1. トップ
  2. 暮らし
  3. 元教習所指導員「今でも背筋が寒くなる」あと数十センチずれていれば…受講生が思わずハンドルを切った瞬間にドキッ

元教習所指導員「今でも背筋が寒くなる」あと数十センチずれていれば…受講生が思わずハンドルを切った瞬間にドキッ

  • 2026.8.26
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

夏の渋滞中、車の脇をすり抜けていくバイクを見たことはないでしょうか。「危ない」「違反では?」と感じるドライバーも多いはずです。道路交通法に照らすと、状況によっては「追越し違反」や「割込み」に該当する場合があります。

一方、ライダー側にも事情はあります。夏の強い直射日光とエンジンの熱による熱中症のリスク、エンジン過熱で止まる「熱ダレ」への恐怖。こうした事情が、「バイクだからすり抜けて当然」という身勝手な思い込みを生む一因です。

本記事では、元指導員であり現役ライダーでもある筆者の目線から、双方が注意すべきポイントを解説します。

【エピソード】市街地の渋滞ですり抜けるバイクに肝を冷やした瞬間

とある真夏、市街地の渋滞中の出来事です。

車線の間をかなりのスピードですり抜けるバイクに驚き、思わず急ハンドルを切りそうになった受講生がいました。同乗していた私もドキッとした場面です。

振り返るたびに感じることがあります。ライダー側の焦りと、車側の「止まっているから大丈夫」という油断。双方の余裕のなさこそが、事故を誘発する最大の要因ではないでしょうか。

あと数十センチずれていれば、大きな接触事故になっていたはずです。そう思うと、今でも背筋が寒くなります。

なぜ危険なのか 夏特有の心理的すれ違い

すり抜けを繰り返すライダーは、「早く行きたい」という思いを常に抱えている可能性が高いです。

渋滞知らずで軽快に走りたいという思いに加え、真夏はさらに事情が重なります。汗だくのうえエンジンの排熱が体にまとわりつき、風の通らないヘルメットの中で頭がぼうっとする。車種によってはフレームが高温になり、ふくらはぎを火傷することも。空冷バイクなら排熱でエンジンが止まる「熱ダレ」の恐れもあります。

「倒れる、マシンが止まる」という焦り。これが、無理なすり抜けと「仕方ない」という自己正当化につながります。

とはいえ、交通ルール上は正当化されません。

対する車側は「止まっているから安心」という油断が生まれやすい状況にあります。夏場はエアコンで車内が快適な分、外の音やバイクの気配に気づきにくいのも落とし穴です。

無意識のドア開閉や確認不足の車線変更が、重大事故に直結します。

【セルフチェック】渋滞中のすり抜けトラブル 巻き込まれ度チェック

・【ライダーの心理】
「夏場のバイクは熱中症や熱ダレで止まる危険があるからすり抜けは仕方ない」と正当化していないか?

・【ドライバーの油断】
「止まっているから大丈夫」と、安全確認をしないで車線変更や交差点を曲がっていないか?

・【ドライバーの不注意】
送り迎えの際、後方確認をせずに不用意にドアを開けていないか?

一つでも当てはまれば、特に注意が必要です。

【対処法】 すり抜けの法的区分と双方に求められる意識改革

まずライダーに押さえてほしいのが、すり抜けに関わる法的区分です。

「追越し」は進路を変えて前方に出ること、「追い抜き」は進路を変えずに前方に出ることを指します。すり抜けは、その方法や場所によっては、追越し違反や割込み違反、通行区分違反などに該当する場合があります。

こうしたルールを正しく理解することが第一歩になります。

また、意識してほしいのが、暑さ対策のあり方です。

対策は、コンビニや道の駅、高速道路であればPA・SAなどでの早めの休憩で行うべきであり、すり抜けの理由にはなりません。無理なすり抜けで事故を起こせば、命に関わるリスクはむしろ高まります。

ドライバーには、「バイクには夏特有の焦りや理由もある」という前提に立ってほしいところです。

渋滞中も後方への注意を怠らない防衛運転が求められます。

「ドアを開ける前にミラーと目視で確認する」

この小さな習慣が事故を防ぎます。

夏の渋滞は、ライダーもドライバーも余裕を失いやすい場面です。お互いの立場や事情を知り、一歩引いた冷静な判断を心がけること。それが、事故のない夏を過ごす鍵になるのではないでしょうか。

焦りは、判断力を鈍らせる一因になります。ほんの一呼吸が、大きな事故を防ぐ分かれ目になるかもしれません。


ライター:ちだてつし
自動車教習所の指導員・技能検定員として、23年間にわたり現場で安全運転の指導・検定を担当。現在はその専門知識と現場での実務経験を活かし、安全運転やドライブテクニックに関するWebライターとして活動中。また、ペーパードライバーや外免切り替えの事業を展開し、運転に自信のないライダーを対象に、実践的なツーリングを通して運転技術を身につける「日本ツーリングサポート協会」を設立・運営。「安全で楽しいカー&バイクライフ」を伝える発信を行っている。日本二輪車普及安全協会の二輪安全運転指導員として活躍中。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