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「バイクの音、1日3回は通るのよ」近隣住民との世間話。だが、気づいた時にはクレーマーに仕立て上げられていた

  • 2026.7.17

世話好きな人の相談ごと

近所の女性は、根っから世話好きな人だった。

ある朝、私が庭先にいると、垣根ごしに声をかけてきた。

「バイクの音、1日3回は通るのよ」

近ごろ向かいに越してきた若い夫婦が、旧車のバイクを走らせている。

彼女はそれが気に障るらしかった。

私も音そのものは知っていたが、窓を閉めれば済む程度で、目くじらを立てるほどではない。

それでも、真っ向から言い返して機嫌を損ねるのも面倒だ。この人と正面からやり合っても、いいことは何もない。

私は当たり障りなく「気になる方は、落ち着かないでしょうね」と受け流した。

ほんの相槌、その場をおさめるためのひとことのつもりだった。

彼女は「そうよねえ」と満足げにうなずいて、その場を離れていった。

私は特に気にも留めず、庭仕事の続きに戻った。まさか、この何気ないやりとりが、面倒ごとの火種になろうとは、このとき思いもしなかったのだ。

50代の男が解いた一言

ところが数日後から、若夫婦の様子がおかしくなった。すれ違っても目を合わせず、こちらの挨拶にも短く返すだけ。

以前の気安さが、すっかり消えている。

訳を知ったのは、顔なじみの隣人からだった。あの近隣の女性が町内会長のところへ出向き、「バイクの音で眠れない人がいる。

越してきた若夫婦に注意してやってほしい」と頼んだのだという。

そして、その"眠れない人"が、なぜか私ということになっていたらしい。ただ相槌を打っただけの私の言葉が、人づてに伝わるうちに、いつのまにか「苦情」へと化けていたのだ。

五十を過ぎて、身に覚えのない陰口の主に仕立て上げられるのは、さすがにこたえた。

このまま黙っていれば、若夫婦には陰で悪口を言う嫌な隣人だと思われ続けるだろう。事態はこじれる一方だ。

私は腹をくくり、若夫婦の家のインターホンを押した。

出てきた夫に、私は順を追って説明した。自分は苦情など口にしていないこと、世間話がねじ曲がって伝わったであろうこと。

彼は半信半疑の顔をしていたが、最後には肩の力を抜いた。

「実は、急に注意されて、何が悪かったのかと悩んでいたんです」

そう打ち明けてくれた。私はあらためて行き違いを詫び、彼のほうも「夜遅い時間は気をつけます」と歩み寄ってくれた。

後日、近隣の女性にも角の立たないよう事実を伝え、伝言の食い違いを正しておいた。

おかげで、若夫婦とはかえって親しく口をきくようになった。面と向かって話す、ただそれだけのことが、こじれかけた縁を結び直してくれたのだった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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