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50個の話題を用意した顔合わせで、僕が返せたのは一言だけ

  • 2026.8.1
ハウコレ

書き足した話題は50を超えていました。

それなのに、彼女のお父さんの前で、僕の口から出るのは単語ばかりでした。顔合わせの前夜、書きかけの話題リストに、また新しい番号を書き足していました。

1枚のメモは、内ポケットで眠ったままでした

彼女の父が元・警察官だと聞いたのは、顔合わせの1週間前でした。それから僕は、仕事帰りの喫茶店で、話題のリストを書き足し続けました。仕事、趣味、地元、料理、週末の過ごし方。番号を振っていくと、50を超えていました。当日、僕は1枚のメモを折りたたんで内ポケットに入れ、ホテルの個室に入りました。

口から出るのは、単語だけでした

彼女の父から「お仕事は、どういった系ですか」と聞かれ、僕は「システム開発の会社に勤めています」と答えました。用意した仕事の話題は5番まで書いてあったのに、次の言葉が続きません。彼女のお母さんが「休みの日は、料理はされますか」と話を振ってくれたときも、「たまに、簡単なものを」と返すのが精一杯でした。質問が来るたび、頭の中で用意した文章をふるいにかけていたのです。退屈じゃない話を、お父さんに認められる趣味を。ふるいを通ると、返事となる単語しか残りませんでした。

駅のホームで、謝ることしかできませんでした

帰り道、彼女と2人になった駅のホームで、「今日、大丈夫だった?」と聞かれました。僕は少し間を置いて、「ごめん、うまく話せなかった」とだけ返しました。用意した50の話題は、1つも本題にたどり着けなかった。頼りない婚約者だと思われても仕方がない、と覚悟していました。彼女は、それ以上何も聞いてきませんでした。

そして...

数日後、彼女にあの1枚のメモを見せました。「用意していたんだ。全部、飛んだ」。ふるいのことも、白状しました。「この話は退屈じゃないか、この趣味は子どもっぽくないか、そう考えているうちに、単語しか出てこなくて」。彼女は、番号の並びをじっと見て、ふっと笑いました。次の食事は、私のお父さんの家でもう一度話そう、と彼女は言いました。今度こそ、2番の趣味の話くらいは、口にできるようにしたいと思っています。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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