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「今日だぞ、記念日!」楽しみにしていた記念日を流された夫。3日後、夫が伝えた本音とは

  • 2026.7.24
「今日だぞ、記念日!」楽しみにしていた記念日を流された夫。3日後、夫が伝えた本音とは

一か月前から押さえた席

結婚記念日に妻と食事へ行こうと決めたのは、一か月ほど前のことでした。

「たまには焼肉でも行くか。この歳になると、そうそう食べられなくなるしな」

「あら、いいわね。じゃあ、おいしいお肉のところにしましょうよ」

その一言がうれしくて、私は自分で店に電話をかけました。

窓際の席が空いていると聞いて、迷わず二人分を押さえたのです。

それから当日までの数週間、カレンダーのその日には丸をつけて、何度も眺めていました。

仕事の帰りに店の前を通っては、少し得意な気持ちになったものです。

当日の朝も、いつもより早く目が覚めました。着ていくシャツにアイロンをかけていると、妻が台所から顔を出したのです。

「焼肉の予約、また今度でいいよね」

アイロンを持つ手が止まりました。

「今日だぞ、記念日!」

「友達に誘われちゃって。もう行くって返事しちゃったの」

妻は悪びれる様子もなく、そう言いました。長く連れ添った相手ですから、意地悪で言っているのではないことは分かります。

分かるからこそ、何と返せばいいのか分かりませんでした。

保留音を聞きながら

店に電話をかけると、しばらく保留音が流れました。やけに軽やかな曲でした。

「申し訳ありません、今日はキャンセルでお願いします」

受話器を置いてから、居間の椅子にしばらく座っていました。

窓際のあの席には、今夜、別の誰かが座るのでしょう。

妻は鏡の前で髪を直しながら、こちらを振り返りました。

「そんなに楽しみだったの?」

「……いや、そういうわけじゃないが」

そう答えたのは、たぶん見栄でした。

「日をずらすだけじゃない」

妻は笑って、玄関を出ていきました。戸の閉まる音のあと、家の中が急に広くなった気がしたのです。

その夜は、一人で食事を済ませました。冷蔵庫にあった煮物を温めて、テレビをつけて。音を大きくしても、箸が茶碗に当たる音のほうがよく聞こえました。

自分の気持ちを口にできたのは、三日ほど経ってからです。楽しみにしていたこと、当日に流されたのがこたえたこと。順番に、ゆっくり話しました。

「そんなに大事にしてたなんて、思わなかったの」

「言わなかった俺も悪い。でも、次からは先に相談してくれないか」

「…わかった。ごめんなさい」

それからは、お互いに大事な予定を勝手に変えないと約束しました。妻は私の予定を先に聞くようになりましたし、私も妻の約束を尊重するようになりました。

それでも、あの日のことを思い出すと、いまだに座りの悪いものが胸に残ります。丸をつけたカレンダーは、まだ捨てられずに引き出しの中です。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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