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NISA口座で“500万円”を運用していた父→死後、40代息子が相続した結果…銀行から告げられた“想定外の一言”【元銀行員は見た】

  • 2026.8.18
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

非課税で効率よく資産形成ができる制度として、NISAを活用する方が大幅に増えています。しかし、相続時における特殊なルールを正しく把握していないと、NISAを選んでいたことで思わぬ税負担が発生してしまう場合があります。

今回は、亡くなった父親のNISA口座で運用されていた投資信託を相続した結果、予期せぬ形で約20万円の課税が生じてしまった40代男性・Aさんの失敗談をご紹介します。

NISA口座の投資信託を相続した男性

40代の息子・Aさん(仮名)の父は、NISA口座を利用し、総額500万円の資金を運用していました。

しかし、Aさんの父は事故で他界し、相続が発生。

Aさんの父が保有している投資信託は死亡時点で約100万円の損失が出ており、資産評価額は約400万円になっていました。

非課税枠は保有者が亡くなった時点で終了する

Aさんが相続手続きのために銀行を訪れると、NISAの相続について以下のような説明がありました。

「NISA口座の非課税枠は、保有者が死亡した時点で終了します。そのため、死亡後に発生する運用益には税金がかかります」

銀行員はこう続けます。

「お父さまが運用していた投資信託については、今後はAさんの『NISA口座』ではなく、通常通り課税される『特定口座』に移管したうえで運用または売却を選択してください」

話を聞いたAさんは、移管に必要な手続きを済ませました。

「損失を取り戻してから売却」したのに…

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

手続きを終えたAさんの特定口座には、元本の総額500万円から約100万円の損失が出た状態である「約400万円」の投資信託が移管されました。

「せっかくだから、父が投資した500万円に戻してから売却したい」

そう考えたAさんは、そのまま運用を継続。

その後は順調に価格が回復し、数ヶ月後には元本の総額500万円に戻りました。

「父が出していた損失も取り戻せたし、利益が出ていないから税金もかからなくてよかった」と安堵したAさんは、ネットから売却の手続きを済ませます。

しかし、後日Aさんの口座に振り込まれたのは「約480万円」。

「売却したのは500万円のはずなのに…」

Aさんが取引先の銀行に問い合わせると、驚きの回答がありました。

NISAの相続では「取得価格」を引き継がない

特定口座などの課税口座で保有している投資信託を相続した場合、相続人は“亡くなった人の取得時の価格”を引き継ぐことになります。

しかし、NISA口座の場合、相続人は“亡くなった人の死亡時の価格”で投資信託を取得したとみなされます。(※特定口座での取得価額は、移管完了日ではなく「被相続人の死亡日」の時価となります。)

また、NISA口座で発生した損失は税法上「最初からなかったもの」として扱われるため、他の課税口座との損益通算や繰越控除を行うこともできません。

【Aさんの父が投資信託を総額500万円購入→死亡時点で100万円の損失】

通常の課税口座の場合

  • Aさんは、父の取得価格を引き継いだ「元本500万円」で投資信託を取得したとみなされる
  • 父の損失100万円を取り戻して500万円で売却→利益は「0円」

NISA口座の場合

  • Aさんは、父の死亡時点の価格である「400万円」で投資信託を取得したとみなされる
  • 父の損失100万円を取り戻して500万円で売却→利益は「100万円」

つまり、税金の計算上ではAさんが約100万円の利益を得たことになり、約20万円の税金が差し引かれていたのです。

NISA独自の相続ルールを理解し適切な出口判断を

NISA口座の投資信託を相続する場合、非課税枠は被相続人の死亡時点で終了し、相続人の取得価格は「購入時の価格」ではなく「死亡時の時価」へと上書きされます。

そのため、生前に生じていた含み損が死亡時の評価額に反映され、その後に価格が回復して売却した際には、実質的に元の水準へ戻っただけであっても差額が「運用益」とみなされ課税対象となってしまいます。

故人が遺したNISA資産を引き継ぐ際は、単に元の価格へ戻すことを目指すのではなく、死亡時の時価と今後の税負担リスクを正しく試算した上で、運用継続か早期売却かを見極めることが大切です。


監修・執筆:元銀行員・ikebu

元銀行員・行政書士資格保有の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

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