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「旅費はそっち持ち?」兄が渡した明細で知った甘え

  • 2026.8.4
ハウコレ

確認のつもりで送った1通に、返ってきたのはいつもと違う言葉でした。

それでも私が参加をやめなかった理由を、今は情けなく思い出します。改札前で手を振った私に、兄は笑わないまま、鞄から1枚の紙を取り出しました。

いつの間にか済んでいた支払い

兄夫婦との旅行や食事は、私にとって当たり前の予定でした。声をかければ予定に入れてもらえて、宿代も食事代も、気づけば支払いが済んでいました。学生の頃の感覚のまま、社会人になった今もそれを疑いませんでした。

今回の温泉旅行も、兄に「私も行きたい」と伝えるだけで話が進みました。だから確認のつもりで、義姉にメッセージを送ったのです。

「旅費は全部そっち持ちだよね?」

止まったままの画面

届いた返信は短いものでした。

「今回から、旅費は各自で精算にするね」

私は「え、聞いてない。今までそうだったじゃん」と打ち返しました。その後、義姉からの返信はありませんでした。給料日前の残高を思い浮かべながら、私は参加するかどうかを迷い続けました。それでも行くと決めたのは、断られたと認めたくなかったからだと、今なら分かります。

兄が渡した1枚

集合場所の改札前で、私は義姉と目を合わせられませんでした。兄は取り出した紙を開いて、黙って私に渡しました。宿の料金が、私の名前と一緒に印字されていました。

「自分の分は、自分で払ってくれ」

兄の声は、いつもと同じ高さでした。私は紙の数字を確かめてから、鞄の底の財布を探しました。その間、義姉は何も言わずに待っていてくれました。

そして...

旅行の間、私は初めて自分の財布で会計をしました。金額を気にして選んだ食事の味を、今もよく覚えています。帰りのホームで「お姉さん、ごめんなさい」と頭を下げた私に、義姉はうなずいてくれました。あの明細は、今も手帳に挟んであります。甘えの値段を、忘れないためです。

(20代女性・販売職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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