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夏休みのレンタカー給油、「この車種ならディーゼルのはず」がスタッフ呼び出し事態になるまで

  • 2026.8.22
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

旅行や出張などで普段乗り慣れない車を運転する際、つい「いつもの癖」で給油ノズルを選んでしまうことはないでしょうか。外観が同じでもガソリンとディーゼルが混在するモデルもあり、思い込みでの給油は思わぬトラブルの元になります。

本記事では、夏休みの旅行でうっかり起こり得る誤給油のリスクと、万が一間違えた場合の正しい対処法を解説します。

見た目だけでは判断しづらい、指定燃料の思い込みリスク

普段から車に乗り慣れている方でも、レンタカーやカーシェア、あるいはご家族の車など「いつもと違う車」を運転する場面では、少しの注意が必要かもしれません。なぜなら、セルフ式ガソリンスタンドに入った際、無意識のうちに普段乗っている車の燃料を選んでしまう「誤給油」が意外にも多く発生しているからです。

このトラブルは、車に詳しくないから起こるとは限りません。例えば、軽自動車の「軽」という言葉の響きから、ふとした瞬間に「軽油」を連想してしまうケースがあります。一方で、車に詳しい方であっても「この車種にはディーゼルモデルが設定されていて人気だから、今自分が借りている車もきっとそうだろう」と、自身の知識が裏目に出てしまうことも考えられます。

実際に現在の車のラインナップを見ると、外観はほとんど同じでも、グレードによってガソリン車とディーゼル車が混在しているモデルは存在します。そのため、過去に同型の車に乗っていた経験がある方ほど、「この車ならこの燃料で間違いない」という思い込みによる先入観には気をつけたいところです。

なぜエンジンによって指定燃料が違う?知っておきたい燃焼の仕組み

このような思い込みによる誤給油を防ぐためには、「なぜ燃料を間違えてはいけないのか」というエンジンの仕組みを少しだけ紐解いておくと役立ちます。

私たちが普段よく目にする「レギュラー」と「ハイオク」は、どちらも同じ「ガソリン」というグループに属しています。この二つの主な違いは、エンジン内で異常燃焼(ノッキング)を起こしにくいかどうかを示す「オクタン価」という数値にあります。ハイオク仕様の車は、このオクタン価の高い燃料に合わせてエンジンがより精密に調整されています。

一方で「軽油」は、主にディーゼルエンジンで使用される、ガソリンとは根本的に性質が異なる燃料です。一般的なガソリンエンジンが、空気と燃料を混合した気体にスパークプラグで火花を散らして着火するのに対し、ディーゼルエンジンは空気を限界まで圧縮して高温状態を作り、そこに軽油を吹きかけて自然発火させる仕組みを採用しています。燃焼のプロセスそのものが全く違うため、指定以外の燃料を入れてしまうと、車は本来の働きができなくなってしまうのです。

【組み合わせ別】もしも違う燃料を入れてしまったら車に何が起きる?

ガソリンと軽油では、燃料の性質や燃焼の仕組みが全く異なることがお分かりいただけたかと思います。では、実際に指定以外の燃料を誤って入れてしまった場合、車にはどのような影響が出るのでしょうか。実は、その症状は入れ間違えた組み合わせによって大きく変わってきます。

まず、ハイオク仕様の車にレギュラーガソリンを入れてしまった場合や、その逆のケースではいかがでしょうか。一般的には、直ちに車が動かなくなるような重大な故障に直結する可能性は比較的低いとされています。ただし、ハイオク車にレギュラーを入れると本来のエンジン性能が十分に発揮できなかったり、燃費が低下したりすることがあります。逆に、レギュラー車にハイオクを入れたからといって、高価な燃料を入れた分だけ劇的に性能が向上するというわけでもありません。

