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【内科医解説】ただの「水」はNG?熱中症を防ぐ正しい水分補給|経口補水液・スポドリの使い分けと意外な落とし穴

  • 2026.7.30

今年も本格的な暑さがやってきました。
熱中症をニュースで耳にしない日はありませんよね。
水を飲めばいいのか、スポーツドリンクがいいのか、経口補水液を準備すべきか・・・。
この夏を乗り切るためにはどうすればいい?
戸塚西口さとう内科院長の佐藤孔信先生による解説です。

【熱中症の基礎知識】屋内でも発生する?発症を引き起こす「3つの要因」

これから本格的な猛暑に向けて、熱中症への対策がとても重要になります。
熱中症とは、高温多湿な環境下で体温の調節がうまくできなくなり、体の中に熱がこもることで起こる様々な健康障害のことをいいます。
めまいや立ちくらみなど様々な症状がみられ、重症の場合には命に関わることもあります。熱中症は屋外だけではなく、屋内でも発症することがあるので注意が必要です。
熱中症の主な要因には次の三つがあります。
一つ目は、気温や湿度、風通しの悪さなどの「環境要因」
二つ目は、高齢者や乳幼児、低栄養状態や体調不良による脱水状態などの「身体的要因」
三つ目は、長時間の屋外作業や激しい運動、水分が取れない状況などの「行動要因」
です。

なぜ水だけではダメなのか?熱中症予防に「電解質(塩分・ミネラル)」が必要な理由

熱中症を予防する対策の一つとしてこまめな水分補給が大切です。
ただし、水分補給といっても、ただ水をたくさん飲めば良いということではありません。
汗をかくと、体の中の水分だけではなく、塩分やミネラルも失われます。
この状態で水だけをたくさん摂ると、体の中の塩分(ナトリウム濃度)やミネラル濃度が低くなり、電解質のバランスが崩れます。
電解質のバランスが崩れると、だるさや頭痛、筋肉のけいれん、不整脈、意識障害など命に関わることもあります。
通常は1日3食、バランスの良い食事をしていれば塩分が不足することはほとんどありません。
ただし、高温な環境下で汗をたくさんかく場合には水分とともに塩分やミネラルも多く失われるので、水だけでなく、電解質も補える経口補水液やスポーツドリンクなどで適宜補給することが大切です。

【完全比較】水・経口補水液・スポーツドリンクの違いと正しい使い分け

そこで、水、経口補水液、スポーツドリンクの使い分けについて説明いたします。
経口補水液は脱水時に体内から失われた水と電解質を小腸で素早く吸収できるように水・電解質・ブドウ糖等で構成されており、各成分の配合割合が決められている飲料になります。
スポーツドリンクと比較すると、約3~4倍の電解質を含んでおり、水と電解質のスピードを上げるために糖度が少なめです。
下痢・嘔吐・発熱等の感冒症状や高齢者の脱水症、過度の発汗の脱水症が伴う場合には、経口補水液が適しているといえます。
脱水状態がない方が日常的に飲む必要はありません。
日常生活での水分摂取は水やお茶が基本です。
運動時や大量に汗をかいた場合は適宜スポーツドリンクを利用すると良いでしょう。

ペットボトル症候群に注意!スポーツドリンクの糖分と持持病(糖尿病・高血圧)がある方の注意点

ただし、スポーツドリンクは角砂糖で表すと500mlで約10個前後の糖分を含んでいます。
そのため、短期間に大量に飲用してしまうと、血糖値が急激に上昇しインスリンの働きが追いつかなくなることで、体内にケトン体が産生されてしまう「ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)」になる危険性があります。
糖尿病と診断されていない方でも発症する場合があり、異常な喉の渇きや倦怠感、重症の場合は昏睡状態に陥ることもあります。
そのため、基本的な水分摂取は水やお茶で、汗をたくさんかく時は適宜スポーツドリンクを飲むのが良いでしょう。
持病がある方は経口補水液やスポーツドリンクの飲用には注意が必要です。
糖尿病の疾患がある方は、糖分に配慮が必要であり、経口補水液は500mlに1.5gで味噌汁1杯分ほどの塩分、スポーツドリンクは経口補水液の1/3程度の塩分を含むため、高血圧などで塩分制限がある方やカリウム制限をされている方など、持病がある方は医師に相談して飲むようにしましょう。

コーヒーやお酒は水分補給になる?カフェイン飲料とアルコールの利尿作用の違い

また、水分としてカフェイン飲料やアルコール飲料は水分補給になるでしょうか?
利尿作用があるといわれているカフェインに関して、最近の研究では多少の利尿作用はありますが、飲んだ水分以上に失われることがなく、水分補給の一部になると報告されています。
ただし、高温な環境下で汗をたくさんかく場合はカフェイン飲料のみではなく、水や麦茶などのカフェインを含まない飲み物、必要であればスポーツドリンクで適宜水分摂取をしましょう。
それに対してアルコールは注意が必要です。
アルコールは腎臓での水分の再吸収をコントロールしている(尿量を減らす)ホルモンの働きを妨げます。
それにより強い利尿作用で飲んだ分以上の水分が体から出ていく可能性があります。
また、アルコールは多飲することにより、急性アルコール中毒、肝臓や膵臓、循環器系など様々な健康障害を招いてしまう可能性があります。
そのためアルコールは水分補給に適しているとはいえません。

今年も猛暑が予想されています。
上手な水分補給で、夏を元気に乗り切りましょう。

[執筆者]


佐藤孔信先生
戸塚西口さとう内科・院長

専門は糖尿病や腎臓病等、多岐にわたる。
「対話を大事に、患者様からのsignを見逃さない」医療を目指し、幅広い診療科の医師、スタッフとともにチームで診療にあたっている。
また、病診連携・診診連携の体制をしっかり整え、より早期に包括的な医療の提供を心掛けている。

戸塚西口さとう内科
https://www.satounaika.com/

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