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「あの子、お菓子で媚びてるよね」慕われていた先輩が漏らした本音。だが、本人に聞かれ絶句

  • 2026.7.26

裏表のない人だと思っていた

職場でいちばん慕われていたのは、にこやかなあの先輩だった。

誰にでも優しく、後輩の面倒見もいい。仕事で落ち込んでいると、決まって温かい言葉をかけてくれる。私も新人の頃から、ずっと憧れていた一人だった。

「焦らなくていいよ、少しずつでいいから」

その柔らかな声に、何度励まされたかわからない。

「差し入れ、みんなで食べてね」

隣の課の若い社員が、よくお菓子を配って回っていた。人見知りな彼女なりの、職場になじもうとする努力だった。先輩も、いつも笑顔で受け取っていた。

「気がきくね、ありがとう」

そんな二人のやり取りを、私は微笑ましく眺めていた。この人がいる限り、この職場に嫌な人なんていない。誰と話しても角が立たず、みんなが安心して頼れる存在だった。そう思い込んでいた。

給湯室で崩れた笑顔

ある昼下がり、給湯室の前を通りかかると、中から先輩の声がした。もう一人の先輩と、何か話し込んでいる。

「あの子、お菓子で媚びてるよね」

聞き慣れた優しい声が、そう吐き捨てた。先ほどお菓子を配っていた、あの若い社員のことだ。

「ああやって点数を稼いでるだけ。見え見えで白けるわ」

もう一人が同調すると、先輩の口はさらに滑らかになった。

「正直、この職場の人間はみんな苦手」

優しさの裏に隠していた本音が、次々とあふれ出す。私は、その場に凍りついた。

その時だった。給湯室の入り口に、当の若い社員が立っているのが見えた。空になった菓子の箱を手にしたまま、身動きひとつできずにいる。今の言葉を、最初から聞いてしまったのだ。

気配を察した先輩が振り向き、彼女と目が合う。にこやかだった顔から、一瞬で表情が消えた。

「あ……ちが……」

言葉にならない声を漏らしたきり、先輩は絶句した。取り繕う笑顔も浮かべられず、ただ立ち尽くすばかり。相づちを打っていた先輩も、青ざめて下を向いた。

「お菓子、もういりませんよね」

若い社員は静かにそう言って、箱を給湯室の隅に置き、去っていった。残された二人は、かける言葉も見つからないようだった。

同僚のひとりが、ぽつりとつぶやいた。

「あの笑顔、こわいね」

この出来事は、あっという間に職場へ伝わった。翌日から、先輩の周りからは潮が引くように人がいなくなった。

誰もが表向きは今まで通りに接しながら、心の中では一線を引いている。廊下で会っても、目を合わせようとしない。いちばん好かれていた人は、いちばん人から離れられる人になっていた。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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