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【中学受験するのに夏期講習を減らした理由】小4の夏休みに将棋と旅行を優先して得た学び

  • 2026.8.3

「中学受験をするなら、夏期講習は全部受けるもの。」そんな空気がある中で、わが家は小学4年生の夏、あえて夏期講習を減らしました。空いたところに入れた予定は、旅行と将棋大会です。「受験を甘く見ているのでは?」「4年生とはいえ、遊ぶ予定を増やして大丈夫?」そんな声もあるかもしれません。でも実際に塾へ通い始めた次男を見ていると、私は少し違うことを感じるようになりました。疲れがたまると集中力は一気に落ち、机に向かう時間だけを増やしても、学びの質は上がらない。そして小4という時期は、まだまだ机の外にある経験が、そのまま受験にも人生にもつながる力になると感じたのです。

塾に通い始めて見えてきたこと

我が家の次男は大多数の中学受験家庭と同じく、小3の2月(新小4)のタイミングで塾通いを始めました。実際に通い始めて感じたのは、帰宅後の疲れと、日によっての集中力の差です。まだ9歳なのだから当たり前といえば当たり前ですが、調子良くテスト勉強をする日もあれば、宿題と毎日の計算タスクで手一杯の日もあります。何より現状、21時には布団に入り朝6〜7時まで寝るので、1日に9〜10時間は睡眠が必要な様子でした。塾の授業は楽しいようで、同じクラスの友達もでき、モチベーションは感じられましたが、帰宅後の様子などから、今はまだ「量」をこなさせるのではなく、学ぶ内容の「質」も大事にしたいなと感じたのです。そこで、お誘いを受けていた少し距離の離れた拠点校舎での夏期講習を受けることを辞めて、今年は家のそばの校舎で最低限の日程で夏期講習を受けることにしました。

小4は「机の外」から学べる最後の時期!?

私は普段モンテッソーリ教師をしていて、上にも中学生の長男がいるのですが、小4の9-10歳前後の時期は、子どもの学び方・理解の仕方が変わっていく時期でもあります。これまでは具体的なものや出来事から学んできていた子どもたちが、個人差はもちろんありますが、この時期を境に、頭の中だけで抽象的な学びをできるようになっていき、大人の脳へと近づいていきます。次男が社会の勉強をしているときに、日本の山や川、地形についての学習内容が出てきました。暗記だけでも成り立つ内容ではありますが、「これだけたくさん覚えるのか」と思うと、大人でもちょっと憂鬱になる量です。そこで私は、9歳はまだまだ触ったり、手を動かした方が分かりやすいかなと思い、テスト勉強の時には、触ると高低差がわかる日本地図を一緒に触ってみたり、山から流れ出した川が海に行くまでの様子を見ることができる絵巻仕立ての本を広げて、壮大なスケールを実感してみたりと工夫をしています。手を動かし、「なぜ?」と問いを立てる体験のほうが、9歳の脳には確実に届く――こうした実感から、機を見て受験勉強と「実体験」を並行させ、両立させていきたいなと思うようになりました。

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さすがに小6になると、受験優先の生活になるのは理解しています。だからこそ小4の今、旅行での実体験や趣味の将棋で手を動かす時間に投資したいなと感じたのです。

旅行から学んでいること

我が家では長男の希望で、4年前から親子で47都道府県制覇へ向けて、長期休みには旅行に行くことが習慣になっています。春休みに新潟に行った時には、地平線まで見渡す限りの田んぼの中を車で走ったのですが、「越後平野はさすがの広さやな!新潟県が米の生産量日本一のはずやわ!」と話す子どもたち。「これだけ米ができるから、余っちゃって煎餅を作るようになって名産品になったんやない?」というので調べてみると、実際には新潟県は1950年代頃まではむしろ湿気の多い気候で米菓の主産地ではなかったという歴史的背景が見えてきました。ここが大事なところで、子どもたちが"自分たちで立てた問い"を、あとから調べて理解する経験こそ、記憶に残りますし、この時期に育てたい力だと感じています。現地に行くことによって、地形やそこからつながる名産品、気候などが、テキストで習った知識とつながって点と点がつながって線になったなと感じた瞬間でした。今は動画やネットでいくらでも情報を集めたり見たりすることはできますが、このスケール感を感じることができるのは、実際に足を運んで、自分の目で見たからこその経験だなと思いました。旅行の行程は現地での経験だけではありません。電車や新幹線、飛行機などの交通機関で移動をする際には、地図を見てルートを考えたり、時刻表で調べて時間を確認したりすることで、距離感をつかんだり、日本や世界の広さを感じる学びとなります。

