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映画ファンに刺さる小ネタだらけ!親友ミニオンズの映画作りに胸躍る『ミニオンズ&モンスターズ』

  • 2026.8.7

シリーズ全世界興行収入56億ドルを突破したイルミネーション・スタジオの人気作「怪盗グルー」&「ミニオンズ」。待望のシリーズ最新作『ミニオンズ&モンスターズ』が公開中だ。最強最悪のボスを探し求めるミニオンズが華やかな1920年代のハリウッドに迷い込む今作は、ミニオンズの奇想天外な大暴れや、クラシックなモンスターや映画史へのオマージュが満載のエンタテインメント超大作だ。映画ファンならより深く楽しめる本作の魅力や、筆者が見つけたイースターエッグを紹介しよう。

【画像を見る】映画作りにのめり込んでいくジェームズ、ヘンリー、エドの3人組

ボス探しの果てにミニオンズはハリウッドへ!

最強最悪のボスを求めて世界各地を放浪していたミニオンズは、“映画の都”ハリウッドにたどり着く。絵が得意で物語作りが大好きなミニオンのジェームズは、映画作りの現場に魅了されモンスター映画を企画。親友のヘンリーとエドを巻き込んで、最強最悪のボスならぬモンスターが登場する映画作りを開始する。緑色のかわいいモンスター、グーミーの案内で映画にぴったりな凶悪なモンスターを探し始めた3人は、やがて理想のモンスターに遭遇するが…。

ジェームズの映画作りの才能が爆発する! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
ジェームズの映画作りの才能が爆発する! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

今作の舞台は、ユニバーサルやパラマウントなど大手スタジオが登場し、ロマンスやシリアスドラマ、スペクタクルなど多彩なジャンルが開花していた1920年代のハリウッド。なかでもコメディは人気ジャンルで、チャーリー・チャップリンやハロルド・ロイド、バスター・キートンの三大喜劇王が人気を競い合っていた。ハチャメチャな大暴れをするミニオンを見たスタジオ幹部が、彼らを“ドタバタコメディ”の天才だと勘違いしてしまう展開は、いかにもこの時代ならではだ。

監督のマックスに出会い、映画出演をオファーされるが… [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
監督のマックスに出会い、映画出演をオファーされるが… [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

そんな1920年代は、サイレントから音声付きのトーキーへと変わる大きな転換期でもあった。パントマイムを至高のアートと考えるチャップリンがトーキー出演に抗っていたのは知られているが、ミニオン語しかしゃべれないミニオンズはどうなってしまうのか――スタジオ内のパワーバランスなど舞台裏を含め、映画史を絡めた展開は映画ファンにはたまらない。

映画作りに挑む3人と彼らを取り巻く個性的なキャラたち

【画像を見る】映画作りにのめり込んでいくジェームズ、ヘンリー、エドの3人組 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
【画像を見る】映画作りにのめり込んでいくジェームズ、ヘンリー、エドの3人組 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

本作ならではのお楽しみが、ジェームズ、ヘンリー、エドの友情ドラマだ。クリエイター気質で人を楽しませることが大好きなジェームズは、新たなボスのもとに着くたびにあの手この手でボスを喜ばせようと奔走。だがいつも裏目に出て、ボスから追いだされるはめに。そのたびにリーダーのディックから叱られるジェームズを慰め支えたのが、ヘンリーとエドだ。ほかにはない豊かなイマジネーションを持つジェームズのことを信じ尊重するヘンリーに、心優しく優れた観察力を持つエド。ジェームズがハリウッドでモンスター映画を作ろうとした時も、ヘンリーとエドはディックたち仲間と対立してまで親友をサポートする。夢に向かって突き進む3人の絆のドラマに思わず胸が熱くなる。

メインの3人組以外にも魅力的なキャラクターが続々と登場。誰もがクセ強なのはイルミネーション作品のお約束。サブキャラからチョイ役まで、一度見たら忘れられない“迷優”たちがめじろ押しだ。

リーダーのディック(中央左)率いるミニオンズは最強最悪のボス探し中 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
リーダーのディック(中央左)率いるミニオンズは最強最悪のボス探し中 [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

まずはミニオンズを率いるリーダーのディック。最強最悪のボスを探しだすため強い意志で仲間を引っ張る姿は理想的なリーダー像だが、一方でジェームズのようなはみ出し者を認めない頑固者。そんな彼の偏ったリーダーシップが、ジェームズら3人の友情をいっそう強めていく。

最初に召喚されたモンスター、グーミー [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
最初に召喚されたモンスター、グーミー [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

