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「話が違うだろう。この時間は半額だ」レジで文句を言う客。だが、店長の一言で状況が一変

  • 2026.7.28
「話が違うだろう。この時間は半額だ」レジで文句を言う客。だが、店長の一言で状況が一変

値引きシールをめぐる押し問答

近所のスーパーへ夕方の買い物に出かけた日のことです。

レジに並んでいると、ひとつ前の同年輩の男性が急に声を張り上げました。

「おい、これ半額じゃないぞ」

手にしていたのは、値引きシールの貼られた惣菜でした。

「半額シールを見せろ、貼り忘れだ」

レジにいたのは若い女性店員です。驚きながらも、丁寧に頭を下げて説明を始めました。

「申し訳ございません。こちらは元の価格から3割引のシールが貼られておりますので、このお値段になります」

「そんなわけあるか。この時間はいつも半額だろう」

「本日は3割引でのご案内となっております」

「客を騙すのか。店長を呼んで来い」

男性はそう言って、レジ台を平手で叩きました。ぱん、と乾いた音が売り場に響きます。

それから10分、押し問答は続きました。店員が説明するたびに声は大きくなり、そのつど台を叩くのです。

後ろには私を入れて5人が並んでいましたが、誰も何も言えません。

私も割って入る言葉を探しては飲み込むばかりでした。

店長が差し出した一枚の紙

奥から早足でやってきたのは、五十くらいの男性店長です。

店員の横に立つと、まず客のほうへ静かに一礼しました。

「お待たせいたしました。ご説明いたします」

「話が違うだろう。この時間は半額だ」

店長は声を荒げません。手にしていた一枚の紙を、そっとレジ台に置いたのです。

「値引きのシールは、その日の残り数と時間で率が変わります。半額になる時刻の決まりはございません。こちらが本日の値引き記録です」

紙には、時刻と品目と割引率が並んでいます。男性は顔を近づけ、それきり黙りました。

「本日のこちらの品は3割引でお出ししております。貼り忘れではございません」

後ろに並んでいた誰かが、小さくうなずきました。

ひとりがうなずくと、隣もうなずきます。私も気がつけば同じようにしていました。

「……いや、俺は前に半額で買ったことが」

「日によって率は変わります」

そこで言葉が途切れました。台を叩いていた手が、今度は自分の財布を探しています。

会計のあいだ、ひと言もありません。

袋を受け取ると、こちらを見ないまま出口へ歩いていきます。10分も怒鳴り続けた人とは思えない背中でした。

店長は、姿が見えなくなってから店員に向き直りました。

「よく最後まで同じ説明を通したね。あれでよかったよ」

「……はい」

「疲れただろう。少し休んでおいで」

私の番が来たとき、店員はもう背筋を伸ばしていました。品物を通す手つきは、変わらず丁寧でした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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