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リシェス世代の 「汗&体臭」 原因とケアを考える

  • 2026.8.6

以前に比べ、汗と体臭が目立ってきた気がする…そんな悩みを共有するリシェス世代に向けた対策を、臭気判定士資格を持ち、体臭・制汗成分の研究を進める久加亜由美さんと、皮膚ガス研究の第一人者、関根嘉香教授に、指導していただきます。

<Profile>
久加亜由美(きゅうかあゆみ)/マンダム 先端技術研究所 研究員

マンダム 先端技術研究所 ライフサイエンス研究グループ。デオドラントの基礎研究として汗・におい、殺菌や消臭などについて研究を進めている。2015年臭気判定士資格取得。

<Profile>
関根嘉香(せきねよしか)/東海大学理学部化学科 教授

慶應義塾大学大学院理工学研究科応用化学専攻修了。日立化成(現レゾナック)社などを経て現職。室内環境学会・元理事長。著書に『皮膚ガスのはなし-体臭は心と体のメッセージ-』。

体臭のタイプを知ることで効果的&効率的な予防

Sonja Pacho/Getty Images

汗と体臭を上手にコントロールするための基礎知識を、マンダム研究員の久加さんにお伺いします。

「体臭の原因は汗と皮脂と皮膚の常在細菌の3つ。汗や皮脂そのものはにおいがなく、菌がそれらを分解して増える過程でにおい成分が発生し、不快な臭いになります。汗をかきやすい部分は顔、足の裏、脇、背中と胸。皮脂分泌が多いのは胸と背中、脇、頭部。足の裏は皮脂腺がありません。個人差はありますが、これらの箇所を中心にデオドラント剤や制汗剤を使い、臭いに変わる前に汗や皮脂を拭き取ることで効率的に臭いの予防ができます」

意外なことに最近まで、人が汗をどうかくかわかっていなかったそう。それを解明したのがマンダムと大阪大学との共同研究です。

「従来の制汗剤は汗の出口にふたをするアプローチです。汗をかくメカニズムがわかったことで、汗を生み出す汗腺そのものを眠らせることで汗を抑えるアプローチ、GMAという成分にたどり着きました。2つのアプローチを組み合わせることで、より汗を出にくくし、効果の持続アップもできると期待できます。汗は年齢と共に徐々にかけなくなります。汗をかかないと熱中症などのダメージが大きく、適切に汗をかけることが大切なので、入浴や適度な運動を心掛けてください」

体臭には汗臭も含めてさまざまな種類があり、その元となっているのが「皮膚ガスです」と関根先生。

「皮膚ガスは、人の体の表面から放散される微量のガスの総称です。現在わかっているだけでも約800種あり、その構成は個人差が非常に大きいです。そして放散された皮膚ガスを、嗅覚を通して脳が感知したときにそれは体臭となります」

リシェス世代が留意したほうがよい体臭と対策の秘訣は何でしょう。

「皮脂から出る皮膚ガス由来の加齢臭は女性にもあり、40、50代以降増える傾向です。心と体の疲れからくる、アンモニアが原因の疲労臭もあり、自律神経が乱れがちな更年期はストレスなどによる疲労臭が目立ちます。運動後の筋肉疲労からくる疲労臭は休めばすぐ収まりますが、メンタル疲れからくる疲労臭はじわじわ出てなかなか消えません。しかも、加齢臭は皮膚表面に原因があるため洗い落とせますが、疲労臭のように内側に原因がある体臭は肌を洗っても取れません。ストレスや睡眠の質改善などの対策が望まれます」

skynesher/Getty Images

1. 制汗剤は汗をかく前、広範囲&乾かす

デオドラント剤や制汗剤は入浴後の清潔な肌につけるのがベスト。菌が少ない状態から菌を増やさないようにするためです。制汗剤は塗らない部分の汗は抑えられないので広めに塗ること。脇なら、二の腕の中央辺りから脇を通って脇腹の15㎝位下まで塗りましょう。乾くことで汗の出口にふたをする機能が発揮されるのでしっかり乾いてから洋服を着ます。(久加さん)

2. デオドラント剤の形状による使い分けは

脇の臭い予防には、直塗りのロールオンタイプやスティックタイプがお薦めです。特にロールオンは、しっかり乾かすことで効果が高くなります。そして背中や胸は、広範囲に早くつけられ、乾くのも早いスプレータイプと、適宜使い分けをするとよりよいでしょう。(久加さん)

