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「見積もり約120万円」築22年・80戸マンションの電気室で…46歳理事が“半地下の盲点”に気づいたワケ

  • 2026.9.15
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。不動産管理会社で10年以上の現場経験があり、マンション管理士の資格を持つライターのS.Kです。台風や大雨のニュースが続くと、自分の住まいは大丈夫だろうかと不安になる方も多いのではないでしょうか。

マンションの浸水への備えでは、住戸だけでなく建物の設備にも目を向ける必要があります。今回は、台風のニュースをきっかけに建物の電気室が半地下にあると知り、浸水対策の工事を行った事例を紹介します。

水害の事例から浮かび上がった電気室の場所

Mさん(46歳・会社員)は妻と中学生の長女の3人家族です。築22年・12階建て・総戸数80戸のマンションの9階に住み、今期の理事を務めています。

去年の秋、台風の接近に備えて開催された理事会で、管理会社から資料が配られました。令和元年東日本台風(2019年)で高層マンションの地下電気設備が水に浸かり、停電が長引いた事案を紹介する内容です。

「うちの電気室は、どこにありますか」

資料を見た理事の一人が質問しましたが、その場で答えられる人はいません。実際には電気室は駐車場の奥、半地下にありました。管理会社が手配した設備会社が点検した結果、出入口は前の道路より低く、水の浸入を防ぐ備えはありません。担当者は、浸水したときの影響をこう説明しました。

「電気室が水に浸かると、設備が使えなくなるリスクがあります。エレベーターも給水ポンプも電気で動いているので、復旧まで時間がかかります」

電気室には受変電設備(電力会社から受け取った電気を建物内で使える電圧に変える機器)があり、建物の電気の心臓部にあたるためです。

見積もり約120万円、止水板の設置を通常総会で決議

水の浸入経路を調べると、排水管には逆流を防ぐ弁が設置されていました。対策が必要な場所は、出入口と低い位置にある換気口の2か所だと判明します。理事会は、2か所に大雨の恐れがあるときにはめ込む「脱着式止水板」の設置を検討しました。

止水板は国のガイドラインでも、既存の建物に取り付けやすい方式として挙げられています。工事の見積もりは約120万円で、修繕積立金から支出する工事計画が通常総会に上程され、無事可決されました。

工事はこの夏、台風シーズンを迎える前に完了しています。しかし、板があるだけでは建物を守れません。理事会で配られた資料には、管理員が鍵を持ったまま帰宅し、集中豪雨の日に設置できず1階が水に浸かった事例も載っていました。

取り付け自体は、1か所あたり5分から10分程度で終わります。管理組合は「台風の予報が出たら誰が板をはめるのか」「鍵をどこに保管するのか」まで決め、取り付けの練習も実施しました。

電気室の場所とハザードマップを重ねて見る

自分のマンションの電気室がどこにあるかを、ぜひ一度管理会社に確認してみてください。自治体のハザードマップの浸水想定と重ねて見ると、備えが必要な建物なのかを判断できます。

電気室が浸水リスクのある低い位置にある場合は、対策を理事会の議題として提案してみましょう。

参考:建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン(国土交通省・経済産業省)



ライター:S.K(マンション管理士)
不動産管理会社で10年以上の現場実務に携わり、業界団体の評価制度策定委員会に所属していた経験がある。現在はライターとして、自身の豊富な経験・知見をもとに、一次情報を盛り込んだ不動産記事を多数執筆している。


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