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『ラヴ上等2』MEGUMI×AwichにASK! 今“ヤンキー精神”が求められる理由

  • 2026.8.5
TSUYOSHI KIRITOHSHI / tron

異端のNetflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」の反響ぶりを見ていると、今、世の中が“ヤンキー精神”を欲しているように思えてならない。あたりさわりなくトラブル回避しながら予防線を張り、しつこいほどに石橋をコンコンと叩きまくってからようやくネクストステージへと向かう――なんて、平凡な毎日でつまらない。もっとたぎるような何かが欲しい。そんな現代人が持つ裏の感情に呼応したのが「ラヴ上等」である。

争いつつもルールを貫く。嘘をつかずに⼼に正直に⽣きる。傷ついた経験とともに⽣き、⼈の痛みに寄り添う。「筋」を通し、「絆」を重んじる今シリーズが軸とする“ヤンキー精神”について、地元岡山・倉敷で華麗にやんちゃを繰り広げた過去を持つ今作のプロデューサー兼MCのMEGUMIと、琉球の熱風とともにハードコアな経験を経てきた新MC、Awichに話を聞いた。その時間、Netflix本社が情熱の深紅に染まったのは言うまでもない。

新しい舞台は沖縄。「羅武上等マリーンアカデミー」に日本各地から“漢”と“嬢”が集結。 Netflix

【ヤンキーワード1】

常識にとらわれず育てる、たぎるような「熱量」

――シーズン1よりさらにヤンキー度数が増していて、まったく別ものとして今回も最強に楽しめました! まずはAwichさんがMCに抜擢された経緯などを教えください。

Awich もうね、めちゃくちゃ怖かったですよ。シーズン1も普通に視聴者として観ていて、「つーちゃんいいじゃん」とか「え、BABY怖い」(水のくだり)とか。すごいバズっていたし、そのシーズン2に私?って。正直プレッシャーを感じましたがやると決めたからにはね、腹を括って。

MEGUMI 自宅に招いてHABUSH(Awichプロデュースのハブ酒)を呑みながら口説きましたよ(3本)。Awich さんって、いいこと、悪いことをはっきり発言できる今の世代のパイオニアだなと思っていて。それと同時に、Awichさんが生きてきたプロセスが日本人がなかなか経験しているようなところとは別次元で、その“深さ”に惹かれていました。それで声をかけさせていただいて。

Awich ヤンキーというか、アウトローな世界――そこで生きてきた人たちの恋愛を紐解く上で、その気持ちや背景を「翻訳」して世界中に伝えなくてはいけない、と自分に課していました。本気でやりましたね。生半可な気持ちではできないし。ギリギリまで「どこまで言っていいんだろう」って悩んでいたときもあったのですが、参加しているみんなの姿を観ていたら力が湧いてきて。で、めっちゃ勇気出しました。

MEGUMI すべてをさらけ出していますからね、参加している方々は。

Awich そう。みんなを観て私が呑気にソファ座って何もさらけ出さないなんて違うなって。筋、通さないといけないんじゃないかって。

――「アウトロー」という言葉が出ましたが、そこで生きてきた人々が築き上げる絆とか反骨精神とか。そういったものがちょっとSNSの普及で、どんどん薄まってきていると思うのですが、おふたりはどうお考えですか。

MEGUMI 簡単にさまざまな情報を得られるけれど、一方で、いろんなものがわかったような気になっちゃっている。「こうらしいよね」って、すべてが“らしい”で自分の中に落とし込まれがちで、結果が見えたつもりになっていることが多くなりましたよね。それに対してどう自分でモチベーションを上げていくのか、次に進むためのエネルギー担保が難しくなっていると思います。

Awich 体験することが何よりも大切。そこと反している感じはしています。

MEGUMI 熱量持って頑張れる、そのプロセスに至らない人がいるのももちろん理解しているし、そこに行くまでが大変ではあるけれど、でも、いつの時代も“熱”がある人には人が集まってくる。そういう熱を持った人たちを渇望してるっていうのは、もう、絶対古代から変わらない。今も同じだと思います。

Awich 「ラヴ上等」シーズン2に参加してる人たちみんな、熱、ありますよね。すごい熱量。

MEGUMI ヤンキー(界隈)の子たちの中に魅力的な人が多いのって、やっぱり絶対的な熱がある。それで常識から逸脱したり、間違えちゃったりすることもあるけれど、人間らしく生きてるっていう根幹の美しさがあると思うんです。それをシーズン2でも改めて感じました。ビシバシと。

「シーズン2は女性が強い」とMEGUMI。 Netflix

――確かに、答えが先に出ちゃっててプロセスがスコーンって抜けがちなのが「今」とも言えますね。「ラヴ上等」シーズン2でも、面倒だけどプロセスを重んじる場面が何度もありました。

