルや自分の持ち物を、座席の周りにぐるりと巡らせているのです。肘掛けにも背もたれの脇にも布を掛け、まるで仕切りのように囲っていきます。何枚も重ねては角度を直し、自分だけの空間を作り上げるように、時間をかけて丁寧に仕上げていきました。

「椅子にタオル、まるで個室」

思わず、心の中でそうつぶやいてしまいました。周りには当然、ほかの乗客もいます。それでもその人は、誰の目も気にする様子がありません。

やがて囲いが完成すると、その人は靴を脱いで足を投げ出し、すっかり寛ぎ始めました。狭いはずのエコノミーの一角が、そこだけ自分の部屋のようになっています。

「ねえ、あの人すごいね」

隣の連れが、小声で私にささやきます。

「うん……あんなの、初めて見た」

私もそう返すのがやっとで、二人でそっと顔を見合わせるばかりでした。

注意も届かないまま

圧巻だったのは、着陸のときでした。シートベルト着用のサインが点いても、その人はお構いなしに立ち上がり、囲った布を畳んだり荷物を整えたりしています。周りの乗客が席に収まってじっと待つなか、その一角だけが、時間の流れから外れているようでした。

「お客様、着陸態勢に入っております。お席にお戻りいただけますか」

客室乗務員が、丁寧な口調で声をかけます。それでもその人は、悪びれる様子もなく、のんびりと手を動かし続けました。

「はい、もう少しで終わりますから」

そう軽く受け流すだけで、腰を落ち着ける気配はありません。

「恐れ入りますが、危険ですのでお早めにお願いいたします」

重ねて促されても、返事は先ほどと変わりませんでした。乗務員も強くは言えないのか、困ったような表情で、いったん持ち場へ戻っていきます。

結局その人は、自分の支度が済むまで、周りの流れとは関係なく振る舞い続けたのです。誰かが声を荒らげるわけでもなく、機内はなんとも言えない空気のまま着陸を迎えました。

席が離れていた私には、直接何かを言う立場でもありません。共有の空間で誰にも遠慮しないでいられるその堂々とした姿を、私は最後まで呆れた気持ちで見ているしかありませんでした。あの光景は、今も忘れられずに胸へ残っています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