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妻の品を勝手に売った俺が、購入者へ謝った理由

  • 2026.8.2
ハウコレ

妻が涙より先に開いたのは、俺が出品したフリマの管理画面でした。

その多くは既に発送済み。俺はメモを取り、通勤の合間に頭を下げに行く相手のリストを作りました。妻が触るなと言っていた段ボール箱を、俺はカッターで開けました。

妻が触るなと言った段ボール箱

新居は今より狭い1LDKで、家賃を下げるための引っ越しでした。妻は仕事で疲れきっていて、休日も片付けに手が回っていません。俺が代わりに片付けをしようと決めた土曜日、クローゼットの上段に、妻が普段から触るなと言っていた段ボール箱を見つけました。中身はぬいぐるみやフィギュア。学生時代の趣味の残り物のように見えました。フリマアプリで写真を撮って出品すると、いくつかに「いいね」が付きました。「片付けたよ、いくらか稼げそう」。帰ってきた妻に画面を見せた時、俺は褒められると思っていました。

妻の目が硬くなった瞬間

「これ、私の大事なコレクションだよ」。妻の声に、俺は「使ってないだろ、もう」と返しました。何気ない反論のつもりでした。妻はクローゼットの空白を確かめてから、俺のスマホで出品リストを最初から1つずつ見返しました。しばらくして、スマホをテーブルに裏返して置くと、俺の横に腰を下ろしました。「1つ1つ思い出があるの」。俺の目には使わなくなったグッズにしか映らなかった1つ1つが、妻には10年分の思い出だったのだと、そこでようやく気付きました。

通勤の合間に頭を下げた

「悪かった。買い戻せる分は戻す」。翌日からしばらく、俺は通勤の合間に、購入者ごとに買い戻しの連絡を入れました。半分は「もう発送済みですが、キャンセルできます」と応じてくれました。もう半分は「大切に使いたいので、譲れません」でした。譲れないと言われた時、その言葉の重みを俺は数字ではない形で受け取りました。妻には「引っ越し先、狭くなるから」と動機を伝えました。それは半分だけ本当のことです。もう半分は、妻の趣味を「そろそろ卒業する時期」と、勝手に決めていたことでした。

そして...

新居の玄関を入って最初に組み立てたのは、家具ではなくショーケースでした。戻ってきたぬいぐるみとフィギュアを、妻が1つずつ並べていきます。「これから増やしていいから」。俺はそう言うのが精一杯でした。俺があの箱に見ていた「片付け対象」は、妻には10年分の光景でした。同じ物を、俺と妻は違う目で見ていたとあの時知りました。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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