Awich アウトロー界隈、いつだってプロセスがいちばん大事ってみんな思っています。たとえば「いい学校出て、いい企業に入って、これが正解だ」って言われてきた道を進んだとしても、袋叩きにされたり、SNSを通して言われなくていいことを言われたり。そういうことってあるじゃないですか。「これが正当である」っていうことに対しても必ず文句を探す人たちは存在する。そう考えると、やっぱり熱量とかどれくらいのパッションを持って人生にフォーカスできているか、夢中になっているか、そこに「今」の真価があるのかなって。跳ね返す力っていうか。

MEGUMI 自分が納得して、誰に何を言われても自分の中に正解を持っているっていうね。自分に筋を通す、っていうマインドね。

Awich メインストリーム。つまり巷でいう“普通”に対してのヤンキー精神を持った人たちじゃないですか。ポピュラーとは逆の方向性。要は常識外れといわれがちな人たちのこと。でもそういう外れている人たちや考えからしか、イノベーションって生まれないと思うんです。

MEGUMI 確かに確かに。わかる。

Awich 何かに覆われて従って生きていくのか、もしくは自分が「これでしょうが!」と提示するものがあるのか。よく言われる言葉だけど「他人と違っていい」わけですよ。それをヤンキーたちは高い確率で持っているんです。

MEGUMI ちょっと! 姐さん、素晴らしい。自分をしっかり持って面倒なこととも折り合いをつけることで得られることって、絶対ある。私も思います。でも摩擦も多いけどね(笑)。その面倒くささも含めて、いいんです。それで。

過去のつらい経験を語る坊と、親身に話を聞くるる。 Netflix

【ヤンキーワード2】

他者に重きを置かず、ピュアに心を解放する「無垢力」

――ヤンキー精神を重視する人の多くって、すごく繊細なところと、大胆で力強いところを持ち合わせてる人が多い気がします。「ラブ上等」シーズン2に参加されている方々は全員そう。そのギャップとともに生きることの理由や利点とは何でしょうか。

Awich やっぱり感受性が強いからこそ、「これが好き」とか「なんかこれかっこいい」って気持ちが強く出る。一方でその感受性に対して何か言われると、泣いたり、カッとなったりするっていう。直感的な“感じる力”がめっちゃ強いですよね。

MEGUMI わかるわー。

Awich それ(感受性や信念のようなもの)を感じないようにしたり、麻痺させていくような場所では生きていない。だから、繊細だし大胆。

――そうですね。感情を爆発させると叩かれやすい世の中になってきています。

MEGUMI 本当はみんな大なり小なりそういうもの(ヤンキー的な繊細&大胆なメンタル)を持っているんじゃないかって思うんですよ。

Awich 本質的にはそう。みんなそう。

MEGUMI 今、世の中は「自己」を尊重するのではなく、「他者」を尊重して生きている気がする。あの人にどう思われるか、この人たちにどう思われるかっていうところに軸を置きがち。でも彼らは「それはできないかな」っていう感覚があるんじゃないかな。

Awich ヤンキー=子どもなんですよ。子どものままなんです。中二病とかいうじゃないですか。それもその精神性が根っこにある。

MEGUMI そっか、無垢な心ってことね。

Awich 無垢な好奇心と感受性を大人になってもまだ持つことができている、っていう証拠なんですよ。だって子どもが飛行機の中で暴れても許せるじゃないですか。でも大人が暴れると許せない。

MEGUMI 変な人になっちゃう。

Awich “子ども”が公の場で思うがままに感情をむき出しにして、恋愛をしてる。それがこのリアリティショーの面白さでもある。

MEGUMI 確かにそうだよね、そう、そうだわ。人間、本当はそうありたいという部分は何かしらあるはず。

――自分軸で生きることが必ずしもワガママになるわけではないですよね。「他者」に重きを置きすぎることで失うことを改めて考えたいと思いました。子どもの無垢な部分は誰にでもあるはずで、それを具現化しているのが参加者の方々なのかもしれませんね!

