1. トップ
  2. エピソード
  3. 「少しだけ抱っこを代わってくれない?」赤ちゃんを抱いたまま食べられない妻。だが、夫の冷たい態度に絶句

「少しだけ抱っこを代わってくれない?」赤ちゃんを抱いたまま食べられない妻。だが、夫の冷たい態度に絶句

  • 2026.8.6

赤ちゃんを抱いたまま、冷めていく料理

数年前、親戚に赤ちゃんをお披露目するため、両家の家族を交えた食事会が開かれました。

赤ちゃんは生後半年ほど。私は夫側の親戚として、その会に参加していました。

座敷には十人ほどが集まり、テーブルには刺身や煮物、揚げ物などの料理が次々と並べられていきます。

にぎやかに食事が始まるなか、私は向かい側に座っていた従兄夫婦の様子が気になりました。

妻は赤ちゃんを胸に抱いたまま、ほとんど料理に手をつけられずにいたのです。

赤ちゃんは眠そうにぐずり、布団へ寝かせようとすると、すぐに泣き出してしまいます。

妻は片手で背中を優しくたたきながら、隣に座る夫へ小声で頼みました。

「少しだけ抱っこを代わってくれない?私も食べたいんだけど」

しかし、従兄は料理から目を離しません。

「もう少しで食べ終わるから、それまで待って」

そう言いながら、ご飯を口へ運び続けています。

妻の前に置かれた茶碗や汁物からは、すでに湯気が消えかけていました。

「先に食べていてください。私はあとで大丈夫ですから」

妻は周囲に気を遣うように笑いました。

けれど、その表情には疲れがにじんでいます。

私も抱っこを代わろうかと声をかけようとしましたが、人見知りが始まった時期らしく、赤ちゃんは母親から離れると泣いてしまうそうです。

だからこそ、父親である従兄が代わるべきなのではないか。そう思っていると、妻の母親が静かに箸を置きました。

母親が夫に告げた言葉

「自分だけ食べていないで、抱っこを代わりなさい」

それまでにぎやかだった座敷が、一瞬静かになりました。

従兄は箸を止め、驚いたように顔を上げます。

「いや、もう少しで食べ終わるから」

「あなたの料理は温かいうちに食べられて、あの子の料理は冷めてもいいの?」

母親は声を荒らげることなく、従兄をまっすぐ見ていました。

「あの子も朝から赤ちゃんの支度をして、ほとんど食べていないのよ。二人の子どもでしょう」

この日は妻と母親が朝から一緒に赤ちゃんの準備をしていたため、娘が朝食を取れていないことも知っていたのです。

従兄は気まずそうに妻の前を見ました。

手つかずの料理は、すっかり冷めています。

「……ごめん。代わるよ」

従兄は箸を置き、妻から赤ちゃんを受け取りました。

父親の腕に移された赤ちゃんは少し声を上げましたが、従兄が立ってゆっくり揺らすと、次第に落ち着いていきました。

「今のうちに食べなさい。温かいものを持ってきてもらいましょう」

母親がそう言うと、近くにいた親戚も妻の汁物を取り替え、新しいご飯をよそってくれました。

妻は申し訳なさそうにしながらも、ようやく箸を手に取ります。

「温かいうちに食べられるの、久しぶりかも」

冗談めかして笑う妻を見て、従兄はさらに申し訳なさそうな顔をしていました。

父親になった実感が足りなかった

食事が一段落したあと、従兄は妻と母親に改めて謝っていました。

「抱っこは自分より妻の方が慣れているから、任せた方がいいと思っていた」

悪気があったわけではなく、自分が手を出すより妻に任せる方が早いと考えていたようです。

しかし、その考えが妻にばかり負担をかけていたことに、あの日初めて気づいたのでしょう。

それから従兄は、親戚の集まりでも率先して赤ちゃんを抱くようになりました。

食事のときは妻が先に食べられるようにし、おむつ替えや寝かしつけも自分からするようになったそうです。

後日、妻は笑いながら話してくれました。

「あの日、母が言ってくれなかったら、私も我慢を続けていたと思う」

周囲に気を遣い、自分のことを後回しにしてしまう人もいます。

だからこそ、家族の負担に気づいたときは、誰かが我慢してくれるのを待つのではなく、自分から動くことが大切なのかもしれません。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