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「眺めはいいし、上の足音もない」去年1,400万円で買った団地の最上階、30代夫婦が夕方だけ後悔、なぜ?【一級建築士は見た】

  • 2026.8.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「去年、団地の最上階を買ったんです。眺めはいいし、上の足音もない。でもこの夏、夕方のシャワーだけ水がちょろちょろで…子どもの汗を流したい時間に限って、勢いが出ないんです。故障じゃないなら、何なんでしょう」

そう話すのは、昨年、郊外の団地(エレベーターのない5階建て)の最上階に中古の住まい(築47年・3DK・61㎡、約1,400万円)を買ったAさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

決め手は、手の届く価格と、上に部屋がない静けさでした。重要事項説明で、給水が「貯水槽水道方式(水をいったん受水槽にためて届ける給水方式)」であることは聞いていました。ただ、その方式が最上階の夕方のシャワーとつながるとは、思ってもいなかったのです。

団地の水は、屋上のタンクから「落ちてくる」

貯水槽水道方式は、水をいったん受水槽にため、ポンプで屋上の高置水槽へくみ上げ、自然流下で各戸へ届ける仕組みです。古い団地で広く使われてきた方式です。

ここでのポイントは、水の勢いが「高置水槽との高低差」から生まれること。つまり、水槽に一番近い最上階は落差が一番小さく、もともと勢いが出にくい構造です。そこへ真夏の夕方、帰宅後の汗流しや夕食の支度で、棟じゅうの使用が重なります。落差は一日中同じでも、使用の少ない時間帯は気にならない程度。夕方の集中が、そのわずかな余裕を使い切ります。Aさん宅の「朝は普通、夕方だけ弱い」は故障ではなく、方式と時間帯が重なった構造どおりの現象でした。

Aさん夫婦はどう対応したのか

まず、低水圧向けのシャワーヘッド(数千円)に交換しました。散水板の穴が細かく、同じ水量でも勢いを感じやすいタイプです。あわせて蛇口先端のストレーナー(ゴミ受けの網)を掃除し、目詰まり分も解消。子どもの入浴は、使用が集中する前の17時台へ前倒ししました。費用は数千円で、夕方の水圧は見違えるほど良くなったそうです。

団地の最上階は「水の高さ」までセットで見る

上階の足音がない静けさ、抜ける風と眺め、手の届く価格。団地の最上階が選ばれるのには、確かな理由があります。一方で、水は屋上のタンクから落ちてくるもの。高さの特等席は、水にとっては一番落差の小さい席です。以下を確かめてみてください。

・中古の集合住宅は、給水方式(高置水槽を用いた貯水槽水道方式か、直結方式かなど)を重要事項説明で確認する
・高置水槽式の最上階は、使用が集中する夕方に勢いが落ちやすい
・低水圧向けのシャワーヘッド(数千円)や入浴時間の前倒しで体感は変えられる
・給水方式の切り替えは管理組合の領分――長期修繕計画に話題があるかも見ておく

水の通り道まで知って選べば、団地の最上階は、静けさも眺めも価格も納得のいく住まいになります。

参考:
給水方式について(貯水槽水道方式と直結給水方式の違い)(東京都水道局)
給水のしくみ(横浜市)
受水槽や高置水槽(貯水槽水道方式)を適正に管理していますか?(東京都水道局)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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