1. トップ
  2. 住まい
  3. 「20年で6人になっていた…」新幹線で2時間かけて帰省→70代父実家で判明…30代男性を襲った落とし穴【一級建築士は見た】

「20年で6人になっていた…」新幹線で2時間かけて帰省→70代父実家で判明…30代男性を襲った落とし穴【一級建築士は見た】

  • 2026.9.20
undefined
出典:photoAC(※画像はイメージです)

「帰省したら、父が権利証を出してきたんです。見たら土地の名義が、20年前に亡くなった祖父のままで…」

そう話すのは、新幹線で2時間の距離にある実家に帰省したWさん(30代男性・妻と子ども1人の3人暮らし)です。実家は、父が約28年前に約2,700万円で建て替えた一戸建て(4LDK・延床約101㎡/土地約210㎡)で、70代の父が一人で暮らしています。

帰省した際、父が「いずれ頼むことになるから」と権利証を出してきました。建物は父の名義ですが、土地は20年前に亡くなった祖父の名義のままでした。祖父が亡くなった当時、司法書士から「土地の登記もお早めに」と案内は受けていたそうですが、固定資産税は父が払い続けていて不便もなく、費用と手間がかかるため先送りにしていたのです。

名義の変更は、義務になった

亡くなった人の名義のままの不動産は、2024年4月から放っておけません。相続で不動産を取得した人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます。

それ以前の相続も対象で、期限は2027年3月31日。実家の土地は、この「過去の相続」に当たります。名義を変えずにいると売ることも担保にすることもできず、相続が重なるたびに関係者が増えます。

20年で、関係者は6人になっていた

Wさんの祖母は先に亡くなっていて、祖父の相続人は、父と、父の兄弟2人でした。ところが弟の1人は数年前に亡くなり、その権利は妻と3人の子に移っていました。名義を父に変えるには、この6人全員で誰が受け継ぐかを決める話し合い(遺産分割協議)と、その書面が要ります。

20年前なら3人で済んだ話が、いまは会ったこともないいとこを含む6人。放っておけば、さらに増えるところでした。

Wさんは父と相談し、司法書士に依頼しました。戸籍をさかのぼって相続人を確定し、協議の書面を作って登記する流れで、費用は登録免許税(土地の評価額の0.4%)と報酬で約15万円の見込みです。話し合いがまとまらない場合は、自分が相続人だと法務局に申し出るだけで義務を果たしたことになる「相続人申告登記」があることも確かめました。

父の兄と、亡くなった弟の家族への連絡は、Wさんが引き受けることにしました。

実家の名義、いま確かめる

親が元気なうちに名義を今の世代にそろえれば、次の相続は格段に軽くなります。一度済ませれば、家族の誰かがまた困ることはありません。期限は迫り、関係者は増えるばかりだからこそ、帰省のついでに権利証を見ることが欠かせません。

・登記簿の名義を確認。亡くなった人のままなら、過去の相続分は2027年3月31日が期限
・登記しないと10万円以下の過料の対象。遺産分割がまとまらなければ相続人申告登記で義務を果たせる
・相続人が亡くなると権利はその子へ。関係者は時間とともに増える
・戸籍集めと書面作りは司法書士へ。費用は登録免許税0.4%と報酬が目安

次の帰省では、親の家の権利証を一度、一緒に開いてみてください。

参考:
相続登記の申請義務化について(法務省)
不動産の相続登記義務化!過去の相続分は?所有不動産を一覧的にリスト化する新制度も開始!(政府広報オンライン)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