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「開かずの間なんです」お盆に布団を下ろしに上がった30代Aさん、ロフトで数分もいられなかったワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.8.15
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出典:PhotoAC ※画像はイメージです

「お盆の来客用に、ロフトの布団を下ろそうとしたんです。はしごを上がったら熱気がすごくて、数分もいられない。誕生日のろうそくは曲がり、浮き輪は反っていて…収納が決め手で付けたロフトが、夏は開かずの間なんです」

そう話すのは、3年前、郊外の住宅地に、地元の工務店で注文住宅(4LDK+小屋裏収納・延床約96㎡/土地約138㎡、約4,000万円)を建てたAさん(30代夫婦・子ども2人の4人暮らし)です。

天井の高さ1.4m以下・広さは下の階の半分未満といった条件を満たすと延べ面積に算入されない扱いが一般的で(細かな取り扱いは自治体で異なります)、面積を増やさず収納を足せるのが決め手でした。設計のとき、工務店から「小屋裏は夏にかなり暑くなります」と説明は受けていました。ただ「物を置くだけだから」と、気に留めていなかったのです。

小屋裏は「断熱の外側」にある

小屋裏が暑いのには、位置に理由があります。多くの家は2階の天井の上に断熱材を敷く「天井断熱」。この場合、その上につくる小屋裏収納は断熱材の外側、つまり熱環境としてはほぼ屋外と同じ空間です。真上の屋根は一日じゅう日射を受け続けるため、夏場の小屋裏は60度や70度まで上昇します。

Aさんの家の被害も、温度で説明がつきました。ろうそくが曲がり、ビニールの浮き輪が反り、圧縮袋の布団はこもった熱気でにおいが気になる状態に。さらに見過ごせなかったのが、買い置きの殺虫スプレーです。製品評価技術基盤機構は、スプレー缶を40度以上になる場所で保管しないよう注意喚起しており、高温では内圧が上がって破裂した事例もあります。60度にもなる小屋裏は、置き場所として不適切でした。

Aさん夫婦はどう対応したのか

その日の夜、熱が少し引いてから、しまう物の仕分けをやり直しました。スプレー缶・電池・ろうそく・写真アルバム・ビニール製品など熱に弱い物は、2階の押し入れへ移動。ロフトはスーツケース・陶器・空き箱など「熱に強い物専用」と決め直しました。

来客用の布団は干し直したうえで、2階の押し入れへ定位置を移しました。出し入れは朝の涼しいうちと決め、ハッチを開けたら数分待ち、熱気が抜けてから上がるようにしました。かかった費用はゼロです。

ロフトは「熱に強い物の部屋」と決める

面積を増やさずに収納をたっぷり足せる小屋裏収納は、片付けの強い味方で、子どもには秘密基地のような魅力もあります。一方で、そこは断熱の外側。真夏は屋外並みか、それ以上の熱環境になります。以下を確かめてみてください。

・小屋裏収納は断熱の外側になっている家が多い――真夏は高温になる前提で使う
・スプレー缶(40度以上での保管はNG)・電池・写真・ろうそく・ビニール製品は居室側の収納へ
・出し入れは朝の涼しいうちに。上がる前に熱気を逃がす
・真夏は子どもだけで上がらせない
・これから建てるなら、屋根断熱か天井断熱かで小屋裏の環境が変わる――設計時に確認を

しまう物さえ選び直せば、夏のロフトは開かずの間ではなく、頼れる季節倉庫に戻ります。

参考:Vol.411 8月23日号「スプレー缶の事故」(独立行政法人製品評価技術基盤機構)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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