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「床に線があるよ」お盆帰省から10日後、子どもが指摘…5,900万円注文住宅で、30代夫婦が目撃した“異様な光景”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.27
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

「帰省から戻った日、子どもが『床に線がある』と。見ると、髪の毛みたいなひびが1本走っていて」

そう話すのは、3年前、地元の工務店で注文住宅(4LDK・延床約115㎡/土地約141㎡、約5,900万円)を建てたTさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

自慢は、玄関から続くモルタル仕上げの土間リビング。グレー1色の質感に憧れて選びました。引き渡し時、工務店から「モルタルの床は乾燥で細かいひびが入ることがあります。構造上の心配はありません」と説明も受けていました。この夏、10日間のお盆の帰省から戻った日のこと。子どもの一言で、テレビ台の前から壁際へ走る細い線に気づいたのです。欠陥なのか、地盤なのか。夫婦は不安になりました。

モルタルは、「縮みながら固まる」素材

モルタルは、セメントと砂を水で練った材料です。固まったあとも余分な水分が抜けていき、そのぶんわずかに縮みます(乾燥収縮)。縮む力の逃げ場がないと、髪の毛ほどの細いひび=ヘアクラックが入ります。目安は幅0.3mm程度まで。打って1〜2年のうちに出ることが多いものの、後から見つかることもあります。

冷房で除湿された夏の室内も、床にとっては乾燥の季節です。細いひびは不具合ではなく素材の性質。多くのモルタル床が通る道です。

見るのは「幅」と「段差」…仕上げと構造は別

Tさん宅の床のモルタルは、土間コンクリートの上の薄い「仕上げの層」で、建物を支える構造体ではありません。仕上げのヘアクラックと、建物の強度は別の話です。一方で、目安はあります。幅が広がり続ける、左右に段差がある、建具の開閉不良とセットになっている場合です。こうしたひびは下地や構造的な問題のサインである可能性があり、専門家への相談が必要です。

工務店の点検の結果、Tさん宅のひびは幅も段差もない乾燥収縮のヘアクラックでした。

Tさん夫婦はどう対応したのか

点検は無料でした。補修は「樹脂を擦り込む方法(数千円から)もありますが、色が完全には合わず跡が残る場合もあります」との説明。夫婦で相談し、今回は補修せず、素材の味として残す選択をしました。年1回の点検で幅と段差を見てもらい、スマホでひびの写真を日付つきで記録し始めました。

ひびは「慌てず、測って、記録する」

継ぎ目のないグレー1色の床はモルタルならではの質感で、SNSでも人気です。ひびとの付き合いまで含めて、この素材の味わいです。以下を確かめてみてください。

・髪の毛ほどの細いひびは、モルタルの乾燥収縮による性質:まず慌てない
・見るのは「幅」と「段差」:幅が広がる、段差がある、建具の不調とセットなら工務店や専門家へ
・写真に日付を添えて残すと、変化の有無がひと目で分かります
・補修は色合わせに限界も:味として残す選択肢もあります
・旅行や帰省から戻った日は、わが家を新鮮な目でひと回り:10日ぶりの家では、小さな変化がよく見えます

ひびの特性さえ知っていれば、グレーの床は、この先も長く自慢のままでいられます。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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