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「耳が詰まったような感じ」“ただの疲れ”と放置した50代男性→2日後、激しい眩暈に襲われ…医師から告げられた"恐ろしい病気”

  • 2026.8.13
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出典元:PIXTA(※画像はイメージです)

周術期管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「耳に水が入ったように詰まった感じがする。最近ちょっと疲れているから一晩寝れば治るだろう」。そう言って、受診を勧める家族の忠告を「大げさだな」と笑い飛ばしていたHさん(50代男性)。

しかし、一晩寝ても良くなりませんでした。それどころか、48時間後には完全に音が遮断され、激しい「キーン」という耳鳴りとめまいが生じていたのです。救急外来を受診して告げられた病名は「突発性難聴」。

治療の結果、日常生活は問題なく遅れていますが、片方の耳の聴力は完全には戻りませんでした。「あの時、すぐに病院に行けばよかった…」と後悔を口にしています。なぜ、ただの耳の詰まり感という油断が、難聴を招いてしまうのでしょうか。

突発性難聴は内耳の「血流が途絶えてしまう緊急事態」

なぜ、たった数日で聴力に深刻な影響が出るのでしょうか。

耳の奥で起きている症状進行のメカニズムは、完全に明らかになっているわけではありませんが、循環障害や、ウイルス感染等が考えられています。男女差はなく、好発年齢は40から60歳代の働き盛りです。


【聴力が奪われるフローの一説】

  1. 血流障害(途絶):過度なストレスや疲労、ウイルス感染などをきっかけに、内耳に酸素を届ける極めて細い血管の血流が突然途絶えます。
  2. 有毛細胞の酸欠(麻痺):血流が途切れると、音を電気信号に変換するセンサーである「有毛細胞」が急激な酸素欠乏に陥ります。
  3. 細胞の機能喪失(固定):そのまま放置されると、有毛細胞がダメージを受け、機能が失われてしまいます。一度働きを失った神経細胞は、元に戻ることが非常に困難になります。

単なる「疲れ」と「一生の静寂」に潜む危険な境界線

「ちょっと耳が詰まった感じがするが、耳抜きをすれば治るだろう」「一晩ゆっくり休めば元に戻るはずだ」。毎日を忙しく生きる皆さんが、耳の違和感をただの疲れと捉えてやり過ごしてしまうのは、無理もありません。

しかし、本件を通してお伝えしたい「危険な境界線」があります。

突発性難聴の初期症状の多くは「耳が詰まった感じ(耳閉感)」や「低い耳鳴り」として静かに現れることもあります。そのため、難聴がないからとやり過ごすことが危険なのです。

さらに最大の罠は「厳格なタイムリミット」です。発症から7日以内、遅くとも2週間以内に治療を開始することが望ましく、1ヶ月を過ぎると治療効果は限定的とされています。また、糖尿病、喫煙習慣がある方の割合が高いこともわかっているため、こうした背景がある場合には違和感を覚えたらすぐに受診しましょう。

手遅れになる前に、確認すべき3つのサイン

ただの疲れや気圧の変化と、有毛細胞が時間単位で深刻なダメージを受け続けている危険なサインを見分けるために、以下の3つの初期症状をご確認ください。

1. 片方の耳だけ「突然、遮断されたように聞こえなくなる」

突発性難聴は、通常片側の耳だけに「ある瞬間、突然」起こります。両側の耳に同時に起こることは極めて稀です。

2. 聞こえの違和感と前後して「キーンという耳鳴りや、めまいがする」

難聴よりも耳鳴りを訴えるケースもあります。難聴に気づかなくともサインとして軽くみないようにしましょう。
内耳の神経が強いダメージを受けているサインの可能性があります。吐き気を伴うめまいが同時に出ることもあります。

3.「耳抜きを何度しても、詰まった感じ(耳閉感)が全く改善しない」

気圧の変化による詰まりは耳抜きやあくびで解消しますが、神経の血流途絶による詰まり感は、何度耳抜きをしても変わりません。

治らない耳鳴り?と違和感を覚えたら

「ただの耳鳴り」と考えて受診を先延ばしにしてしまうのは、忙しい毎日を生きるみなさんには無理もないことです。

だからこそ、見逃さないためのサインを知っておきましょう。「難聴」だけでなく、改善しない「耳鳴り」もひとつのサインかもしれないということです。少しでも左右差を感じたり、耳抜きで治らない詰まり感があったりするときは、気になるときにはまずは、早めに耳鼻咽喉科を受診してみてください。

「耳鳴りくらいで受診するのは…」と躊躇う必要はありません。その不安を取り除き、穏やかな日常をこれからも安心して楽しむためにも少しでもおかしいと感じたら、いつでも医療を活用してください。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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