TSUYOSHI KIRITOHSHI / tron

【ヤンキーワード3】

過去の行動が刺激する、大人の「反骨精神」

――MEGUMIさんもAwichさんは、反骨精神マックスだった時期はいつでしたか。

Awich 反骨精神マックスだった時期は10代。とにかく大人が大嫌いだったんです。 「大人」っていうだけで超ダサい、みたいな。

MEGUMI 反骨してるわー。素敵(笑)。

Awich アメリカに行くと子どもの頃から決めていて、10代後半で日本のレコード会社と契約をしてデビューを控えていたんですが、今行かなきゃと思ってそのまま渡米して。結果、レコード会社の人たちを裏切ってしまったんですが、沖縄に帰る飛行機代も出してくれたり、ミュージックビデオも撮らせてくれてたり。

MEGUMI いい大人じゃん。

Awich でも妊娠して。「恋しちゃったんで。すいません、妊娠しちゃいました」みたいな。

MEGUMI 生きてるわー。

Awich 思い返すと、あの頃は反骨精神から行動力とかエネルギーが生まれていたのかもしれないです。渡米するときは何でもひとりで全部調べて、学校にも入学して、家も探して。親に反対されても勝手にどんどん。あのパワー、もう1回くださいって思う。それくらい巨大で膨大なエネルギーがありましたね。

MEGUMI 私も16歳で単身ニューヨークに行って。高1の頃ですね。音楽やりたい、ゴスペルだって、東京を介さずに岡山から行きましたからね。

Awich え、すごい。私も東京を介さずに行ったから同じだ。

MEGUMI 東京経由したくなかったよね。

Awich 私も経由したくなかった。

――そこもある種のヤンキー精神を感じます。

MEGUMI 未熟さがゆえの爆発期だったかなと思うんですけど、行動しないと気持ち悪いっていうマインドは大人になった今も同じです。2期目の反骨シーズンは、子どもを産んだ後ですね。本当は演技の仕事をしたい、俳優になりたいという気持ちがあった。でも全く仕事がない状態で。努力しているんだけど、誰も話を聞いてくれないみたいな期間があったんです。その頃はもう、本当に悔しくて。お金もないし、大人になってお金ないってやっぱ結構しんどかった。でもそこで「絶対やってやる」っていうエネルギーが湧いてきて、自分でアポ入れして監督に会いまくったり、手紙出したり。

Awich 反骨シーズン2ですね。

MEGUMI 監督から役の可能性があると連絡がきたら、その役のルーツが広島だったのでひとりで広島に行って、ひとりでご飯食べて、ここの人はこういうもの食べてるんだ、とか、そこの神社でお祈りして絶対売れますようにって祈ったりとか。26とか27くらいかな。その頃はもう、めっちゃ動いてましたね。だからさっきAwichさんが言っていたように、あのときのほとばしるようなエネルギーと比べると今は少ないかな。

――とはいえ、MEGUMIさんは⽇本映画を世界に発信する「JAPANESE NIGHT」(2024〜)を始動、プロデューサーとしても活躍されていて、Awichさんは「Wax On Wax Off」(2025)を皮切りにウータン・クランのRZAとともに本格的に海外へアプローチされていて、おふたりともヤンキー精神からグローバル化している印象です。

MEGUMI 私、最近ヨーロッパの方と会うことが増えていて、70歳とか80歳の先輩たちから「MEGUMI! チャレンジよ」とか言われたりすることが多くなったんです。「人生は何事も挑戦だから」って。日本人ってその年齢でそういう人が少ないから、なんとなくこう、ゆっくりして……っていう気持ちになるけど。

Awich その先輩たち、ある意味ヤンキーかも。

MEGUMI そうね。でも、おとなしめの日本人の中にもヤンキー精神って何かしらあると思うから人類みなヤンキーってことで。

TSUYOSHI KIRITOHSHI / tron

【ヤンキーワード4】

固定観念をゆるめ、平等を目指す「平和力」

――ある意味、ステレオタイプの「女性らしさ」「男性らしさ」を共通認識として持ちながら物語が進むじゃないですか。そんな基盤がある中で、シーズン1では「女、女」と男性陣は表現してましたけど、今回は「女性」と表現していたり。そのあたりのジェンダー観についてはどう感じましたか。

MEGUMI ジェンダーについては、Awichさんすごい歌ってる感じしますよ。しかも身を置かれている世界が、結構男社会っぽい気もする。

Awich めっちゃ男社会。だから女を主張しないといけない時代というか、今はその時期にあると思っています。もちろん、当たり前だけど“根底”にあるのは平等。女とか男とか関係ない。根底に平等があって、女性性と男性性って女性にも男性にも備わってると思っていて。自分の中でも女性性と男性性のパーセンテージが日によって変化している。ムードによっても違います。

MEGUMI 関わる相手によっても変わるよね。男性の中にも女性性があるんだよ、女性の中にも男性性があるんだよっていうのを言いたいときもあるし。

Awich そこに自然に理解が行き渡っていく、それが私が目指しているある種「ユートピア」なんですけど、まだその段階じゃない。だからこそ歌うっていう。今までずっと男性性が勝ってきたよね、みたいな。