しかし、ガソリンと軽油を入れ間違えてしまった場合は、非常に慎重な対応が求められます。もしガソリン車に軽油が混ざってしまうと、エンジンの出力が徐々に下がり、マフラーから黒煙を上げて最終的にエンジンが停止してしまうことがあるからです。

そして、さらに深刻な事態を招きやすいのが、ディーゼル車にガソリンを入れてしまったケースです。ディーゼル車にガソリンが混ざると、エンジン音が高くなる(異音が発生する)ほか、マフラーから白い排気ガス(白煙)が出るようになります。ガソリン車に軽油を入れた際の「黒煙」とは対照的ですが、どちらも明らかな異常のサインです。また、軽油には燃料としての役割だけでなく、燃料を噴射する精密な金属部品を滑らかに動かす「潤滑剤」としての重要な役割も備わっています。そこにガソリンが混ざると潤滑性が失われ、部品同士の摩擦が増大してしまいます。結果として、高額な部品交換や大がかりな修理が必要になるおそれがあるのです。

万が一の事態に備えて。誤給油に気づいた時の正しい初動対応

このように、特にガソリンと軽油の取り違えは、大切な車にとって深刻なダメージを与える可能性を秘めています。そこで、もし給油している最中や直後に、間違った燃料を入れていることに気づいた場合、私たちはどのように行動すれば被害を最小限に抑えられるのでしょうか。

ここで最も優先すべき行動原則は、「決してエンジンを始動させないこと」です。そして、車のキーを回したりスタートボタンを押したりして、車両の電源(ACCやイグニッション)を入れることも絶対に避けてください。「他の車の邪魔になるから」と慌てて車を移動させたくなるかもしれませんが、そこはグッとこらえましょう。最近の車の中には、車両の電源をオンにするだけで燃料ポンプが作動し、誤った燃料が配管の奥深くへと送り込まれてしまう構造のものもあります。

そのため、まずはそのままの状態で速やかにガソリンスタンドのスタッフに事情を伝えて相談することが大切です。ただし、ガソリンスタンドによっては燃料の抜き替え設備がない店舗も少なくありません。燃料をタンクから完全に抜く必要があるため、スタッフの指示を仰ぎつつ、速やかにJAFなどのロードサービスや整備工場に連絡して救援を依頼しましょう。

もし夜間などでスタッフが不在の店舗であったり、すでに走り出してしまってからエンジンの不調に気づいたりした場合は、慌てず安全な場所に車を停めてから、ロードサービスへ連絡を行ってください。適切な処置が完了するまでは、自己判断で運転を再開しないことが、愛車を守るための最大の鍵となります。

習慣を手放し、給油前の「数秒の確認」を新しいルーティンに

万が一誤給油が起きてしまった後の冷静な対処も重要ですが、何よりも未然に防ぐことが一番の対策となります。思い込みやいつもの習慣に頼らず、給油前にその車の指定燃料をしっかりと確認する癖をつけることで、ドライブ中の不安は大きく軽減されるはずです。

日本のセルフ式のガソリンスタンドでは、一般的にレギュラーが赤、ハイオクが黄、軽油が緑といったようにノズルが色分けされています。しかし、思い込みによる見間違いなどが起こる場合もあります。最も安心で確実なのは、車両側に記載された情報をご自身で確認することです。

給油口のフタ(フューエルリッド)の裏側や、燃料キャップに貼られたステッカーをチェックするだけで、その車に最適な燃料がすぐに分かります。また、「無鉛プレミアム」と記載されている場合は、一般的にハイオクガソリンを指していると覚えておくと役立ちます。

レンタカーなどを利用する際には、車内の案内書類や取扱説明書にあらかじめ目を通しておくのも良い方法です。また、ご家族や友人で車を共有される場合は、日頃からどの燃料を入れるべきか、お互いに声を掛け合っておくことも立派な予防策になります。

給油前のほんの数秒の確認作業。その小さなひと手間が、予期せぬトラブルから車を守る心強いお守りとなるのではないでしょうか。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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