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ずーっと賃貸派が、この物価高という謎のタイミングで持ち家を考え始めたお話

  • 2026.7.30

「人生の後半戦」と、お金という現実

40代になって、気づけばそれなりの時間が流れました。20代は、とにかく必死に働いていた記憶しかありません。今思えば、あそこまで頑張らなくてもよかったのでは?と思う日もありますが、当時は「頑張る」という選択肢しか知らず、何でも全力で飛び込んでは、空回りも含めて青春だったのでしょう。30代になると、ご縁があって結婚し、子どもが生まれ、人生の主役はいつの間にか自分から家族へとバトンタッチされました。仕事と育児を両立しようと毎日走り回り、寝不足なんて当たり前、休日は休む日ではなく「平日にできなかったことを片付ける日」になり、気づけば一週間が一日くらいの感覚で終わっていきます。そして40代。三男が生まれ、我が家はさらににぎやかになりました。笑い声も増え、兄弟げんかも増え、洗濯物はもはやスポーツチーム並み。それでも家族五人で過ごす毎日は本当に楽しく、振り返れば「あっという間だった」という言葉が、これほどしっくりくる年代もありません。本当に、この15年くらいは恐ろしいスピードで時間が過ぎていきます。そんなある日、ふと頭をよぎりました。「…待って。」「私、中堅どころか、もうベテランじゃない?」会社でも若手という立場ではなくなり、新卒だった後輩たちは立派な中堅社員になり、自分が新人だった頃を知る先輩は、少しずつ定年や再雇用の話をするようになっています。そして気づくのです。「還暦まで、あと15年くらいじゃない?」…いやいや、ちょっと待ってください。ついこの前まで「40歳なんて遠い未来」と思っていたはずなのに、その先の景色が急に現実味を帯びてくるではありませんか。こうなると考え始めるのです。人生の後半戦を、どう生きていこう。仕事のこと、家族のこと、自分の時間、健康。そして何より、切っても切り離せないのが――お金です。

家計簿は苦手。でも財布の中身はもっと苦手

子どもが三人いると、まぁ、お金が出ていきます。そして私は、胸を張って言えます。家計管理が、驚くほど下手です。理系なこともあり、数字は大好きですが、家計管理は全然ダメ。「そんなことあります?」というくらい下手です。家計簿アプリを入れては三日坊主。レシートを集めて満足。月末になると、「これは何のお代だったんだろう…」と考え込む始末で、数字よりも記憶を信じるという、家計管理としてはかなり危険なスタイルを長年続けています。隙があればコンビニに立ち寄り、「今日は頑張ったし」と自分を甘やかし、会社では自販機、オフィスグリコ、近所のコンビニを順番に巡回し、洋服も「これ似合うかも」と思えば、ついネットでポチッ。割と見切り発車で買うタイプです。本当に誰か教えてください。家計管理って、どうやるんですか。これまでは、「まぁ働けば何とかなるでしょう」「また頑張って働けばいいか」と、かなり勢いだけで生きてきました。多少使っても、また稼げばいい。経済も回るし、一石二鳥。そんな都合のいい理論を、かなり本気で信じていたのです。ところが最近、その理論が音を立てて揺らぎ始めました。理由は一つ。物価高です。スーパーへ行けば「え?この値段だったっけ?」と二度見し、外食をすれば家族五人分のお会計に軽く深呼吸し、気づけば毎月、「あれ?思ったより残っていない」という現象が起きています。財布の中身だけ、どうやら物価高についていけていないようです。

教育費という名の、本気の現実

昨年は、長男の中学受験がありました。もちろん覚悟はしていました。「受験にはお金がかかる。」耳にタコができるほど聞いていましたし、塾代くらいは計算していたつもりです。…つもりでした。ところが現実は、それを軽々と飛び越えてきます。通常授業に始まり、季節講習、特別講座、日曜特訓、模試、受験料、そして合格すれば入学金に制服、教材、授業料。次から次へと、「こちらもお願いします」がやってきます。塾からのお知らせを見るたびに、「また封筒が厚い…」と、内容より先に紙の厚みで金額を察するようになりました。もちろん、子どもの頑張りを見ていたので、後悔はありません。むしろ「あの経験は、お金には代えられない」と心から思っています。ただ、現実として思いました。教育費って、本当にすごい。そして我が家には、あと二人控えています。幸い?、下の子たちは「中学受験はしないかな」と言っていますが、公立だからといって、お金がほとんどかからない時代でもありません。部活動、習い事、スマホ、制服、修学旅行、大学進学……。考え始めると、電卓より先に頭がフリーズします。実は十年ほど前から、夫婦で少しだけ本当に本当に少額でNISAを始めていました。「まぁ、将来のために。」そんな軽い気持ちで始めた積立ですが、今になって振り返ると、「あのとき始めておいて本当によかった」と思う場面も増えました。それでも、毎月の出費の勢いには到底追いつきません。子どもが成長するということは、本当にうれしいことです。でも同時に、財布も一緒に成長してくれたら、どれだけありがたいことかと思う今日この頃。

