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「おそろいにしたかったんです」机に置かれたカーディガン。人懐っこい後輩の行動に恐怖したワケ

  • 2026.7.28

気づけば、そろっている

同じ部署に配属された後輩は、最初はただ明るくて話しやすい人だった。

距離が近いのも、人懐っこさの裏返しだと思っていた。むしろ、こんなに懐いてくれてありがたいくらいに感じていた。

ところが、いつからか私の持ち物が、次々と彼女の手元にも現れるようになった。

ハンドクリーム、アクセサリー、小物のひとつひとつ。私が新しく使い始めたものを、決まって少し遅れて、彼女がそっくりそろえてくる。最初は偶然だと思っていたが、回を重ねるほど、その一致は偶然では説明できなくなっていった。

決定的だったのは、私が誰にも話していないはずの悩みを、長い文面で「分かるよ」と送ってきたことだ。

どうやら、同僚との雑談を遠くで聞いていたらしい。拾い集めた断片をつなぎ、私の心の内をすべて見透かしたように語ってくる。

理解者のような顔をされるたび、背中に冷たいものが走った。

ある晩、私が眠れないままに短い文面を書き込むと、数分後にひと言だけ届いた。

「深夜にあなたのことを考えてました」

上司が動いた朝

時刻は、ちょうど0時を回ったところだった。

その文面を見た瞬間、指先から血の気が引いていくのが分かった。

そして翌朝、出社した私の机の上には、前日に私が着ていた服と同じ色のカーディガンが、きちんとたたんで置かれていた。

「おそろいにしたかったんです」

彼女は、屈託のない笑顔でそう言った。

害はないのかもしれない。悪気もないのだろう。それでも、私の一日を一歩後ろからなぞり続けるその執着に、心は確実にすり減っていた。

何を着るか、何を持つか、その一つひとつを見られていると思うと、身支度をするだけで気が重くなる。このまま我慢を続ければ、いつか自分のほうが壊れてしまう。

そう感じた私は、迷った末に、上司へすべてを話すことにした。

上司は、私の話を一つひとつ丁寧に、途中でさえぎることなく聞いてくれた。そして最後に、「よく言ってくれた」と静かにうなずいた。

その日のうちに席が調整され、翌週には担当も分けられた。動いてくれる人がいる。それだけで、これほど心強いものかと思った。

顔を合わせる時間が減っていくと、あの重い文面も、そろえられていく持ち物も、潮が引くように静かに遠ざかっていった。

一人で抱え込まず、勇気を出して声を上げたことが、結局は自分を守る一番の近道だった。打ち明けたあの朝を境に、私の毎日は少しずつ、まぎれもなく私だけのものへと戻っていった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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