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“住宅ローン3,000万円”を30年かけて完済→「これで全部終わった」安心していたが…3年後、60代夫婦を襲った“想定外の事態”

  • 2026.8.27
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こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

住宅ローンを30年かけて払い終えたら、「これで家に関する手続きも全部終わった」と思う人は多いでしょう。ところが、ローンを完済しても、借りたときに設定された「抵当権」の記録は自動では消えません。

今回は、35歳で3,000万円の住宅ローンを組み、65歳で完済した夫婦のケースです。3年後に自宅を売ろうとしたところ、「もう何もすることはない」と思っていたMさん夫婦に、まだ一つ手続きが残っていることが分かりました。

3,000万円を30年かけて完済「これでもう全部終わった」

Mさんは68歳。35歳のころに自宅を購入し、約3,000万円の住宅ローンを組みました。40代は子どもの教育費、50代になると老後のお金も気になり始めましたが、毎月返済を続け、65歳でようやく完済したそうです。

30年間続いた住宅ローンがなくなり、Mさん夫婦は「これで家のローンは全部終わった」と安心しました。完済後には金融機関から書類が届いていましたが、「もう全部返したのだから大丈夫だろう」と考え、詳しく確認せず自宅のファイルにしまっていました。

3年後の売却で発覚「抵当権がまだ残っている?」

それから3年後。子どもも独立し、夫婦2人で暮らすには自宅が少し広く感じるようになりました。2階への上り下りも負担になり、「今の家を売って、もう少し小さな家へ住み替えようか」と考え始めたそうです。

「ローン3,000万円は全部返しました。もう家に借金はないですよね?」

相談の際、私は住宅ローンの残高だけでなく、登記簿も確認しておいた方がよいと伝えました。するとMさんは、「ローンを払い終えたら、銀行の抵当権も自動で消えるんじゃないんですか」と驚いた様子でした。

確認すると、住宅ローンを借りたときに設定された抵当権の記録が、登記簿に残ったままでした。

「30年かけて全部返したのに、まだ残っているんですか?」

ここで注意したいのは、Mさんに借金が残っていたわけではないことです。住宅ローン3,000万円の返済は、すでに終わっています。残っていたのは、「この土地と建物には住宅ローンのための抵当権が設定されている」という登記簿上の記録でした。

ローンを完済しても、登記簿の記録は自動では消えない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

抵当権とは、住宅ローンを返せなくなった場合に備えて、金融機関が土地や建物を担保にするための権利です。

住宅ローンを完済すれば、金融機関へ返すお金はなくなります。ただし、登記簿に載っている抵当権の記録まで自動で消えるわけではありません。

そこで必要になるのが「抵当権抹消登記」です。言葉は難しく見えますが、簡単にいえば、登記簿に残った抵当権の記録を消すための手続きです。

抵当権の記録が残っているからといって、それだけでその家に住めなくなるわけではありません。そのため、「ローンは完済したから大丈夫」と思ったまま、手続きをせずに何年も経つことがあります。

完済後の書類は捨てない 売却時に慌てないために

抵当権を消す手続きでは、住宅ローンの完済後に金融機関から渡される書類などを使います。たとえば、抵当権を解除したことを示す書類や、金融機関の委任状、登記に必要な情報などです。

完済から時間がたつほど、「書類をどこにしまったか分からない」ということも起こりやすくなります。その場合、金融機関へ問い合わせて必要な書類を確認するなど、余計な手間がかかることもあります。

また、抵当権の記録が残っているからといって、それだけで家に住めなくなるわけではありません。ただし、自宅を売却するときには、登記簿に残った抵当権の記録を消す手続きが必要になります。

その不動産を担保に新たな融資を受ける場合などにも、古い抵当権の記録が手続きの妨げになることがあります。Mさん夫婦のように、売却を考えた段階で初めて気づくこともあるため、完済後は早めに手続きを済ませておきたいところです。

抵当権抹消登記の登録免許税は、原則として不動産1件につき1,000円です。たとえば土地1筆と建物1棟なら、合計2,000円となります。

「残高0円」で終わりと思わない

住宅ローンは、最後の返済が終われば「これですべて終了」と思いがちです。しかし、ローンを払い終えることと、登記簿から抵当権の記録を消すことは別です。

完済後は、金融機関から届いた書類を確認し、抵当権を消す手続きまで終わっているか確認しておきましょう。「住宅ローン残高0円」になったら、登記簿も確認する。将来の売却や相続で慌てないためにも、覚えておきたいポイントです。

※事例は制度を分かりやすく説明するため、内容を一部調整しています。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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