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「直進だったから、大丈夫だと…」SNSのドラレコ映像で後を絶たない“右直事故”→見落とされがちな盲点

  • 2026.9.6
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

SNSのドラレコ映像で後を絶たないのが、対向直進バイクと右折車による「右直(うちょく)事故」です。ネット上では右折車への批判が集中しますが、事故に遭ったライダーへの取材でよく聞かれるのが「直進だったから、大丈夫だと思った」という言葉。実はこの一言こそ、右直事故を語るうえで見落とせないもう一つの要因なのです。

単なる「あるある」や感情的な批判では終わらせません。指導員の視点から「なぜこの状況で事故が起きやすいのか」を掘り下げ、教習所で教える具体的な判断基準に沿って解説します。

「直進だから行ける」という油断の正体

多くのライダーは、バイクの免許と共に四輪免許も取得しています。四輪を運転しているとき、対向車線の車が危険なタイミングで自分の進路を横切ってくることはあまりありません。右折する側も直進する側も、「このタイミングで出れば事故になる」という感覚を、経験として共有しているからです。

しかし、バイクに乗ったときにもこの経験則がそのままだととても危険です。二輪は車体が小さいぶん、対向の右折車から「遠く・遅く」誤認されやすい存在。

つまり「直進している自分は絶対に優先される」という確信と、「小さいバイクは実際より遠くに見える」という相手側の錯覚。この二つが重なった瞬間、右直事故は起こりやすくなります。

ライダー本人に落ち度がなくても、事故に巻き込まれてしまう構造がここにあるのです。

右折車の頭の中で起きていること

右折待ちのドライバーは、対向車を見ていないわけではありません。むしろ見えているのに、距離と速度を読み違えています。

人間の脳には、車体が小さい対象を「実際より遠く、遅い」と判断する性質があり、バイクや軽自動車はその典型です。

「まだ余裕がある」と判断した瞬間、右折車は発進してしまいます。直進側からすれば「明らかにこちらが行けるタイミングなのに」という、理不尽な事故です。このバイアスは車対車でも起こり、普通車やSUVのドライバーが、車体の小さな軽自動車を見誤るケースも同様です。

ライダーが“ぶつけられない”ための防衛術

四輪車の感覚をいったん手放す:
「このタイミングなら対向車は出てこない」という前提を捨て、「右折車は出てくるかもしれない」と考え直しましょう。

・交差点手前でのスピードコントロール:
ブレーキレバーに指をかけ、いつでも減速できる速度で交差点に進入しながら、右折待ち車両の前輪の動きに注意します。

教習所で教える判断基準

指導員が教習の現場で伝えるのは、このバイアスを前提にした実践的な基準です。右折の可否を判断するために、「対向車までの距離感」や「対向車が交差点に到達するまで何秒かかるか」、また「この車両は出てくるかもしれないという危険予測」といったものさしを総合的に使います。つまり、路上教習での実践や学科での座学、危険予測問題などを通じて、これらの判断基準を学習するのです。

ただし、これは習得までそれなりに時間がかかる上に理屈っぽく、とっさの場面では使いにくい。

そこで、簡単な目安としておすすめするのが、「今この場を歩行者が歩いて渡ったとして、対向車とぶつからずに渡りきれるか」と思い浮かべる方法です。右折時の車の速度は歩く速さよりも十分に速いため、歩行者換算で余裕があれば、実際の右折はもっと安全に完了できます。

「行けそう」と感じたときほど、この歩行者換算の基準に立ち返る習慣が事故を防ぎます。

セルフチェックをしてみましょう

・【ライダー】「直進なのだから、相手は当然待つはずだ」と思い込んでいないか
・【ライダー】四輪免許での「対向車は出てこない」感覚を、そのままバイクに持ち込んでいないか
・【ドライバー】対向車線のバイクや軽自動車を「小さく見える=まだ遠い」と決めつけていないか

右直事故は、右折車の不注意だけで起こるのではなく、ライダー側の「直進なら大丈夫」という四輪由来の確信が重なって生まれる事故でもあります。優先権に頼りきらず、「相手は自分を誤認しているかもしれない」という前提で交差点を通過すること。それが、見えていたはずの事故を防ぐ有効な方法です。


ライター:ちだてつし
自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


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