――確かに、過去は無視できないですからね。急に平等です、と掲げたところでいきなりは変わりません。

MEGUMI そこで大切なのってやっぱり会話。女性と男性の間で話し合う。シーズン2ももちろん台本無しですからね。そこで私たちも意図せずに、アウトローな男性陣があのように「女性」という表現をしたり、時代のリアリティがそのまま映し出されているのは本当に面白い。あと、やっぱり得意なことと、不得意なところって男女ともにある。女の人って「こんな感じ」って躊躇なく言える人も多いんですよ。世の中に対して。「あの、今ちょっとお腹痛いな」とか「私、すごい怒っている」とかっていうのをギャーって言える。でも男の人ってガマンして言えないことが多い。逆に、この重いの持てるぜ、とか、事業をうまくフランチャイズ展開できる、とか得意なことがありますよね。

Awich フランチャイズ化! あはは、わかる!

MEGUMI 話題になる映画作品から考えてもそう。例えば前回のアカデミー賞の作品賞を受賞した『ワン・バトル・アフター・アナザー』(2025)とか、今年の注目作『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(2026)とか、今エンタメ界では“情けない男たち”が主人公。

Awich 今まで男性が優位に世の中って作られていた。でも、ってことですよね。

MEGUMI だから、その差を自然に埋めるためにそういったエンタメが存在しているとも言えるし、Awichさんのラップや歌の表現も影響力があると思う。

Awich 女性性を理解して、個々が持っている強さや美しさの価値を男性が決めない。それが理想。それは女性から発信するのは自然なことだと思う。発信させて、って感じで。

MEGUMI でも改めて思うんだけど、今回はすごく女子が激しかったじゃないですか。女が凄すぎた。

とある男性の不誠実な行動を問い詰める女性たち。人気キャバ嬢あっすんも参戦。 Netflix

――呼び出しカルチャー(番組でトラブルが起こると女性陣が男性陣を呼び出す)ですね。シーズン2のハイライトというか通過儀礼のようなものでしたね。とある参加者のあたふたっぷりに何度も爆笑しました。

MEGUMI ただの悪人、ただのヤンキーでキレやすい、とかだけではなく、彼女たちの気持ちを正しく読みとってその背景にあるものをちゃんと理解して世の中に伝える伝道師として、Awichさん以上の人はいなかったです。

――客観性もあり、まさにバードアイ。神様のお告げみたいでした。

Awich ありがとうございます。

――そして改めて、世の中にある間違いとか違和感に物申すのって、まさにヤンキー精神。その無垢で力強い、相反するものが合わさったパワーっていいですね。「常識フィルター」や「大人シールド」でその極端な感情や想いが外へと出しづらくなってきていると感じますが、ときにそれを解放することでもっとたぎるものが手に入りそう!と強く思いました。同じステップの毎日で生きてることを忘れてしまってはいけませんね。

MEGUMI 「Body & Soul」ですね(笑)。ぜひそんな気持ちで「ラヴ上等」シーズン2を楽しんでいただけたらうれしいです!

Hearst Owned

Netflixリアリティシリーズ「ラヴ上等」シーズン2独占配信中

■配信スケジュール
8月4日(火)エピソード1〜4
8月11日(火)エピソード5〜7
8月18日(火)エピソード8〜10

PROFILE

MEGUMI 1981年生まれ、岡山県出身。2019年、映画『台風家族』『ひとよ』で第62回ブルーリボン賞助演女優賞を受賞。2023年よりBABEL LABELにプロデューサーとして所属。2024年からはカンヌ国際映画祭、ウディネ・ファーイースト映画祭、ヴェネチア国際映画祭などで映画関係者を対象としたパーティーやセミナーによる交流イベント「JAPANESE NIGHT」を主宰。2026年2月にはプロデューサーとしてNetflixと複数年の独占契約を発表するなど、活躍の場を広げている。

Awich 1986年生まれ、沖縄県出身。ヒップホップクルー、YENTOWN所属。2006年にEP『Inner Research』でデビュー。同時期に渡米し1stフルアルバム『Asia Wish Child』を2007年リリース。翌年、アメリカ人男性と結婚し長女を出産。家族で帰国を決めていた矢先、夫と死別する。その後娘と沖縄に帰郷し音楽活動を再開。2020年7月メジャーデビュー。2024年、コーチェラ・フェスティバルの「88rising Futures」ステージに出演。2025年11月、ウータン・クランのRZA全面プロデュースのアルバム『Okinawan Wuman』をリリースするなど、“日本のヒップホップクイーン”として世界を舞台に活躍している。

photo : TSUYOSHI KIRITOHSHI/tron text : TORU MITANI

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