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隣は空き家なのに「切ってはいけない」5年間で約4万円も自腹負担した母→40代息子の帰省で発覚した“思わぬ事実”

  • 2026.8.26
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。久しぶりに実家へ帰省した際、庭や建物周辺の様子が変わっていて驚いた経験はないでしょうか。

隣家が空き家になっていると、生い茂る草木が敷地を越えて、悩みの種になることもあります。今回は、実家の庭に空き家から張り出していた枝をめぐるエピソードを紹介します。

物干し場を覆う大枝と4万円の雨どい修繕

Iさん(40代・会社員)の実家は、母が一人で暮らす地方の戸建てです。今年のお盆、Iさんは実家へ帰省しました。隣家は5年ほど前から空き家になっており、敷地内の樹木が生い茂っています。

見上げると、太い枝が物干しの上まで張り出し、庭の日当たりを悪くしていました。去年、落ち葉が積もって雨どいが詰まり、あふれた雨水で軒下にしみができています。雨どいの清掃と補修にかかった約4万円は、母が自分で支払っていました。

「うちの敷地にはみ出している分だけでも切れないの?」

Iさんが尋ねると、母は困った表情で首を振りました。

「切ってはいけないらしいのよ」

境界を越えた枝でも切れるのは持ち主だけだと、母は昔から聞いていました。母の知識は、以前の民法では正しいものでした。

令和5年の民法改正と、2通の書面による催告

令和5年4月に施行された民法改正により、越境された側の対応ルールが変わりました。木の所有者へ切除を催告(相手に一定の行為を求めること)しても相当の期間内に応じないときは、被害を受けた側が自ら切り取れるようになったのです。

催告の後に待つ相当の期間は、基本的に2週間程度とされています。隣の庭木は相手の所有物であり、無断で切るともめ事のもとになりかねません。Iさんは法的な手順に従い、書面による催告から始めることにしました。

帰省中に親戚を通じて空き家の持ち主の連絡先を確かめ、土地所有者である母の名義で写真を添えた書面を送付します。1通目の書面に対して、相手方からの返答はありませんでした。

2週間ほど待ったIさんは、植木屋から枝の切除費用として約3万円の見積もりを取ります。期日までに対応がなければ、法律の定めに沿ってこちらで切除し、費用を請求する旨を書いた2通目の書面を送ります。

2つ目の通知を受け取った相手から「業者を手配します」と返事が届きました。枝は10月のうちに、所有者の負担で切除されます。

「もっと早く動けば良かったわ」

すっきりした庭を眺めながら、母はそう漏らしました。数年の我慢を重ねる間に、母は雨どいの修理代を負担していたのです。

越境した庭木トラブルを解決するための手順

隣家から枝が越境して被害が出ているときは、我慢を続けず適切な手順を踏んで対応しましょう。まずは土地の所有者の名前で、相手に改善を求める書面による催告を行います。

後々のトラブルを防ぐためにも、庭の写真や郵送した書面の控えは手元に残しておきましょう。持ち主が分からない空き家については、自治体の空き家相談窓口で調査の糸口について相談してみてください。

催告に応じてもらえず自分で切った場合の費用は、基本的に持ち主へ請求できるとされています。ただ、実際の費用回収や枝の処分をめぐって、当事者間でもめる場合もあります。

自分で切除を実行する前に、自治体や弁護士などの専門家に相談して助言を受けましょう。

参考:民法の改正(所有者不明土地等関係)の主な改正項目について(法務省)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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