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「香典だけ置いて、分け前は諦めろ」酔った叔父がふと見せた本性。翌朝、叔父の発言に絶句

  • 2026.7.22

長老が帰るまでは、ただの宴席だった

年に一度、親戚が集まる法要の席でした。座敷には二十人ほどが車座になり、卓には酒瓶が何本も並んでいます。

上座に座るのは、親族の最年長である長老です。九十を過ぎても背筋がまっすぐで、昔から私を何かとかわいがってくれました。

「おまえは、ようここへ顔を出してくれるなあ」

「近所ですから。また様子を見に寄りますね」

長老は満足そうにうなずいて、九時前に腰を上げました。玄関先で見送り、車が角を曲がるまで手を振ります。

座敷へ戻ると、男性陣の顔はもう赤く染まっています。ビールが日本酒に変わり、声の大きさもひとまわり上がっていました。

誰かが手拍子を始め、笑い声が天井に反響しています。

「おい、こっちにも一本つけてくれ」

私はお盆を抱えて、席のあいだを回りました。毎年と同じ、ただにぎやかな夜になるはずだったのです。

酔いがはがした素顔

叔父の前で徳利を差し出したとき、その手首を、いきなり掴まれました。

「まあ、そこに座れ」

膝をつくと、叔父はぐいと顔を寄せてきます。酒のにおいが、まともに鼻をつきました。

「遺産分割になるにせよ、あんたは関わるでないぞ」

何の話なのか、すぐには飲み込めませんでした。長老は元気そのもので、相続の話など、この家の誰も口にしたことがありません。

「…どういう意味ですか」

叔父は、目だけまったく笑わないまま、声を落として続けました。

「香典だけ置いて、分け前は諦めろ」

「少しでも自分の取り分があると思うなよ」

座敷のざわめきが、すうっと遠のきました。長老にかわいがられている。

ただそれだけのことを、この人は何年も数えていたのだと分かったからです。掴まれた手首だけが、じっとりと熱いままでした。

「叔父さん、飲みすぎですって」

隣の従兄が笑って肩を叩くと、叔父はへらりと表情を崩し、また手拍子の輪へ戻っていきます。

何事もなかったように、宴席の夜は流れていきました。

翌朝、台所で顔を合わせた叔父は、いつもどおりの穏やかな人でした。

味噌汁の鍋をのぞきながら、こちらを振り返ります。

「ゆうべ、俺は何か言ったか。さっぱり覚えとらん」

「いえ、何も」

そう答えるのが、精一杯でした。覚えていないのなら、あれは酒のせいなのでしょうか。それとも、酒が蓋を外しただけで、あの言葉こそがこの人の素顔なのでしょうか。

あれから、親戚の集まりに行くたび、私は叔父の笑顔を見ます。穏やかに酌をしてくれる、あの顔です。その下にあの夜の目が沈んでいると思うと、今も背中が冷たくなるのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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