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夏の旅行前に知っておきたい「そろそろ3枚目が来るはず」中央道で構えていたドライバーの目の前に現れたもの

  • 2026.8.22
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

高速道路を走る際、速度違反自動取締装置(オービス)の手前には警告看板が3枚あると認識している方は多いのではないでしょうか。しかし、筆者が中央自動車道を走行した際、確認できた看板は2枚のみでした。

なぜ看板が2枚しか見当たらない区間があるのでしょうか。本記事では、夏の旅行に向けて、ベテランドライバーも陥りやすい思い込みや、渋滞明けに潜む落とし穴と安全運転のポイントを解説します。

「3枚あるはず」の思い込み?中央道で遭遇した想定外

長く自動車を運転していると、ドライバーの間で定説のように語り継がれている経験則がいくつか存在します。その代表的なものの一つが、速度違反自動取締装置(オービス)の手前には、青色の警告看板が一定の間隔を空けて3枚設置されているという定説(あるいは「思い込み」)ではないでしょうか。

筆者自身もかつてはその定説を信じ、高速道路を走る際のひとつの目安にしていました。現在では、必ずしも3枚ではないという事実を知識として持っていますが、先日、中央自動車道をのんびりと走行していた時に、その事実をあらためて実感する出来事がありました。

その日は周囲の交通量も比較的落ち着いており、順調に車を走らせていると、路肩に取締機の設置を知らせる見慣れた青い看板が現れました。そのまましばらく進むと2枚目の看板を通過します。知識としては2枚しか設置されていない場所もあると知っていても、長年の習慣からそろそろ3枚目の看板が見えてくる頃だろうと無意識に構えていたところ、次に目の前に現れたのは待っていた3枚目の看板ではなく、道路の上に設置された取締機本体でした。

普段から速度標識には注意を払って走行しているため特に慌てることはありませんでしたが、確認できた看板が2枚だけであったことに、運転歴が長くても陥りやすい慣れの恐ろしさを感じました。もちろん運転中であったため、筆者自身がどこかで1枚を見落とした可能性も完全に否定することはできません。しかし、この出来事は、私たちが抱く「警告看板は3枚」という思い込みに警鐘を鳴らす良い機会と言えそうです。

オービス前の警告看板、「必ず3枚」という法的な決まりはない?

先ほどの筆者の体験のように、看板が2枚しかない状況はなぜ生まれるのでしょうか。その背景には、警告看板の設置に関するルールの実態が関係しています。

実は、道路交通法をはじめとする法律において、警告看板を必ず3枚設置しなければならないという明確な規定は見当たりません。警察庁の過去の通達や運用基準などによると、警告看板は肖像権などのプライバシーに配慮し、ドライバーに不意打ちとならないよう設置されているものであり、絶対に3枚と決まっているわけではないのです。これまで多くの場所で3枚の看板が設置されてきたのは、あくまでドライバーへの周知を徹底するための運用上の目安に過ぎないと考えられます。

そして、実際の道路環境は場所によって大きく異なります。急なカーブが連続する山間部の区間や、長いトンネルの出入り口付近、あるいは複数のインターチェンジが複雑に合流する地点などを想像してみてください。そのような場所では、国土交通省の道路標識に関する基準に照らし合わせても、看板を等間隔で3枚設置するための物理的なスペースや、ドライバーから見えやすい直線距離を十分に確保できないケースがあると言われています。

そのため、設置場所の都合によって看板の枚数が2枚にとどまったり、路肩の形状によってドライバーの死角に入りやすい位置に配置されたりすることも十分に考えられます。つまり、看板が3枚あるはずだと思い込んで枚数を数えること自体が、確実な目安にはならないと言えるのです。

看板を探すのが無意味に?進化する速度取締りの現在

設置スペースの都合などで看板が3枚揃わないケースがあることに加え、近年では道路脇の看板を探すという行為そのものが意味を持たなくなりつつあります。その背景にあるのが、取締り技術の急速な進化と多様化です。

これまでの大掛かりな固定式取締機に代わり、持ち運びが可能な可搬式の取締装置の導入が全国各地で進んでいます。この新しい装置は三脚にカメラを載せたようなコンパクトな形状をしており、生活道路での安全確保を主目的としつつも、高速道路のパーキングエリア付近などでも活用される機会が増えてきているようです。

ここで特に注意していただきたいのは、可搬式の取締りにおいては固定式のように数キロ手前から複数の看板が常設されているとは限らないという点です。取締りを実施している場所のすぐ手前に簡易的な標識が置かれるケースが多いですが、高速走行中に小さな標識を見つけてから速度を調整しようとしても間に合わない可能性が高いでしょう。

看板が見当たらないから取締りはないだろうと油断してアクセルを踏み込むのは、現在の交通事情において非常にリスクを伴う考え方になりつつあります。取締りの方法は常にアップデートされており、ドライバーもそれに合わせて意識を変えていく必要があります。

お盆休みの高速道路、一番の落とし穴は「渋滞を抜けた直後」

このような看板に対する認識のズレや思い込みが、大きな危険を招きやすい時期があります。それは、お盆休みや年末年始など、長距離の移動が増えるタイミングです。帰省や旅行で高速道路を利用する際、どうしても避けて通れないのが長時間の渋滞ではないでしょうか。

車列に並んでノロノロ運転が続くと、ドライバーには疲労とともに目に見えないストレスが徐々に蓄積していきます。そして、数十分から数時間に及ぶ渋滞をようやく抜けて目の前の視界が開けた瞬間、多くの人が深い安堵感と解放感を覚えるはずです。

実は、この瞬間こそが最も注意を払うべき場面となります。予定より遅れてしまった時間を少しでも取り戻そうとする焦りや、渋滞を抜けた解放感が重なり、無意識のうちにアクセルを深く踏み込んでしまう傾向があるからです。また、高速道路特有の視界の広さから、時速80キロメートルで走っていても、感覚的には時速50キロメートル程度にしか感じられない錯覚に陥りやすいと言われています。

心身ともにリラックスしきったこの気の緩みやすいタイミングで、もし2枚目の看板を通過した際、まだ2枚目だから取締機は先だろうと都合よく判断してしまうのは、重大な事故や思いがけない違反につながるおそれがあります。渋滞の終わりこそが、最も注意力を引き締め直すべきポイントと言えそうです。

数えるべきは「看板の枚数」ではなく「自車の速度」

ここまで見てきたように、警告看板の枚数や設置状況は、道路環境や取締りの手法によって常に変化するものです。看板の存在が、決して目的地までの安全を無条件で保証してくれるわけではありません。

私たちがハンドルを握る際、本来気にかけるべきなのは、道路脇の看板を探してその数を数えることではありません。自分自身が今どのくらいのスピードで走っているのかを、客観的に把握し続けることなのです。

高速道路には区間ごとに適切な規制速度が定められており、天候によっても細かく変動します。定期的に道路標識を確認し、手元の速度計に目を落とすという基本動作こそが、最も確実な安全対策となります。

取締り装置の有無や看板の数に一喜一憂するのではなく、常に周囲の交通状況に応じた適切なペースを保つこと。それこそが、同乗者や自分自身の命を守り、快適で楽しいドライブを最後まで続けるための基本と言えるのではないでしょうか。

ドライバー一人ひとりが思い込みを捨てて正しい知識を持つことは、予期せぬトラブルを未然に防ぐ第一歩です。目的地に無事到着して笑顔で車を降りるために、今日も基本に立ち返り、安全運転を心がけてまいりましょう。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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