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紅白歌合戦、あの歌手の豪華巨大衣装はジュディ・オングが原点だった!?「魅せられて」からのインスピレーションで誕生

  • 2026.8.4

紅白歌合戦、あの歌手の豪華巨大衣装はジュディ・オングが原点だった!?「魅せられて」からのインスピレーションで誕生

今年、歌手生活60周年を迎えるジュディ・オングさん。10月には5000人規模の記念コンサートが予定されています。ジュディさんの最大のヒット曲といえば、1979年に発売され約200万枚を売り上げた「魅せられて」。大きな羽が広がるような衣装も話題となりましたが、記念コンサートにゲスト出演する大物歌手の衣装にまつわる驚きのエピソードとは。

Profile

ジュディ・オング●歌手・女優・木版画家

台湾生まれ。3歳で来日し、11歳のとき日米合作映画『大津波』で俳優デビュー。歌手デビューは16歳。1979年に「魅せられて」の200万枚大ヒットで、日本レコード大賞他を多数受賞。
25歳で始めた木版画はプロフェッショナルとなり、2005年に日展特選受賞。23年に台南市美術館にて木版画展開催。24年に台北新光三越にて建築家である兄・翁祖模(マーク・オング)と初の兄妹展「藝境畫篇O2」開催。
47年ぶりに出演した台湾映画『陽光女子合唱團』の歴代興行収入が台湾映画史上第1位となり、最優秀女優賞にノミネートされた。
現在、開発途上国の子どもたちを支援するワールドビジョン・ジャパンの親善大使の他、ポリオ根絶大使、介助犬サポート大使を務める。

レコ―ディングのときに予言された大ヒット

16歳でデビュー以来、60年もの長きに渡って歌手を続けてこられた秘訣はどこにあるのだろう。

「中国に『楽在仕事』という言葉があって、『仕事の中に楽しさがある』という意味なんですが、私が歌手を長く続けてこられたのも、ひとことで言うと楽しかったからです」

中でも一番楽しかった、うれしかった出来事は?

「やはり『魅せられて』のレコード大賞受賞ですね。出合ったときは、なんて難しい曲だろうと思いました。全部16分音符で、そのすべてに歌詞が乗っている。息つく暇がない中でも、ゆとりを感じさせなくてはならない曲なんです。さらに、地声からファルセットに切り替えて、伸びやかな風のように歌わなくてはいけない。約ひと月かけて特訓しました。レコーディングの1カ月前から日生劇場で『三銃士』の舞台に出ていたので、毎日、開演前と終演後に必死で歌っていました。当時は、曲がヒットするかどうかなんて考える余裕もありませんでしたね」

レコーディングの日、ピアニストの羽田健太郎さんがスタジオにやって来た。羽田さんはジュディさんの歌唱指導もしていた。

「3曲あった候補のどれをA面にするかを決める場面で、羽田さんがピアノで『クレタ島の夜明け』と『オリンポスハネムーン』に続けて『魅せられて』を弾き、『これだろうな』と言いました。さらに音楽プロデューサーの酒井政利さんや作曲家の筒美京平さんも加わり、『魅せられて』が正式にA面に決定したんです。キーを決めた羽田さんから『ギリギリだね、上も下も』と言われました。私の出せる音域を全部使ってやっと歌える曲でした」

曲とキーが決まり、羽田さんが帰ろうとしたときに言い残した言葉は、今もジュディさんの耳に鮮やかに残っている。

「スタジオのドアを開けようとした羽田さんがふいに振り返り、『これヒットするよ。じゃあな』と言って出て行ったんです。私はしばらくポカーンとしていました。それまで数多くの曲を弾いてきた羽田さんにはわかったんですね」

自らアイディアを出したいまだかつてない衣装

曲や歌唱だけでなく、「魅せられて」は衣装やパフォーマンスも人々を魅了した。

「衣装デザインの発案は私です。さまざまなアイディアをドレスメーカーの先生に伝えて形にしてもらいました。曲のテーマがギリシャですから、まずギリシャ神話のサモトラケのニケが思い浮かび、そして歌詞の『Winds is blowing from the Aegean』は風が吹いてくるということなので、風を受けるような、空を飛んでいるような姿をイメージしました。腕を下ろしていたら普通だけれど、腕を広げたときに袖が羽に見えるようにデザインしてもらったのです。エーゲ海の白い波が頭に浮かんでいた私と、『ギリシャと言えば白い建物』と考えていた酒井さんと意見が一致し、色は白で即決でした」

その何年か前に見たダイアナ・ロス来日公演でのドレスからもインスピレーションを得ていた。

「ある曲を歌ったときの白いドレスは片側が袖なしで、もう一方がドレープになっていました。ステージに出てきたダンサー二人がドレスをさっと引っ張ると、ドレープが四角いスクリーンに早変わりしてそこに映像が映ったんです。それを思い出して、自分のドレスにはエーゲ海が映るといいなと思ったんです。私にはダンサーがつかないから自分で袖を広げられるようにして」

