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お盆の帰省前に数千円の遮熱フィルムを貼った30代夫婦、10日後に窓が見せた“想定外の事態”"【一級建築士は見た】

  • 2026.8.27
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「帰省前にフィルムを貼って、戻ったらガラスにひびが入っていたんです。留守の間、誰も触っていないのに」

そう話すのは、2年前、大手ハウスメーカーで注文住宅(4LDK・延床約117㎡/土地約152㎡、約6,200万円)を建てたSさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

西側の階段の窓は隣家が近く、網の入ったガラス。引き渡し時に「防火のための網入りガラスです」と説明を受け、「網入り=丈夫」と受け取っていました。猛暑続きのこの夏、お盆の帰省で10日間空ける前に、留守中の熱対策もかねてホームセンターの遮熱フィルム(数千円)を自分で貼りましたが、注意書きは読み飛ばしていました。帰省から戻った夕方、窓の縁に見覚えのない一本のひびが走っていたのです。

ガラスは「温度差」で割れる…熱割れという現象

日射に当たるガラスの中央は温まって膨張し、サッシに隠れた縁は温まりません。この温度差による引っ張り合いで、縁からひびが走ります。これが「熱割れ」で、ぶつけていなくても起こるガラスの性質です。遮熱フィルムには、日射の熱をガラスに吸収させて部屋への熱を減らすタイプがあります。

部屋は涼しくても、ガラスの温度は上がり、熱割れの条件がそろいやすくなるのです。締め切った留守中は、カーテンとガラスの間に熱がこもって、熱割れのリスクがさらに高まります。

網入りガラスは「丈夫」ではなく「防火用」

網入りガラスは、火災のときに割れても、ガラスが崩れ落ちにくくするための防火設備です。隣家に近い「延焼のおそれのある部分」の窓に使われます。防犯ガラスでも強化ガラスでもありません。むしろ金属線が熱を持ちやすく縁の強度も低めで、熱割れが起きやすいガラスの代表格。

多くのフィルムが網入りガラスを「貼れない・要確認」とするのはこのためです(対応をうたう外貼り専用品もあります)。Sさん宅のひびは、不良品ではなくガラスの性質上、起こるべくして起きた現象でした。

Sさん夫婦はどう対応したのか

ひびの入ったガラスは網がガラスを押さえているため飛び散らず、交換の日まで危なげなく過ごせました。アフター窓口へ連絡してガラスを交換(フィルムが原因のため有償で数万円。ご本人も納得の上でした)。交換後はフィルムを貼らず、西日は外付けの日よけスクリーン(数千円)と遮熱レースのカーテンで遮り、以後ひびは出ていません。

フィルムは、「ガラスの種類」を確かめてから

数千円のDIYフィルムは手軽で人気があり、貼りたくなるのは自然です。失敗を防ぐための答えは、最初から注意書きに書いてあります。以下を確かめてみてください。

・貼る前に注意書きの「貼れないガラス」を確認:網入りは熱割れの恐れがあります
・網入りガラスは防火のための設備:「丈夫」「防犯」の意味ではありません
・網入りに貼りたいときは、対応をうたう専用品を選ぶか、メーカーや施工店への確認を
・西日の熱は、すだれや外付けスクリーンなど「窓の外」で受けるのも近道
・帰省や旅行前の駆け込みDIYこそ、ひと呼吸おいて注意書きの確認を:留守中は不具合に気づけません

まず知って、それから選ぶ。窓まわりのDIYは、その順番さえ守れば安心です。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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