3. 朝や外出中はボディシートを活用

就寝中も汗をかくので、臭いが気になる部分は朝、ボディシートで拭き取ってから制汗剤を。汗をたくさんかくとデオドラント効果が減少するので、外出先でも一度ボディシートで汗を拭き取ってから再度制汗剤をつけましょう。また汗は乾いたタオルよりも、ぬれたタオル、外出中ならボディシートで拭き取るのがお勧め。汗の拭き取り効果が高いうえ、皮膚上に残った水分が気化熱を生み体温上昇を抑制する効果もあります。(久加さん)

4. バスタイム、洗うときに心掛けるべきは

特に臭いが気になる人は殺菌成分入りのボディ洗浄料を使うとよいですが、まずは臭いの元となる箇所を、タオルを使ってきちんと洗うこと。足は爪や指の間までしっかり洗って。そして入浴後は指一本一本、きれいに拭くことも重要。臭いの元となる菌は水分が大好きだからです。(久加さん)

5. 緊張した時にかく脇汗は要注意。心の対策を

緊張すると脇汗をかくことがあると思いますが、その時にかく汗は、暑い時にかく汗とは分泌される汗腺が異なり、臭いが強い特徴があります。そこで脇汗をかきやすい人は緊張を緩和するような内面へのアプローチ、心のリラックスを心掛けることが大切。デオドラント剤を使うことも、準備しているから大丈夫という心のお守り、緊張緩和につながります。(久加さん)

6. 睡眠の質が悪いと、明け方にニンニク臭

日本人はニンニク以外にも、ニンニク臭の主成分を含む食べ物、ネギなどを多く摂取しています。実は眠りの質が悪いとその主成分の分解がうまくいかず、明らかにニンニクを食べていなくても、朝、ニンニク臭がする事態に。体臭ケアとして睡眠改善やストレス対策は大切です。(関根先生)

7. 腸活で桃の香りの皮膚ガスが出る?

若い女性の皮膚ガスになぜか多い桃の香り。加齢と共に減ってしまうのですが、腸内に善玉菌のビフィズス菌が多いと、桃の香りが少し増える傾向にあることが研究でわかっています。40~50代で少しでも増やしたいなら、腸内環境をよい状態に維持するとよいでしょう。(関根先生)

8. 疲労臭や汗臭にシトラスの香水はNG

今の体臭をいったん目立たなく…とつける香水は、組み合わせを間違えると逆効果に。特にフレッシュな香りの代表、シトラスは要注意。疲労臭が出ている時につけると、後からアンモニア臭が目立ってきます。汗臭との相性も×。逆に相性がよいのは加齢臭ですが、加齢臭はウッディやパウダリー系をつけると変な臭いに。一方、パウダリーやフローラルは疲労臭のカバーに効果的。松などの森林調の香りは加齢臭や汗臭に◎。(関根先生)

9. 自分でにおいをチェックする方法は

皮膚ガス検査はまだ一般化できませんが、ビニール袋に一日着ていたシャツなどを入れ、外気を嗅いでから袋の中を嗅ぐと自分の体臭の感じがわかります。日を変えて何度か行うと少し変な時に気付けます。(関根先生)

笑顔の多い人は体臭も魅力的?

人の体臭は、感情に応じて変化し、嗅覚を通してその感情が他者に伝わる可能性が報告されています。そこで、被験者にホラー映画とコメディ映画を視聴してもらった後の皮膚ガスを分析するという実験を行いました。結果、怖い映像を見て負の感情が出ると不快な臭いが増え、ハッピーになる映像を見ると果実臭のような香りが増えました。笑顔や笑いを生じさせる喜びの感情は体臭を整える可能性が考えられ、研究中です。(関根先生)

森林浴で体臭も木々の香り?

皮膚ガスの多くは外因性。外から取り入れたものが皮膚ガスとして放散されます。空気中によい香り成分が漂っていると、それを肺に吸い込むことで皮膚から出てくるのです。よい香りの環境にいることは体臭にもよいかもしれません。川崎市との共同研究で、ストレスを抱えた人が樹木の多い公園に行って過ごしていると、ストレスに関する皮膚ガスが減る一方、緑の香り成分の出てくる量が増えていることがわかりました。(関根先生)

初出:リシェスNo.56 2026年6月26日発売

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