ジェームズたちに協力するモンスターがグーミーだ。魔法書で召喚された緑色の小さなモンスターで、低姿勢だがどこか怪しさも漂わせている。プヨプヨとした質感は、怪奇小説の巨匠H・P・ラヴクラフトの生みだしたクトゥルフ神話の怪物がモデル。そんなグーミーは、映画に登場させるモンスターとして、フィリップスとハワードという2匹のおしゃべりなモンスターの封印を解き、さらにとんでもない大物も呼びだしてしまう…。

ミニオンズがついにめぐり会った(?)最強最悪のボス候補ドート [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
ミニオンズがついにめぐり会った(?)最強最悪のボス候補ドート [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

ボス探しを継続するディックが出会うドートは、鋼鉄のボディを持つロボット型の自称エイリアン。地球侵略を声高に宣言しているが、真面目で礼儀正しく、女性を愛するハートを持っている。SF映画の名作でのちにキアヌ・リーヴス主演のリメイク版も製作された『地球の静止する日』(51)のロボット、ゴートのパロディと思われる。

ドートのモデルになったのではないか?と思われる『地球の静止する日』(51)のロボット、ゴート [c]Everett Collection/AFLO
ドートのモデルになったのではないか?と思われる『地球の静止する日』(51)のロボット、ゴート [c]Everett Collection/AFLO

ほかにもミニオンズの相談相手になる映画監督のマックスや、スタジオで絶大な権力を持つ双子の大物プロデューサーのフランク&エルウッドなど個性派キャラが登場。この時期アメリカで女性の参政権が認められたという背景を反映し女性運動家デビーがミニオンズの大活躍に絡んできたり、シークレットゲストが顔を出すなどキャラクターの見どころも多い。

女性運動家デビーはドートと恋に落ち… [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
女性運動家デビーはドートと恋に落ち… [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

ミニオンズや映画への愛や遊び心がいっぱい!

フランスのサイレント映画『月世界旅行』(1902) [c]Everett Collection/AFLO
フランスのサイレント映画『月世界旅行』(1902) [c]Everett Collection/AFLO

映画の舞台裏を描いた本作には、映画のオマージュやパロディが次々に登場する。まずは「UNIVERSAL PICTURE」の文字が地球の周りを回るユニバーサルのロゴ。映しだされた次の瞬間、フィルムを逆回ししたようにどんどん古いロゴへと遡っていく。続くイルミネーションのロゴもサイレント時代のアニメ調だ。オープニングの背景に映しだされるのは、映画やアニメーションの原点でもあるエドワード・マイブリッジの動物の連続写真や、ルイス・リュミエールの『工場の出口』(1895)、リュミエール兄弟による『ラ・シオタ駅への列車の到着』(1896)、ジョルジュ・メリエスの『月世界旅行』(1902)といったサイレント時代の名作で、どれもミニオンズがフィルムの質感に合わせて合成されている。

物語の出だしは、現代の映画博物館。『E.T.』(82)や『ジョーズ』(75)、『キング・コング』(33)、『大アマゾンの半魚人』(54)などジャンル映画の展示物に紛れ、『フライングハイ』(80)の捻じれた飛行機が置かれているのはポイント高い。

ボス探しの旅は今回も難航… [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
ボス探しの旅は今回も難航… [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

ボス探しの旅では『ベン・ハー』(59)や『シンバッド 七回目の航海』(58)を思わせる描写が盛り込まれ、ハリウッドの街に向けてミニオンズが繰り広げる騒動のくだりにはキートンの『将軍』(1926)や『キートンの蒸気船』(28)などのパロディが矢継ぎ早に登場。ほかにも『カサブランカ』(42)や『翼』(27)、『クレオパトラ』(34)など無数のオマージュが大胆に、時にはさりげなく差し込まれている。そもそもトーキー移行時のスタジオという設定自体『雨に唄えば』(52)と同じ。モンスター映画作りに邁進するジェームズも、『フランケンシュタイン』(31)を手掛けた異端の映画監督ジェームズ・ホエールからの命名だろうか。全編にちりばめられたイースターエッグを探したり、その意味に思いを馳せるのも本作のお楽しみなのだ。

『ミニオンズ&モンスターズ』は公開中! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.
『ミニオンズ&モンスターズ』は公開中! [c] Universal Studios. All Rights Reserved.

「ミニオンズ」のトレードマークであるドタバタ劇はそのままに、映画ファン目線でもお楽しみが満載の『ミニオンズ&モンスターズ』。監督は第1作『怪盗グルーの月泥棒』(10)から『怪盗グルーのミニオン大脱走』(17)までシリーズ4本を手掛け、全作品でミニオンズの声優を務めている生みの親ピエール・コフィン。9年ぶりに監督として復帰した本作は、ミニオンズや映画への愛や遊び心がたっぷり詰まったスクリーンの暗闇で味わいたい一本である。

文/神武団四郎

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