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19時半に「今ならいるから持ってきて」再配達の依頼…→宅配員が応えたくてもできなかった裏事情

  • 2026.8.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さまこんにちは。元宅配員のmiakoです。

「今からなら家にいるので、このあと再配達をお願いします」
再配達をお願いした経験がある方なら、一度はこんなふうに思ったことがあるのではないでしょうか。

仕事や外出から帰宅して不在票を見つけたとき、「今なら受け取れるのに」と、少しでも早く届けてほしいと感じるのは、ごく自然なことです。

しかし、宅配員の立場からすると、その場ですぐにお応えできないこともあります。

今回は、「今すぐ来てほしい」というお気持ちに応えたくても応えられなかった、ある日の出来事をご紹介します。

再配達には、実は「順番」がある

特に再配達が集中しやすいのは、仕事や学校から帰宅する方が多い18時から21時ごろの時間帯です。
この短い時間に依頼が重なるため、宅配員一人が回れる件数にはどうしても限界があります。

あらかじめ効率よく回れるようルートを組んでいるため、その日の状況によっては、途中で予定外の場所へ向かうことが難しい場合もあります。

代金引換のお荷物と、電話に出なかったAさま

ある日、コレクト便と呼ばれる代金引換のお荷物を届けに向かったときのことです。
指定時間帯は19時から21時でした。

コレクト便のお荷物をお届けする前には、伝票に記載された電話番号へ連絡をしてから伺うことになっています。
この日もルールに従い、今回のお客様であるAさまへ電話をかけましたが、応答はありませんでした。

時刻は19時15分。
この時点で残りの荷物はまだ10個以上あり、ほかのお客様も荷物を待っている状況でした。

私が担当するエリアは山間部で、広大な畑の中に家が点在する農村地域でした。
Aさまのお宅は、その時間帯のルートの中でも営業所から一番遠い場所にあり、Aさまのお宅を起点として営業所へ戻りながら、残りの配達を進める予定でした。

ご不在かどうかは分かりませんでしたが、念のためAさまのお宅へ向かいました。

事前に電話をかけても、電話に出られないお客様はいらっしゃいます。
こちらの電話番号は通知するようにしていますが、知らない番号からの電話を警戒して、在宅であっても詐欺電話かどうかの判断ができず、出ない方もいらっしゃるのです。

そのため、電話に出ないからといって不在と決めつけることはできず、お電話がつながらなかった場合でも、必ず一度はお伺いしています。

到着すると、夜にもかかわらず明かりはついておらず、車庫に車もありません。
チャイムを鳴らして声をかけても返事がなかったため、やはり不在のようでした。

ルールどおり、不在票を入れてその場を離れました。

「今からなら来て」と言われた電話

それから15分ほど経った19時30分過ぎ、携帯電話が鳴りました。

「もしもし、さっき私のところに電話くれたよね。Aだけど」

先ほど伺ったAさまでした。

「今家に着いたのよ。今からならいるから、持ってきてもらえる?」

「今なら受け取れるのに」というAさまのお気持ちは、とてもよく分かりました。

けれど、このとき私はすでにAさまのお宅を離れ、残っているほかのお客様への配達を進めている最中でした。
ここで引き返してしまうと、ほかのお客様にもお約束した時間があり、さらにお待たせしてしまうことになります。

「お電話ありがとうございます。申し訳ございませんが、本日の再配達受付は終了しており、Aさまのお宅からもだいぶ離れてしまっているため、明日以降のお届けとなります」

「えー、そんなの困るんだけど!」

「申し訳ございません。今日のお届けは難しいのですが、明日以降でご都合の良い日はございますか?」
「明日も仕事だし、帰ってこられるのがこの時間なの。帰ったら電話するから、そのとき来てくれる?」

その日の19時以降の配達ルートを決めるのは、当日担当の宅配員です。
そして、この翌日は私ではなく担当が変わるため、細かい時間のお約束をその場ですることはできません。

