1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 「仕事を辞めるしかない…」母の介護で退職しようとした50代女性→会社に相談すると…判明した“予想外の制度”に安堵したワケ

「仕事を辞めるしかない…」母の介護で退職しようとした50代女性→会社に相談すると…判明した“予想外の制度”に安堵したワケ

  • 2026.9.1
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、お母さまの介護をきっかけに、退職を考えた50代Aさんの体験談です。

「介護のために休めても、その間の収入がなくなるなら仕事を辞めるしかない」

そう思っていたAさんでしたが、介護休業中には雇用保険から給付を受けられる場合があることを知ります。いくら受け取れるのか、そして93日間の介護休業をどう使えばよいのかを見ていきましょう。

「休んだら無給」だと思っていた

お盆に帰省したAさん(50代女性・会社員)は、母の衰えに気づきました。

食事の支度がおぼつかず、同じ話を繰り返します。一人にしておくのが心配になりました。

介護のために退職することも考えましたが、住宅ローンの返済や自分の老後を思うと、簡単には決断できません。

「介護休業という制度は聞いたことがあるけれど、休んだら無給でしょう。それなら辞めるのと同じです」

介護休業中は「賃金の67%」が支給される

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

会社に相談したAさんは、介護休業中には雇用保険から介護休業給付金を受け取れる場合があると知ります。

支給額は原則として、休業開始時の賃金日額に支給日数を掛け、その67%です。

Aさんの休業前6か月の平均月給は30万円。賃金日額は1万円になります。30日分なら、1万円×30日×67%で、およそ20万1,000円です。

給与の全額ではありませんが、住宅ローンを毎月9万円返済するAさんには大きな金額です。

「思っていたより出るんですね」

Aさんは少し安心しました。ただし、介護休業給付金にはいくつか注意点があります。

まず、これは職場への復帰を前提とした制度です。休業を始める時点ですでに退職が決まっている場合は、対象になりません。

また、給付金は毎月振り込まれるわけではなく、原則として一つの介護休業が終わってから申請します。受け取るまでの生活費は、あらかじめ準備しておく必要があります。

さらに、育児休業と違って介護休業では社会保険料が免除されません。健康保険料と厚生年金保険料の本人負担は続きます。

休業中に会社から賃金が支払われたり、一定以上働いたりした場合は、給付が減額されたり支給されなかったりします。雇用保険の加入期間などの要件もあるため、利用するときは勤務先やハローワークで確認しましょう。

93日は「介護の体制をつくる期間」

Aさんが次に気になったのは期間でした。取得できるのは、対象家族1人につき通算93日までです。

「93日で介護が終わるわけがないですよね」

しかし、介護休業は93日間ずっと自分で介護するための制度ではありません。要介護認定を申請し、ケアマネジャーを探し、利用するサービスを決める。仕事に戻ったあとも介護を続けられる体制を整えるための期間です。

「そういう使い方なんですね。それなら、最初に全部使わない方がいいのかな」

介護休業は3回まで分けて取得できます。

たとえば、まず母の介護体制を整えるために休み、いったん仕事に復帰する。その後、母の状態が変わったら残りの期間を使う、といった取り方ができます。

介護保険の要介護認定を受けていなくても、一定の要介護状態に該当すれば取得できます。認定結果を待つ必要はありません。

給付金は一つの介護休業が終わるごとに申請できますが、休業の取り方によって支給日数が変わることもあります。Aさんは勤務先と相談しながら休み方を決めることにしました。

93日で介護を終わらせるのではなく、93日でその先も続けられる形をつくる。Aさんにとって、介護休業の見え方が変わりました。

退職を決める前に使える制度を確認する

介護と仕事の両立を支える制度は、介護休業だけではありません。

たとえば介護休暇は、対象家族が1人なら年5日、2人以上なら年10日まで取得できます。このほか、一定の要件のもとで残業の免除を請求できる制度もあります。

短時間勤務などは、事業主が定められた選択肢の中から措置を講じることとされているため、勤務先によって利用できる内容が異なります。

介護のために仕事を辞めれば、その後の収入だけでなく、将来受け取る厚生年金にも影響します。

「介護が始まったから退職する」と決める前に、まずは勤務先に相談してみてください。93日の使い方しだいで、仕事を続けながら介護と向き合える道が見つかるかもしれません。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