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「毎月3万、必ず返しに来るから」子供の頃、黙って使われた私の貯金。だが、兄が抱えていた本音とは

  • 2026.7.30

知らないうちに使われていた

四人兄弟の末っ子として育った私には、子どもの頃、自分名義の口座があったそうです。

もらったお年玉や祝いを、親が少しずつ預けてくれていたものでした。

小学生だった当時の私は、その存在すら知りません。

二番目の兄が県外の大学へ進むとき、学費が足りなくなったことがありました。

二十数年前のことです。長男の兄も工面したうえで、母が足りない分を、私の口座からも黙って回していたのだといいます。

その事実を私が知ったのは、ずっとあとになってからでした。

すでに大人になっていた私に、母が打ち明けたのです。

小学生の貯金にまで手をつけていたと聞いて、さすがに言葉に詰まりました。

それでも、当時の家計を思えば、母を責める気にはなれませんでした。

兄からの申し出

その頃、二番目の兄とは、暮らす土地も離れて、めったに会いませんでした。

お金のことも、こちらから切り出すことはないまま、何年も過ぎていきます。

二年ほど前、久しぶりに会った兄が、改まった様子で言いました。

「毎月3万、必ず返しに来るから」

使ったお金を、そのままにはできない。ずっと気にかけていた、と兄は言います。

私は、もう気にしていないと伝えましたが、兄は引きませんでした。

「金額の問題じゃないんだ。けじめをつけさせてくれ」

「そこまでしなくても、と思ったよ。でも、兄貴がそう決めたなら」

結局、私が折れる形になりました。何を言っても、兄の目はまっすぐで、揺らぐ気配がありません。あの進学のことを、ずっと胸の奥に抱えていたのだと、その一点で伝わってきました。

今も続く3万円

それから兄は、言葉のとおり、毎月3万円を返しに来ています。振り込みで済ませることもできたはずです。それでも兄は、必ず自分で顔を出しました。

「今月のぶん。……ついでに、茶でも飲ませてくれ」

玄関先で封筒を渡すと、そのまま上がって、しばらく話していきます。子どもの頃のこと、あの進学のときの家の様子。会うたびに、途切れていた時間が少しずつ埋まっていきました。

完済まで、あと二年ほどです。正直に言えば、返ってくる3万円より、毎月律儀に足を運んでくれる兄の本音のほうが、私にはずっと大きいものでした。

黙って使われたわだかまりは、いつのまにか、この人は信じられるという気持ちに変わっていたのです。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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