しかし、せっかくのそのアイディアは映像が間に合わず、実現には至らなかった。

「でも、広げた袖が半透明なので、後ろから照明を当てることを提案しました。そうしたら、いい感じに体のシルエットが浮かび上がり、満場一致で『いいじゃない!』となり、以来、ずっとバックライトです」

「つまらない」のひとことから3メートルの扇ドレスが誕生

1979年、ジュディさんは「魅せられて」でレコード大賞を受賞し、紅白歌合戦に初出場した。

「あの当時の紅白出場者は、みなさん本番まで衣装を秘密にして、ディレクター、照明、舞台セットなどのスタッフにだけ衣装の色を知らせていました。私は袖を広げたところをリハーサルで見せなくてはならなかったので、思わず『本番と同じなんてつまらない』とつぶやきました。すると、それを聞いたドレスメーカーの先生が、『では、エクステンションで大きく広げましょう』と、腕の長さ分しか広がらなかった袖を、両袖につけた棒を持って広げると3メートルの扇状になるようにしてくれたんです。『棒が自分の手から伸びているように優雅に広げて』と言われて、大きな鏡の前で猛特訓しましたよ」

紅白歌合戦本番では、白い半透明な袖が大きく広がるのを見た観客から「キャーッ」という大歓声がわいた。

「同時に、ステージの後ろにいた紅組の人たちも「ギャーッ」と絶叫して、私は心の中で『大成功!』と快哉を叫びました。その年はもちろん紅組が勝ちました。ああいう派手な細工の衣装は私が初めてだったはずです」

同年、小林幸子さんは「おもいで酒」で歌唱大賞を受賞し、ジュディさんと同じく紅白歌合戦に初出場していた。二人は同じレコード会社に所属し、ジュディさんが16歳でデビューしたときからの知り合いだった。

「その年、さっちゃんはシンプルな白いドレスでした」

ジュディさんのド派手衣装に度肝を抜かれた小林さんは言った。

「『ごめん、もらったよ』って。インスピレーションをもらったということでしょう。だから、紅白の名物にもなったさっちゃんのド派手巨大衣装の原点は、実は私なんです」

小林さんはその後、紅白に通算34回出場し、年々豪華で派手になっていく衣装は、ついには衣装を超えて「舞台装置」と呼ばれるまでになった。

60年の感謝をこめたパワー全開のステージに期待してください

今年10月、歌手生活60周年の記念コンサートを予定しているジュディさんに意気込みを聞いた。

「実は60周年ということをすっかり忘れていたんです。去年、台湾で映画を撮り終えて帰国し、NHKに出演したとき、プロデューサーの方に『来年は60周年ですね』と言われてはじめて気づきました」

それまで映画撮影にかかりきりだったジュディさんも事務所スタッフも「そういえば」と驚き、「さあどうしよう」とあわてたという。

ちなみに、ジュディさんが出演した台湾映画『陽光女子合唱團(原題)』は歴代興行収入が台湾映画史上第1位となり、話題を集めている。

「60年もの長い間、続けてこられたのは自分一人の力ではなく、力を貸し、助けてくださった方々がいたからこそです。本当に感謝しかありません。コンサートでは、その感謝の思いを伝えたいですね。お客様とも思い出を語りつつ、みんなで懐かしい歌を中心に楽めたらと思っています」

ゲストである小林幸子さん、中村雅俊さんの人選の理由は?

「この二人のことはパッと頭に浮かびました。さっちゃんとはお互いにコロムビアで歌っていた10代の頃からの仲間で、全国巡回の歌謡ショー『コロムビア歌謡大行進』でもよく一緒でした。今でも互いの家を行き来してごはんを食べたりするほどの仲良しです。雅俊とはアメリカ映画『アメリカンパスタイム 俺たちの星条旗』で夫婦役を演じた仲。過酷なロケを乗り越えた戦友のような間柄です。共にトークも歌も盛り上がる心強い仲間たち。デュエットも楽しみにしてください」

聴きごたえも見ごたえも十分の、明日へのパワーをもらえるステージになりそうだ。

【Information】ジュディ・オング歌手生活60周年記念コンサート「Diva60 The Legend of Judy Ongg」

日時:2026年10月15日(木) 18:00開演(17:00開場)
会場:東京国際フォーラム ホールA
ゲスト:小林幸子、中村雅俊
料金(全席指定・税込):SS席(スペシャルグッズ付)1万8000円/S席1万2000円/A席1万円
チケット好評発売中
お問い合わせ:キョードープロデューサーズ☎︎0570-200-551(オペレーター対応:月・水・金・土 10~18時)
Web受付:https://www.cnplayguide.com/kp/judy60/
ジュディ・オング公式サイト:https://judyongg.com


撮影/鈴木江実子 取材・文/依田邦代

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