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「エレベーターが1機しかないのを何とかして」元ホテルマンが困惑した“無理難題”…現場が頭を抱える「どうしようもない理不尽」

  • 2026.8.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「エレベーターが1機しかないのを何とかして」

大手ホテルチェーンで4年間勤めた経験を持つAさんが、実際に受けたことのあるクレームです。

ホテルに宿泊した際、設備に対して不満を感じてフロントに改善を求めるのは、宿泊客としての当然の権利かもしれません。

しかし、中にはホテル側として「どうにも対応できない」と頭を抱えてしまうような“理不尽なクレーム”も存在するのです。

今回は元ホテルマンのAさんに、そうした切実な現場の実態について話を伺いました。

「エレベーターを増やして」建物の構造に関するクレーム

ホテル勤務時代、特に対応に困惑したクレームにはどのようなものがあったのでしょうか。Aさんはまず、以下の事例を挙げてくれました。

「ホテルの『建物の構造』に関するクレームですね。例を挙げると『エレベーターが1機しかないのを何とかしてほしい』と言われたことがあります」

Aさんは「お客様にご利用いただけるのはそちらの1機のみで、他には非常階段しかございません」と丁寧に説明したそうです。しかし、ご理解いただくのは難しかったといいます。

当然のことながら、建物の構造をその場で作り直すことなど不可能です。Aさんも「こればかりは対応のしようがなく……」と当時を苦笑混じりに振り返ります。

「このドライヤーは嫌だ」すぐには交換できない設備への不満

建物の構造だけでなく、それ以外の部分でも対応に苦慮するクレームは届いていたそうです。

「『このヘアドライヤーのタイプが気に入らないから変えてほしい』など、その場ですぐに変更できない設備に対するご不満は、現場としても『どうすることもできない』ため本当に困ってしまいます」

ホテルの備品は、基本的に全室統一で導入されているケースがほとんどです。すぐに別の種類の備品を用意することは難しく、現場のスタッフとしては「ご期待に沿えず申し訳ございません」と平謝りするほか手がないのが実情だといいます。

ベッドが1つしかない!多発する予約時のミス

設備への不満に加えて、Aさんが「日常茶飯事だったトラブル」として語るのが、お客様ご自身による「予約内容の勘違い」です。Aさんの経験上、特に頻繁に発生していたのがベッドタイプの認識違いでした。

「特に海外からのお客様に多いのですが、ダブルルームとツインルームの違いを正しく理解されておらず、『ベッドが2つある部屋を予約したはずなのに、1つしかないじゃないか!』と主張されるケースです。これは本当に数が多かったですね」

日本では「ダブル=ベッド1台」「ツイン=ベッド2台」という認識が一般的ですが、海外ではこの区別が曖昧な国もあるため、誤解が生じやすいのだといいます。

この場合、根本的な原因はお客様側の「予約ミス」にあります。しかし、現場では「希望した部屋と違う!」というクレームとして、一つひとつ丁寧に対応せざるを得ません。

現場で向き合う「どうしようもない理不尽」

Aさんが直面してきたクレームの多くは、「構造的な限界」や「客側の確認不足」といった、現場スタッフの努力だけでは解決し得ない問題ばかりでした。

「エレベーターを増やしてほしい」「ドライヤーの種類が気に入らない」「予約したのはこの部屋ではない」

それでもホテルスタッフは、目の前にいるお客様の不満に真摯に向き合い、事情を説明し、ときには頭を下げ続けなければなりません。

私たちが旅先で快適なひとときを過ごせる背景には、こうした「どうしようもない理不尽」と日々向き合い続ける、現場スタッフたちの苦労が存在しているのです。


取材協力:元ホテルマンAさん
20代後半の男性。大手ホテルチェーン従業員として4年間のキャリアを経て、現在は旅行業界で勤務している。


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