「いつか」は、意外と突然やってくる

そんな我が家ですが、実は結婚してからずっと賃貸暮らしです。約50平米。家族五人。文字だけ見ると、「まぁ何とかなるかな」と思われるかもしれませんが、大きめの男の子三人という条件が加わると話は少し変わります(ちなみに、私は三姉妹で育ちましたが、三姉妹でも50平米はしんどいと思います。特に洗面…)。家の中を歩けば誰かにぶつかり、ソファに座れば誰かが膝に乗ってきて、お風呂の順番でもちょっとした交渉が始まり、気付けば洗濯物だけで一部屋埋まりそうになります。とはいえ、「賃貸派なんです」と強いこだわりがあったわけではありません。むしろ逆です。いつかは家を買いたい。ずっとそう思っていました。住みたいエリアに売り物件が出るたびに見学へ行き、「ここは収納がいいね」「でも駅から少し遠いかな」「日当たりは最高だけど、この間取りは惜しいなぁ」と、夫婦でああでもない、こうでもないを繰り返し、気付けば見学した物件は軽く10軒を超えていました。一番惜しかったのは2020年。三男が生まれたばかりの頃、本当に契約寸前まで話が進んだことがあります。ところが、夫の転職という大きな出来事が重なり、「今じゃないかもしれないね」と立ち止まることになりました。もう一つ、「何となく違う」という説明できない感覚もありました。家って、人生で一番大きな買い物と言われます。だからこそ、「何となく」でハンコを押してしまうのは怖かった。その結果、我が家はまた賃貸生活を続けることになりました。そして、気付けば2026年。時間だけは、本当に待ってくれません。

子どもの成長は、部屋数で実感する

長男も中学生になりました。少し前までは、「僕はずっとこの家でいい。」と言っていた子です。ところが最近になって、「広い家もいいよね。個室もちょっと気になる。」なんて言うようになりました。あらまぁ。そんなことを言う年頃になりましたか。続いて小学校高学年の次男も、サッカーから帰ってくるなり、「友達の家に行ったらさ、一人部屋があって、自分の好きなもの飾ってた。」「ちょっと羨ましかった。」と、ぽつり。そうですか。数年前まで、「お母さんと一緒じゃないと寝られない!」と泣いていた子が、今では自分だけの空間に憧れるようになったのです。成長って、すごい。とてつもなく健全。親としては「大きくなったなぁ」とうれしく思う反面、「そろそろ部屋、足りないよね」という現実も同時に突き付けられます。家族の形は、子どもの成長と一緒に変わっていく。頭では分かっていましたが、それを一番実感するのは、意外にも「部屋数」なのかもしれません。もちろん、それって今だけじゃん!と頭の片隅で突っ込む自分もいます。でもね、いつかいつかは、持ち家を。って思っていた我が家。いつなの?いまでしょ。は古い考えではない。

疲れ切った土曜日に起きた出来事

とはいえ、現実は厳しい。土地も建物も、数年前とは比べものにならないくらい高くなりました。建築費も上がり、住宅ローンの金利も気になり、スーパーへ行けば食費もどんどん膨らむ。男の子三人に、よく食べる夫婦二人。我が家の冷蔵庫は、満タンにした翌日には「もう誰か食べた?」という状態になります。「いやいや、今から家なんて無理でしょう。」そう思う日も少なくありませんでした。そんなある土曜日。私は休日出張があり、いつも以上に疲れて帰宅しました。マンションのエントランスに着き、郵便受けを開けると、いつものように数枚のチラシが入っています。正直、ほとんど見ません。スーパーの広告かな。マンションの売却チラシかな。そんなことを思いながら、ぼんやりエレベーターへ乗り込みました。その中の一枚を、何となく眺めます。…んん?一瞬で眠気が飛びました。疲れも飛びました。さっきまで「早くお風呂入りたい」と思っていた私が、急に直立不動になります。そこには、何年も「ここがいい」と思い続けていたエリアの物件情報が載っていたのです。しかも。「えっ?」「ここ?」「まさか…。」狙っていた場所、そのもの。人生って、本当に分からない。何年も何も起こらなかったのに、動くときは、こんな一枚のチラシから始まることがあるのです。

人生は、チラシ一枚で動き出すことがある

あの日の私は、まだ知りませんでした。その何気なく手に取ったチラシが、この先何か月も家族で話し合い、不動産会社へ通い、工務店を探し、お金と向き合い、自分たちの暮らしそのものを考え直す、大きなきっかけになることを。人生には、「運命の出会い」なんて少し照れくさい言葉があります。若い頃は、人との出会いを想像していました。でも40代になると、その相手は土地だったり、家だったり、タイミングだったりするのかもしれません。もちろん、この先どうなるかなんて、その時点ではまったく分かりません。買える保証もない。住宅ローンだって不安です。建築費も高い。考えれば考えるほど、「やっぱり無理かな」と思う材料はいくらでもある。それでも、人というのは不思議なもので、一度「もしかしたら」が心に芽生えると、昨日まで見えていた景色が少しだけ変わります。さて。この一枚のチラシが、我が家をどこへ連れて行くのか。家を買うという話なのか。それとも、やっぱり今の暮らしが一番だと気付く話なのか。それは、また別のお話で。ではまた!

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