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「3千円のステーキ弁当、美味しそうでしょ」熱で寝込む妻を置いて自分だけ食べた夫。数日後、夫が頭を下げたワケ

  • 2026.7.20

熱の妻を置いて、一人で食べた夫

三十九度近い熱で、私は朝から布団から出られなかった。

共働きなのに、家事はほとんど私が回している。それでもその日は、夫が珍しく気を利かせてくれた。

「夕飯は俺が買ってくるから、寝てなよ」

ありがたかった。うどんでもおかゆでも、喉を通るものがあれば十分だった。

夜、玄関からレジ袋の音がして、続いて肉の焼けた匂いが漂ってきた。

ふらつきながら台所へ行くと、テーブルには黒い折の弁当が一つだけ。厚いステーキが敷き詰められている。

「3千円のステーキ弁当、美味しそうでしょ」

誇らしげにそう言って、夫は箸を割った。

「私のは?」

「熱あるから食欲ないでしょ。買っても無駄じゃん」

無駄。その一言が、熱よりも重く落ちてきた。

自分には3千円の贅沢をして、寝込んでいる妻にはゼリー一つ買ってこない。

帰り道にコンビニは何軒もあったはずだ。それでも夫の頭には、自分の夕飯のことしかなかった。

「聞いてくれれば、頼めたけど」

「あー、まあ、次からね」

夫は肉を頬張りながら、テレビに目を戻した。

私は台所で水を一杯飲み、そのまま寝室に戻った。

シンクに溜まった、夫の皿だけ

翌朝、熱は引いた。

代わりに、私は決めた。

夫の世話を一切やめると。

夫の弁当は作らない。

夫の洗濯物はカゴに残す。

夫の使った皿はシンクに置いたまま。自分の分だけを、いつも通りきちんと片づけた。

最初の二日、夫は何も言わなかった。

三日目の朝、空の弁当箱を手に立ち尽くしている。

「なあ、今日の弁当は?」

「食欲ないと思って、作らなかったの」

夫の顔から、すっと表情が消えた。

その夜、しわだらけのシャツの山と、皿の山を前に、夫はようやく口を開いた。

「これ…俺のだけ、残ってる?」

「そうですね。私の分は済んでます」

言い返そうとして、夫は言葉を探した。探して、見つからず、口を閉じる。何か言いかけて、また黙る。台所には、蛇口の水音だけが響いていた。

四日目、夫は仕事帰りに弁当を二つ買ってきた。3千円のステーキではなく、二人分で3千円に収まる、普通の弁当だった。

「一緒に食べよう。この前は、俺が最低だった」

そう言って、テーブルに額がつきそうなほど頭を下げた。

「一人で決めないでください。それだけです」

私は許すとは言わなかった。夫はしばらく、私の顔を見られなかった。

今では、夫は買い物の前に必ず連絡をよこす。「何が食べられそう?」「どれくらいの量?」

あの3千円の弁当以来、夫が私の分を忘れたことは一度もない。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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