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“毎年110万円ずつ”贈与を続けた70代父→「相続税対策はバッチリ」のはずが…40代息子が税理士から告げられた“驚きの事実”

  • 2026.8.1
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

「毎年110万円までなら非課税だから、コツコツ生前贈与していれば相続税対策はバッチリ」そう思って安心していませんか?実は2024年に行われた税制改正により、これまでの生前贈与による節税手法の常識が大きく覆されました。

今回ご相談に来られたのは、東京都在住の45歳男性・Aさん(仮名)。70代のお父様の将来の相続について対策を考えている最中です。「父は10年以上前から、毎年110万円ずつ私や妻、孫にも贈与してくれています。ですがニュースで『生前贈与の持ち戻しが過去7年分に伸びた』と聞き、これまでのやり方で大丈夫なのか不安になって……」と話します。

生前贈与の持ち戻し期間が「3年→7年」に延長

相続税には、亡くなる前の一定期間内に行われた暦年課税による贈与を、相続財産に加算して課税するルールがあります。これを一般に「生前贈与加算(持ち戻し)」といいます。

2023年までは「亡くなる前3年以内」が対象でしたが、2024年1月1日以降の贈与から、段階的に「7年以内」へと延長されることになりました。

  • 2024年1月1日以降の贈与が新ルールの対象
  • 延長された4年分(3年超〜7年以内)は、総額100万円まで控除可能
  • 完全に7年加算となるのは、2031年1月1日以降の相続から

なお、2026年に相続が発生した場合、加算対象となるのは「2024年1月1日以降の贈与」と「相続前3年以内の贈与(旧ルール分)」が重なる期間のため、実質的にはまだ3年前後の加算にとどまります。

しかし、これから行う暦年贈与は、将来(2031年以降など)に相続が発生した際、しっかりと7年ルールの対象になっていきます。「まだ影響は少ない」と油断せず、早めに対策を見直すことが重要です。

「孫への贈与は対象外」のはずが…ここにも落とし穴

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「孫への贈与なら持ち戻し対象外」と聞いたことがある方も多いはず。原則、相続人ではない孫への贈与は加算対象外ですが、次のケースでは例外的に加算対象となります。

  • 孫が代襲相続人である(息子・娘がすでに亡くなっている)
  • 遺言で孫に財産を遺す(受遺者になっている)
  • 孫が生命保険金の受取人になっている
  • 孫を養子縁組して法定相続人にしている

Aさんの場合、お父様が「孫にも財産を残したいから遺言を書こうか」と検討していたため、もし遺言で財産を渡すと、孫への生前贈与も持ち戻し対象になってしまうリスクがありました。

「孫に財産を残したい」という想いを実現する方法は遺言だけではありません。孫が相続財産を取得しない形で生前贈与を行う、教育資金や住宅取得資金の非課税制度を検討するなど、複数の選択肢があります。

都市部の持ち家世帯も無関係ではない

「うちは富裕層じゃないし関係ない」と思いがちですが、東京都の相続税課税割合は20.0%。世田谷区や杉並区などの一部地域では3割を超えます。都内に持ち家があるご家庭ほど、この改正の影響を受けやすいのが実情です。

改正の影響は大きいですが、対策を講じる手段はまだ十分に残っています。

  1. 相続時精算課税制度を活用する2024年から年110万円の基礎控除が新設されました。この110万円以下の贈与部分は、将来亡くなった際の持ち戻し対象外となるため、確実な非課税枠として有効です。(※ただし、110万円を超える部分は将来すべて相続財産に加算される点や、一度選択すると従来の暦年課税に戻れない点に注意が必要です)
  2. 生命保険を活用する死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」まで非課税。相続財産を保険金に振り替えるだけで、課税対象を圧縮できます。
  3. 住宅取得等資金贈与の特例を使う子・孫の住宅購入資金として、最大1,000万円(省エネ住宅)まで非課税で贈与可能です。教育資金・結婚子育て資金にも別途特例があります。

これらの特例は、暦年贈与や相続時精算課税制度と併用が可能です。たとえば住宅取得資金1,000万円+暦年贈与110万円を同じ年に行えば、合計1,110万円を一度に非課税で移転できます。(※各特例の適用には、受贈者の所得要件や期限内の申告など一定の条件があります)

節税の常識が変わった今こそ、長期的な資産承継の再設計を

2024年の改正により、暦年贈与(年110万円の基礎控除)だけに頼った従来の相続税対策は、より長期的かつ戦略的な計画が必要不可欠となりました。

  • 制度の最新ルールを正しく把握する:持ち戻し期間の段階的延長(最終的に7年)や、孫への贈与が加算対象になるケースなど、思い込みによる失敗を防ぐ。
  • 新たな選択肢・特例を組み合わせて活用する:年110万円の基礎控除が新設された「相続時精算課税制度」の活用や、生命保険の非課税枠、住宅取得資金贈与の特例などを検討する。
  • 親が元気なうちに家族で話し合う:認知症などによる判断力の低下前に家族会議を行い、必要に応じて相続に強い税理士などの専門家へ相談する。

将来に向け7年ルールの影響が本格化する前に、ご家族の状況に合わせた最適なプランへのアップデートを進めてみてはいかがでしょうか。


※本記事は一般的な税制の概要を解説したものであり、個別の税務判断や節税効果を保証するものではありません。実際の相続税対策や贈与にあたっては、所轄の税務署または税理士等の専門家にご相談ください。

執筆:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

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