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「煙、こっちに来てるね」公園でBBQをしていた家族。だが、10分後に片付けを始めたワケ

  • 2026.8.2

ベンチから見えた白い煙

週末の朝、自宅近くの大きな公園をいつものように歩いていました。一周して原っぱの端のベンチで休むのが、長年の習慣です。

その日は家族連れが多く、シートやテントがいくつも広がっています。タオルで汗を拭いていると、肉の焼ける匂いが流れてきました。

顔を上げると、原っぱの真ん中から白い煙が上がっていました。数組の家族がコンロを囲んでいます。

「そっちの網、そろそろ野菜も乗せてくれ」

「先に肉だろ」

声は、ベンチのあたりまで届いていました。大人たちはコンロの前から動きません。子どもたちは離れた遊具へ走っていきましたが、誰もそちらを見ていませんでした。

隣のシートにいた家族が、広げた荷物をまとめ始めます。

「煙、こっちに来てるね」

「向こうに移ろうか」

原っぱに立つ大きな看板

原っぱの入口には、大人の背丈ほどの看板が立っています。火気厳禁、バーベキューおよび花火禁止。赤い枠の文字は、ベンチからでも読めました。

隣で缶コーヒーを飲んでいた年配の男性が、そちらへ顎を向けます。

「あの看板の、すぐ横だよ」

「見えていないんでしょうね」

周りのシートからは、苦笑いと呆れ顔が向けられます。それでも誰も立ち上がりません。

10分後の原っぱ

ベンチに座ってから、10分も経たないうちでした。管理事務所のベストを着た人が3人、原っぱを横切っていきます。

コンロを囲んでいた大人たちが振り返ります。職員のひとりが、入口の看板を指しました。

「BBQは禁止だと、看板に書いてある」

怒鳴り声ではありませんでした。よく通る、落ち着いた声です。

「あちらにも、入口にも出ています」

缶を持った手が止まりました。男性は看板へ首を回し、何か言いかけて、そのまま口を閉じます。

「知らなかったもので」

「火の始末までお願いします。水はあちらの手洗い場で」

返事はありません。網が外され、トングが袋にしまわれ、テントの支柱が畳まれていきます。誰もこちらを見ませんでした。

荷物をまとめかけていた隣の家族が、腰を下ろし直します。

「移らなくてよくなったね」

遊具から戻ってきた子どもたちが、大人の背中に何か話しかけています。片づけの手は止まりません。10分前までいちばん大きかった声は、もう聞こえませんでした。

水筒の残りを飲んで、ベンチを立ちます。赤い枠の看板は、さっきと同じ場所に立っていました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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