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“月約8万円の通院費”を支払った50代夫婦→「高額療養費を使うほどではない」放置するが…後日、判明した事実に“後悔したワケ”

  • 2026.8.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

病院での支払いが数万円におさまると、「高額療養費制度を使うほどではない」と考えてしまう方もいます。

しかし、医療費は1人分だけで見ると判断を誤ることがあります。夫婦や家族で同じ月に医療費が重なった場合、条件を満たせば合算して確認できるケースがあるためです。

今回は、夫婦それぞれの通院と検査を別々に見てしまい、制度確認を後回しにした50代夫婦の事例をもとに、世帯合算の注意点を見ていきます。

「夫は3万円台、妻は4万円台」で終わらせてしまった

50代のAさんは会社員です。妻はAさんの被扶養者で、子どもは独立し、現在は夫婦2人で生活していました。

ある月、Aさんは持病の治療のため、同じ医療機関を2回受診しました。窓口で支払った保険診療の自己負担は、合計で約3万1,000円です。加えて、その医療機関の処方せんをもとに、調剤薬局で薬代約6,000円を支払いました。

一方、妻も同じ月に体調不良で検査を受け、医療機関で約4万2,000円を負担しました。

Aさん夫婦の感覚では、「夫は3万円台、妻は4万円台」です。どちらも入院ではなく、手術を受けたわけでもありません。そのため、「高額療養費の手続きまでは必要ないだろう」と考えていました。

ところが、夫婦合計では約7万9,000円です。家計簿にまとめると、その月だけ医療費が大きく膨らんでいることに気づきました。

後日、Aさんが加入先の制度を調べたところ、家族の医療費を合わせて判定できる場合があることを知ります。Aさん夫婦は同じ公的医療保険に入っており、その月には、合算対象になり得る自己負担がそれぞれ発生していました。

また、Aさんの所得区分によっては、1か月の自己負担限度額が5万7,600円程度となる場合があります。仮にこの区分に当てはまれば、夫婦で支払った約7万9,000円について、払い戻しを確認する余地があったのです。

Aさんは「1人ずつの金額だけを見て、家族で足して考える発想がありませんでした」と話しました。

世帯合算は、家族なら何でも足せる制度ではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

高額療養費制度では、保険診療の自己負担が一定の上限を超えた場合、超えた分が払い戻されることがあります。

このとき、家族分を合わせて判定できる仕組みが「世帯合算」です。

ただし、ここでいう世帯は、単に同じ家に住んでいる家族という意味ではありません。基本になるのは、同じ公的医療保険に入っているかどうかです。

たとえば協会けんぽでは、被保険者とその被扶養者が世帯として扱われます。反対に、夫が会社の健康保険、妻が国民健康保険というように加入先が違う場合は、原則として一緒に計算できません。

もう1つ注意したいのが、70歳未満の扱いです。70歳未満では、自己負担が2万1,000円以上あるものが合算の対象になります。さらに、医療機関ごと、医科・歯科別、入院・外来別などに分けて判断します。

つまり、細かい支払いをすべて足せるわけではありません。一方で、3万円台、4万円台の支払いが同じ月に重なった場合は、確認する価値があります。

薬代や検査代は確認対象になることも

世帯合算で見る中心は、保険診療の自己負担です。

通院時の窓口負担や検査代は、条件を満たせば対象に含まれる可能性があります。処方せんに基づいて調剤薬局で支払った薬代も、処方せんを出した医療機関の自己負担に含めて計算します。

一方、医療機関に関係する支払いでも、対象外になるものがあります。

たとえば、差額ベッド代、入院中の食事代、先進医療の技術料、通院交通費、診断書などの文書料です。これらは、家計から出ていくお金ではありますが、高額療養費の計算には入らないことがあります。

確認するときは、次の3点を見てください。

  • 同じ月の医療費か
  • 同じ公的医療保険に入っている家族分か
  • 70歳未満なら、医療機関ごと、医科・歯科別、入院・外来別などで2万1,000円以上か

「病院に払ったお金だから全部入る」と考えず、保険診療の自己負担を分けて見ることが大切です。

医療費は人別ではなく月別で確認する

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

FPとして見ると、Aさん夫婦の見落としは「医療費を人別に見たこと」です。

夫は3万円台、妻は4万円台。たしかに、それぞれ単独で見れば、すぐに制度を思い浮かべにくい金額かもしれません。

しかし、家計から見れば、同じ月に約8万円の医療費が出ています。ここは、家計管理では分けて考えないほうがよい部分です。

医療費が重なった月は、領収書を人ごとにしまい込まず、月ごとにまとめて確認してみてください。同じ公的医療保険に入っている家族分か、2万1,000円以上の自己負担が含まれていないかを見るだけでも、制度の見落としを減らせます。

また、医療費が多かった月の領収書や診療明細は、後から確認できるように残しておくと安心です。医療費控除を受ける場合、医療費の領収書は自宅で5年間保管する必要があります。

「入院していない」「1人分ではそこまで高くない」と判断する前に、同じ月の家族全体の医療費として見直す。この確認が、使える制度に気づくきっかけになります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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