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「奢らんぞ、その調子じゃ結婚できん」酒が入った叔父の決めつけを、別の親戚が短い言葉で止めた正論

  • 2026.8.2

呼ばれるのはいつも端の席

親戚が集まるのは、盆と正月の年に二回です。

座敷に長机を並べて、上座から伯父や叔父が座り、僕ら三十代は台所寄りの端に固まります。

叔父はその席で、決まって僕を手招きします。

「こっち来い、注げ」

悪い人ではありません。

就職のときは知り合いを紹介してくれました。ただ、ビール瓶が三本目に入るころから、話の中身が少しずつ変わっていきます。

三本目からの決めつけ

その日も、大皿の刺身が半分ほど減ったあたりでした。

「お前、今いくつだ」

「三十四です」

叔父はコップを持ったまま、僕の顔をしばらく見ています。それから座敷の端まで届く声で言いました。

「その調子じゃ結婚できん」

本人は笑い話のつもりだったのだと思います。

実際、叔父は自分で笑っていました。

笑ったのは、叔父だけでした。

向かいの叔母が箸を置きます。いとこの子どもが顔を上げて、母親のほうをちらりと見ました。台所にいた伯母が、用もないのに冷蔵庫を開けています。

「昔はな、その歳ならもう子どもが二人いた」

「そうなんですね」

それだけ返して、空になった瓶を下げました。言い返したところで、この人の物差しは動きません。座敷の話し声は目に見えて減っていきました。誰かが天気の話を振ろうとして、途中で立ち消えになります。

従兄が置いた短い言葉

隣に座っていた従兄が、コップを机に置きました。

「叔父さん、それ決めつけですよ」

声を荒げてはいません。座敷が静かだったぶん、よく通りました。

叔父の口が止まります。「いや、俺は」と言いかけて、その先を飲み込みました。持ち上げかけたコップを、そっと机に戻します。

「……そうか」

「そうですよ。心配なら、心配だって言えばいいじゃないですか」

従兄は急須を取って、叔父の湯呑みにお茶を注ぎました。伯母が「そうよね」と小さくうなずいて、向かいの叔母も続きます。

叔父はしばらく黙っていました。それから、僕のほうを見ずに言います。

「……まあ、元気にやってるならいい」

そこから先、叔父はビールを頼みませんでした。座敷の話題は仕事や旅行に戻り、いとこの子どもが立ち上がって走り回りはじめます。

帰り際、玄関で靴を履いていると、従兄が横に並びました。

「あれ、毎年だっただろ」

「気づいてたんですか」

「全員気づいてたよ。言うのが面倒だっただけ」

従兄は笑って、先に外へ出ていきました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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