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『死亡保険金1,000万円』の保険に加入していた70代夫→死後、妻が請求したところ…保険会社から告げられた“280万円”の減額

  • 2026.8.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大学卒業後、国内の生命保険会社に35年間勤務し、個人・法人営業や営業所長、企画、事務部門などを経験してきた「あしふみ」です。

生命保険と聞くと、「毎月保険料を払い、万一のときにまとまった保険金を受け取るもの」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

実は、一定の条件を満たす生命保険には、契約を解約せずに保険会社からお金を借りられる仕組みがあります。急な出費に対応できる便利な制度ですが、借りたまま返済しないでいると、将来受け取るはずだった死亡保険金が減少してしまうことがあります。

今回は、死亡保険金1,000万円の終身保険に加入していた71歳男性のご遺族が、いざ保険金を請求した際に思わぬ金額を知らされた事例をご紹介します。

「保険金は1,000万円あるから大丈夫」と考えていたAさん

Aさん(仮名)は71歳の男性です。

40代のころ、妻や子どもの生活を支えるために、死亡保険金1,000万円の終身保険に加入しました。子どもが独立したあとも契約を続けており、家族には常々、

「自分に何かあっても、保険金が1,000万円あるから大丈夫」

と話していたそうです。

しかし60代に入ると、自宅の修繕費や生活費など、まとまったお金が必要になる場面が増えてきました。そこでAさんが利用したのが、加入している生命保険からお金を借りられる制度でした。正式には「契約者貸付」と呼ばれます。

生命保険からお金を借りられる「契約者貸付」

契約者貸付とは、解約したときに戻ってくる「解約返戻金」がある生命保険などにおいて、その一定範囲内で保険会社からお金を借りられる制度です。保険を解約する必要はなく、契約を続けたまま利用できるのが特徴です。

Aさんはこの制度を数回に分けて利用し、借入額は合計で230万円ほどになっていました。ただし、Aさんはこれを、

「自分が積み立ててきた保険のお金を、少し先に使っているようなものだろう」

と捉えていたようです。ここに大きな誤解がありました。

契約者貸付は、自分が積み立てたお金をそのまま引き出す仕組みではありません。あくまで保険会社からの「借入れ」であり、利用した金額には所定の利息がかかります。返済せずに放置すれば、利息はその間も積み上がっていきます。

遺族が請求して初めて分かった「約280万円」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

その後、Aさんは71歳で亡くなりました。妻は保険会社へ連絡し、死亡保険金1,000万円の請求手続きを進めます。家族は当然、証券に記載されたとおり1,000万円を受け取れるものと思っていました。

ところが、保険会社から告げられた金額は違っていました。

「お支払いする死亡保険金から、契約者貸付の元金と利息を差し引くことになります」

借りていた元金230万円に、返済されないまま積み重なった利息などが加わり、貸付残高は約280万円にまで膨らんでいたのです。その結果、家族が実際に受け取った死亡保険金は約720万円となりました。

妻は驚き、

「1,000万円の保険に入っていると聞いていました。280万円も少なくなるなんて知りませんでした」

と話しました。Aさんは契約者貸付を利用していることを、家族に詳しく伝えていなかったそうです。

借りたままにすると死亡保険金が減ることも

契約者貸付は、急な資金需要に対応できる便利な制度です。一方で、借りたまま返済しなければ利息は増え続けます。そして、死亡時点で貸付残高が残っていた場合、その元金と利息は死亡保険金から差し引かれるのが一般的な仕組みです。

Aさんのケースでも、保険証券には死亡保険金1,000万円と明記されていました。しかし、実際に家族が受け取れた金額は、契約者貸付の残高を差し引いた約720万円でした。「保険金額」と「実際に受け取れる金額」は、必ずしも一致しないケースがあるのです。

契約者貸付を利用している場合は、一度確認を

契約者貸付を利用している場合、未返済の貸付元利金は、契約内容に応じて死亡保険金などから差し引かれることがあります。したがって、保険証券に記載された死亡保険金額と、遺族が実際に受け取る差引支払額が一致しない場合があります。

ただし、利息の計算方法、貸付限度額、保険金からの精算方法、契約が失効する条件は保険会社や商品によって異なりますので、契約者貸付を利用している場合は、現在の貸付元利金と解約返戻金、契約の失効リスクを保険会社に確認してください。

「死亡保険金は1,000万円だから大丈夫」と思っていても、貸付残高が残っていれば、実際の受取額は少なくなる可能性があります。いざというときに家族が「聞いていた金額と違う」と困らないよう、契約者貸付を利用する際は注意が必要です。


執筆・監修:あしふみ
大学卒業後、国内大手生命保険会社に35年間勤務。個人・法人営業、営業所長、企画・販売促進、事務部門などを経験。FP2級の知識と保険実務の経験を生かし、保険や家計に関する情報を分かりやすく伝えている。

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