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「この程度なら通れるだろう」急ぎで会社前の冠水路を進んだ60代女性…途中から思わぬ事態に

  • 2026.8.31
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。自動車販売・整備・保険業に27年従事している河野みゆきです。

夏のゲリラ豪雨や台風では、短時間のうちに道路の状況が大きく変わることがあります。さっきまで普通に走れた道路に水がたまり、「これくらいならクルマで通れそう」と感じることもあるでしょう。

しかし、冠水した道路で注意したいのは、水の深さだけではありません。道路の端や側溝、用水路など、本来なら目で確認できるものが水に隠れてしまうことがあります。

実際に、道路が浸水していることを分かったうえでクルマを進め、用水路に転落する事故に遭った人もいます。

「これくらいなら」と進んだ先で起きたこと

以前、Hさん(60代・女性)の会社前で、大雨によって道路が浸水したことがありました。

Hさんは、道路に水がたまっていることを認識していましたが、急ぎの仕事があったため、「この程度ならクルマで通れるだろう」と判断。そのまま道路を進みました。ところが、途中から思わぬ事態に。道路が水に覆われたことで、路面と用水路の境目が見えなくなっていたのです。その結果、Hさんのクルマは道路脇の用水路へ転落してしまいました。

幸い、近くにいた数人に救助され、Hさんは一命を取り留めました。しかし、道路が水で覆われていなければ確認できたはずの場所が見えなくなったことで、進路を誤ってしまったのです。

この事故から分かるのは、冠水路では「水が浅そうだから通れる」という判断だけでは不十分だということです。

前のクルマが通れたから大丈夫とは限らない

冠水した道路を前にすると、無意識に参考にしてしまうのが前を走っているクルマです。

目の前のクルマが水の中を進んでいると、「あのクルマが通れたなら、自分も行けるだろう」と考えてしまうかもしれません。しかし、クルマは車種によって車高や大きさが異なります。同じ場所を走っていても、水の影響を受ける程度は同じとは限りません。

さらに注意したいのが、前のクルマが通過した場所だけを見て判断してしまうことです。

進んだ先で水深が急に深くなっている可能性もあれば、道路脇の側溝や用水路が水に隠れていることもあります。普段から通っている道であっても、冠水するといつもの道路とは違う状態になっていると考えたほうがよいでしょう。

「前のクルマが進んいる」「ほかのクルマも通っている」ということは、自分が安全に通過できることの証明にはなりません。道路の先の状態を確認できないのであれば、無理に進まず、安全な場所で状況を確認することが大切です。

クルマを守ろうとして無理に移動させない

大雨が続いていると、「このままではクルマが水につかってしまうかもしれない」と考え、少しでも高い場所へ移動させたくなることがあります。クルマを水害から守りたいと思うのは当然です。ただし、そのために水のたまった道路へクルマを動かす際には、慎重な判断が必要です。

冠水した道路では、側溝や用水路だけでなく、マンホールのふたが外れているなど、普段とは異なる状態になっている可能性があります。水面に覆われているため、運転席から路面の異常を確認することも容易ではありません。「クルマが心配だから」と移動した結果、クルマだけでなく自分自身まで危険な状況に置いてしまう可能性があります。

豪雨や台風の際には、クルマを守ることだけを優先せず、自分の身の安全を第一に考えて行動したいものです。

水害に備えて車両保険の補償も確認

クルマを移動させられず、突然の大雨によって浸水してしまうケースはあります。

そこで、普段から確認しておきたいのが自動車保険の車両保険です。一般的に、台風や洪水、高潮などによるクルマの損害は、車両保険の補償対象となる場合があります。ただし、加入している車両保険の種類や補償内容、事故の状況によって扱いは異なります。「水害に遭えば必ず全額補償される」というわけではありません。また、車両保険に加入していても、契約時に免責金額を設定していれば、その分は自己負担になります。

大雨や台風の季節を迎える前に、自分の契約では水害がどのように補償されるのか、一度確認しておくと安心です。

「通れそう」でも進まないという選択を

冠水した道路を目にしたとき、つい「これくらいなら大丈夫」と考えてしまうでしょう。しかし、本当に確認すべきなのは水の深さだけではありません。その水の下に、どのような道路の状態が隠れているのか分からないことが問題なのです。

Hさんのケースも、水深そのものではなく、道路と用水路の境目が見えなくなっていたことが事故につながりました。前のクルマが進んでいても、それを自分のクルマが安全に通れる根拠にはできません。豪雨や台風で道路が浸水したときは、「通れそうか」ではなく、「安全を確認できる状態か」を基準に判断することが大切です。

クルマへの被害を避けたい気持ちはあっても、何より優先したいのは自分自身の命。無理に冠水路へ進入せず、安全を確保したうえで、万一の水害に備えて自動車保険の補償内容も確認しておきたいものです。


ライター:河野みゆき
自動車販売・整備・保険業に27年従事。損害保険募集人資格を保有し、車両購入からメンテナンス、カーライフに関わる保険まで幅広く対応。現場経験をもとに、ユーザー目線でわかりやすい情報発信を行っています。


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