将棋から学んでいること

また、次男の趣味である将棋では、数手先を読む・相手の考えを予測するといったことが常に必要になってきます。対局の様子を見ていると、中学受験の算数で求められる深く考える力と重なる部分が多く、粘り強く向き合うことに通じるものを感じています。対局においては、集中が切れると負けてしまうこと、負けたときに自分の駒の動きを振り返る経験もしていて、机の上の算数だけでは育ちにくい力も、将棋には詰まっているなと感じます。一局をやり抜く体力も受験にはきっと役に立つはずです。この自分で考えて試行錯誤する力は、幼児期にモンテッソーリ教育で「どうすればできるだろう?」と考えて自分に向き合ったことがつながってきているように思います。また、大会にエントリーすると毎回感じる、あの対局前〜本番にかけての緊張感は試験本番のメンタルコントロールの良い練習にもなりそうです。

小学4年生という時期だからこそ、受験勉強だけでは得られない経験に価値がある

私も子どもが塾に通い始める前は少なからず誤解していた部分もあったのですが、中学受験は、知識だけを競う試験ではありません。情報を整理する力、考え抜く力、初めて見る問題にどう向き合うかといった幅広い力が求められると思っています。そうした力の土台は、机に向かっての勉強だけでなく、机の外でも育つのではないかと思います。我が子の場合は将棋に熱中していますが、これは何も将棋に限ったことではなく、たとえば、スポーツの習いごとや工作、プログラミングといったその子にとって夢中になれるものの存在は、9歳前後からの「親から少し離れ、仲間や社会の中で自分を確かめ始める時期」の子どもにとって、「自分にはこれがある」という自己肯定感の土台になる役割を果たしてくれます。学校や塾以外にも自分の居場所があることで、自己評価が一つの軸だけに左右されにくくなりますし、モンテッソーリ教育の視点で見ても「その子が没頭できるものをがあるか」は何に取り組むかということ以上に大切にしたい視点です。

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何より中学受験はゴールではなく、スタートです。3年間の受験生活を息切れしてしまわないように、つぶれてしまわないように過ごしたい。だから小4の夏、我が家は学習習慣は維持しつつ、学習の場を外に広げることを優先しました。私たちはつい、「何時間勉強したか」を成果の物差しにしがちです。でも、本当に子どもの力を育てるのは、その時間の長さだけなのでしょうか。将棋で一手先を考えること。旅先で初めて見る景色に驚くこと。地図を見て「ここに行ってみたい」と目を輝かせること。そんな一つひとつの経験もまた、子どもの思考力や好奇心を育てる大切な学びだと、私は感じています。地図を開いてルートを考えるという問い、旅行先で「なぜ?」と目を輝かせるという問い――そうした問いの数は、受験の答案用紙の上でも、数えきれない財産になります。この夏、お子さんにとって「一生残る学び」は、どんな時間になるでしょうか。

Instagram:りっきー(@ouchi_monte_ryoiku)

著書:『感覚統合の視点で「できた!」が増える!発達が気になる子のためのおうちモンテッソーリ』/日本能率協会マネジメントセンター

著書:『発達が気になる子のおうち学習環境&アイテム できた!が増える子育て空間』

★発達障害&グレーゾーン、発達が気になる小学生や就学を...
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