1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 夫が手術で“12日間”入院→「高額療養費があるから負担は一定額」と思いきや…戻ってきた金額を見て60代妻が“絶句したワケ”

夫が手術で“12日間”入院→「高額療養費があるから負担は一定額」と思いきや…戻ってきた金額を見て60代妻が“絶句したワケ”

  • 2026.8.5
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

「高額療養費があるから、入院しても負担は一定額で収まる」そう思っていたのに、戻ってきた金額を見て驚いた。

今回は、夫の入院費をめぐって想定外の出費に直面した60代女性Aさんのエピソードをご紹介します。

「同じ入院なのに、なぜか負担が倍近くに」

60代のAさん。夫が胃の手術で12日間入院することになりました。

「高額療養費という制度があるのは知っていました。ひと月にかかる医療費には上限があって、それを超えた分は戻ってくる、と。窓口でいったん27万円ほどを支払ったのですが、あとで多くが戻ってくるはずだと思っていたんです」

ところが、あとで戻ってきた金額を見ると、思っていたより少なかったのです。Aさんは理由が分からず、年金の相談で訪れた窓口でふと口にしました。

「入院は12日間だけでした。それなのに、戻ってきたのが10万円ほどで。もっと戻ると思っていたので、何か勘違いしているのでしょうか」

担当者は、ひとつ確認しました。

「Aさん、ご主人の入院は、月をまたいでいませんでしたか?」

「ええ、月末に入院して、翌月の初めに退院しました」

「おそらく、それが理由です」

「高額療養費は、月ごとに区切って計算します」

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

担当者は、こう説明を続けました。

「高額療養費は、ひと月にかかった医療費をもとに計算します。このひと月というのは、月の1日から末日まで。暦の上での1か月です。入院が月をまたぐと、前の月と次の月で、それぞれ別に計算されるんです」

「同じ入院でも、別々に計算されるんですか」とAさん。

「そうなんです。ひと月あたりの自己負担には上限があって、超えた分が戻ってきます。ただ、その上限は月ごとに設けられています。ですから、医療費が二つの月に分かれると、それぞれの月で上限に届きにくくなり、戻ってくる金額が減ることがあるんです」

Aさんの夫の場合、窓口での支払いは全体で27万円ほど。仮にこの入院費がすべて一つの月に収まっていれば、自己負担の上限はおよそ8万6千円で、差額の18万円ほどが戻ってくる見込みでした。

ところが月末と翌月に分かれたことで、上限の計算がそれぞれの月で行われ、戻ってきたのは合わせて10万円ほど。実際の自己負担は約16万円になり、一つの月に収まった場合より8万円ほど重くなりました(いずれも年収約370万〜770万円の方の目安です)。

「たった数日、月をまたいだだけで、こんなに変わるものなんですね」とAさんは驚いた様子でした。

「入院の予定は、月の区切りも意識して」

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「では、月をまたがないようにすればよかったということですか」とAさん。

「そう単純でもありません」と担当者。

「入院や手術の時期は、体の状態や病院の都合で決まるものです。ご自身の都合だけで動かせるものではありませんし、無理に日程を変えることをおすすめしているわけでもありません。ただ、こういう仕組みがあると知っていれば、主治医の先生と入院の時期を相談する際に、ひとつの目安にできることもあります」

担当者は、もうひとつ付け加えました。

「それから、高額療養費の対象にならない費用もあります。個室などを希望した場合の差額ベッド代や、入院中の食事代の一部、先進医療の技術料などです。これらは上限の計算には含まれず、別に支払うことになります」

「入院費のすべてが対象だと思っていました」とAさん。

「そこも、よくある思い違いです。ですから、入院の前に、どのくらい自己負担がかかりそうか、病院の窓口で確認しておくと安心です」

Aさんは、こう話してくれました。

「制度があるから大丈夫、と思い込んでいました。中身を知っておくことが、こんなに大事だったんですね」

高額療養費を正しく使うために知っておきたいこと

  • 高額療養費は、ひと月(月の1日から末日まで)にかかった医療費をもとに計算する
  • 入院が月をまたぐと前月分と翌月分に分かれて計算され、それぞれの月で上限に届きにくくなることがある
  • そのため、同じ日数の入院でも、月をまたぐと自己負担が増える場合がある
  • 自己負担の上限額は、年齢や所得によって異なる
  • 差額ベッド代、入院中の食事代の一部、先進医療の技術料などは高額療養費の対象外
  • 入院や手術の時期は体の状態や病院の都合が優先されるが、仕組みを知っておくと主治医と相談する際の目安になる
  • 入院前に、自己負担がどのくらいになりそうか病院の窓口で確認しておくと安心

「制度があるから大丈夫」ではなく、中身を知っておくことが備えになります。医療費や家計のことでお悩みの方は、ぜひ窓口へご相談ください。


執筆・監修:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