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「3枚持ってるのに、1枚だけなの!?」クーポンを使うために何度も並ぶ常連客。だが、店長が示したルールとは

  • 2026.8.1
「3枚持ってるのに、1枚だけなの!?」クーポンを使うために何度も並ぶ常連客。だが、店長が示したルールとは

チラシが折り込まれた土曜

5年ほど前、駅前の商業施設に入ったドーナツ屋で働いていました。

クーポン付きのチラシが入る週末は、開店前から店の外に列ができます。

そのクーポンは、1回のお会計につき1枚まで。券の裏にも小さな字でそう書いてあります。

その朝いちばんに入ってきたのは、顔を覚えている常連の女性です。

トレーいっぱいのドーナツと一緒に、クーポンを3枚並べます。

「これ、まとめて引いてね」

「申し訳ありません。1回のお会計につき1枚までとなっております」

「3枚持ってるのに、1枚だけなの!?」

女性はトレーを見下ろすと、ドーナツをいくつか脇へ押しやりました。

「じゃあ、こっちは戻して。1枚ぶんだけ買うわ」

下げた品を引き取り、会計をやり直します。袋を渡すと、女性は次を決めていました。

「3回並ぶから、1枚ずつレジに出すわ」

最後尾へ戻っていく常連客

言葉のとおり、女性はそのまま列の最後尾につきました。二度目の会計でも、同じようにクーポンが1枚出てきます。

そのころには列が自動ドアの外まで伸び、ベビーカーの女性や腕時計を気にするスーツの男性が並んでいました。

そして三度目。女性がまた最後尾へ歩いていくのが見えました。

「さっきの人だよね」

列のどこかから声が上がります。手が止まりかけたとき、厨房の扉が開きました。

「レジは続けて。私が話すから」

店長が示した正論

女性が三度目のカウンターに立つと、店長はレジ脇の案内を女性の側へ向け、列の後ろまで届く声で言いました。

「本日のクーポンは、1回のお会計につき1枚まででございます。並び直しをされた場合も、お一人さま1枚までの扱いとなります」

「そんなの、どこに書いてあるの」

「券の裏と、こちらの案内でご説明しております」

クーポンをつまんだ女性の指が、そこで止まりました。

「…あっそ、でも」

言いかけて、女性は後ろを振り返ります。

ドアの外まで続いた列が、そろってこちらを向いていました。

「もういいわ」

クーポンを財布に押し込むと、女性はトレーを返却台に置いて出ていきました。

「お待たせしました。お次の方、どうぞ」

列が動きはじめます。店長は伝票をめくりながら言いました。

「お断りしたのは正しいよ。次からは、最初に呼んで」

次にチラシが出た週末も、あの女性は来ました。

財布から抜いたクーポンは1枚だけで、私とは最後まで目を合わせませんでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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