「明日の配達は、私ではなく別の者が担当となりますので、細かい時間のご指定は明日のドライバーの判断になります。荷物の量によってはご希望に添えない場合もありますので、もしお急ぎでしたら、代金引換のお荷物は営業所でも受け取っていただけますが、いかがでしょうか」

「おたくの営業所ってうちの会社から遠いのよね。最終の指定がこの時間しかないんだったら、とりあえず明日の19時以降にしておいて。できれば20時ごろなら確実にいるから、それくらいに来てもらえると助かるわ。20時過ぎなら21時を過ぎてもいいから」

応えたくても、応えられなかった理由

Aさまが、配達しやすいよう時間まで考えてくださったお気持ちは、とてもありがたいものでした。

ただ、問題はAさまのお宅の場所にありました。

営業所に近い場所であれば、配達の最後に立ち寄ることもできたかもしれません。
しかし、Aさまのお宅は営業所からかなり離れており、時間指定という決められた枠の中で、最後にAさまのお宅を組み込むルートを作るのは簡単なことではありませんでした。

すべての配達を終えてから改めてAさまのお宅へ向かうとなると、それまで走ってきた道を引き返すことになり、労働時間の面でも難しくなってしまいます。

宅配の仕事では、一度決めた配達ルートどおりに進められるかどうかで、その日の配達の流れが大きく変わります。
途中で何度もルートを変更すると、その後の配達にも影響が出てしまい、結果としてほかのお客様をさらにお待たせしてしまうこともあります。

一方で、お客様が「今なら受け取れる」と連絡をくださるお気持ちも、現場で働いていた私にはよく分かります。
だからこそ、「できることなら今すぐ届けたい」という思いと、「ほかのお客様とのお約束も守らなければならない」という現実との間で、何度も悩みながら判断していました。

お客様のご希望をかなえたい気持ちと、すべてのお客様へできる限り公平に荷物をお届けしたいという責任。
その板挟みになりながら、一件一件対応していたことを今でもよく覚えています。

「引き継ぎの際に、明日20時以降のご希望とお伝えはしておきますが、当日の荷物の量やルートによっては、必ずしもご希望に添えるとは限りませんので、その点だけご承知おきください」

そうお伝えすると、Aさまは渋々ではありましたが、承諾してくださいました。

営業所に戻ってからAさまのお荷物を保管し、ご希望の時間帯を引き継ぎのデータに入力し、念のため伝票にも手書きで「20時過ぎ配達希望」と書き入れました。

翌日の担当者が、Aさまのご希望どおりにお届けできることを願いながら、その日の業務を終えました。

再配達をお願いするときに、知っておいてほしいこと

再配達を希望される方の多くは、忙しい毎日の中で、ようやく荷物を受け取れる時間を見つけて連絡をくださっています。
そのお気持ちは、宅配の現場にいた私自身もよく分かります。

ただ、再配達にも一件ずつ順番があり、その日のルートや残りの荷物の量によっては、どうしてもすぐにお伺いできないことがあります。

もし急ぎで受け取りたいお荷物がある場合は、営業所での受け取りや、受け取れそうな時間帯を複数伝えておくことで、対応してもらいやすくなることもあります。
クール便や支払いの発生しないお荷物であれば、コンビニ受け取りや宅配ロッカーを利用できる場合もあります。

「今ならいるから来てほしい」というそのお気持ちは、宅配員もきっと理解しています。

だからこそ、お互いの事情を少しだけ知ることで、宅配員にとっても、お客様にとっても、気持ちよく荷物を受け渡せる場面が増えていくことを願っています。



ライター:miako
宅配ドライバーとして10年以上勤務した経験を生かし、現場で出会った人々の温かさや、働く中で積み重ねてきた"宅配のリアル"を、経験者ならではの視点で綴っています。
荷物と一緒に交わされてきた小さなエピソードを、今は文章としてお届けしています。


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