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「腹減った、飯はまだ作れないの」16週でつわりの私を急かし続けた夫→私がついに返した本音

  • 2026.7.19

玄関から飛んでくる催促

玄関のドアが開く音がすると、体が勝手に強張るようになりました。

「腹減った、飯はまだ作れないの」

靴を脱ぎながら、夫が台所をのぞき込みます。何も乗っていないコンロを見て、あからさまにため息をつくのです。

妊娠16週。

つわりで、夕方はいちばん動けない時間帯でした。

「なんとなくだるいって、それ理由になる?」

説明しようとするたび、うまく言葉が出てきません。頭が重い、おなかが痛い。

そのどれもが、曖昧に響いてしまうのです。

「で、今日は何してたの?」

洗濯も掃除も、休み休みでも済ませていました。それでも夫の目には、何も映っていないようでした。

体の変化で気持ちが荒れるのも、自分では止められません。それを話しても、返ってくるのは同じ言葉でした。

「そういうの、こっちも腹立つんだけど」

夫の担当は、猫のトイレと週に一度のお風呂洗いだけ。それきりでした。

乾いた洗濯物がいつ取り込まれているのか、床の埃が誰の手で消えているのか、考えたこともなかったのでしょう。

そんな夫が、おなかの目立ち始めた夜にソファへ寝転んだまま、当たり前のような顔で言ったのです。

「産後もこの家でいいだろ。俺が仕事から帰って育児すれば回るって」

カレンダーの余白

その日、私は初めて言い返しました。壁からカレンダーを外して、食卓に広げたのです。

「じゃあ書こう。あなたが帰ってから寝るまでの育児、何時から何時?」

夫がペンを受け取ります。けれど、先が紙に触れません。

「……十時から、寝るまで?」

「授乳は三時間おきだよ。夜中の二時も、五時もある。どれを持つ?」

夫の手が止まりました。

「沐浴も洗い物も寝かしつけも毎日。今のあなたは、猫のトイレとお風呂洗いで一週間だよね」

「……そんなに、あるのか」

声がかすれていました。数字の並んだ余白から、夫は目を離せずにいます。青ざめた顔で何か言おうと口を開きかけ、けれど言葉が続かず、最後は小さく首を振ってうつむいてしまったのです。

「16週の私が飯を出すのが遅い、そういう話だった?」

「……違う。悪かった」

私が返したのは、たった一声でした。それだけで、見えていなかったものが夫の前に並んだのです。

その夜から、夫は帰宅するとまず台所に立つようになりました。カレンダーは、食卓の壁にそのまま貼ってあります。

飯はまだ、と急かす声はもう聞こえません。ドアを開けた夫が最初に言うのは、私の顔色を見てからの「座ってて」に変わったのでした。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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