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【なぜバクーには謎建築がこんなに多いのか?】ドラマ「VIVANT」 続編のロケ地・アゼルバイジャンは"未来都市"だった!

  • 2026.7.12

2026年7月26日(日)に放送がスタートするドラマ『VIVANT』続編。その舞台のひとつとして登場するアゼルバイジャンの首都・バクーは、PR映像が公開されるや否や「CGみたいな街」「あの近未来的な建物は何?」と話題を集めています。実は、バクーは世界でも有数の“建築都市”。歴史ある旧市街のすぐ隣に、炎や波、カーペットなど、この国ならではの文化や自然をモチーフにした個性的な建築が立ち並び、まるでSF映画のような景観をつくり出しています。なぜバクーには、これほどまでにユニークな建築が集まっているのでしょうか。その理由は、石油大国として発展した歴史や、独立後に進められた国家ブランディング、そして「火の国」と呼ばれるアゼルバイジャンならではのアイデンティティにありました。今回は、ドラマ『VIVANT』の新シリーズのロケ地として注目されるアゼルバイジャン・バクーで、ぜひ訪れたい“謎建築”を巡りながら、そのデザインに込められた意味を読み解いていきます。


 

※渡航の際は「外務省 海外安全ホームページ」 などで最新情報を確認の上、ご検討ください。

VIVANTで注目!「火の国」と石油大国が生んだ未来都市・バクー

アゼルバイジャンの首都・バクーは、カスピ海に面した人口約200万人規模の都市です。中世の街並みが残る旧市街と、近未来的な超高層ビル群が徒歩圏内で共存する世界でも珍しい都市として知られています。

アゼルバイジャンは古くから「Land of Fire(火の国)」という愛称で知られています。その理由は、地下に豊富な天然ガスが眠り、地表から漏れ出したガスが自然発火する現象が各地で見られたためです。古代には、この絶えることのない炎を神聖なものとして崇める人々もおり、拝火信仰が根付いていました。現在でもバクー近郊には、天然ガスによって燃え続ける丘や、火を祀った神殿が残り、この国ならではの歴史を今に伝えています。

一方、バクーは19世紀後半から世界有数の産油都市として急速に発展しました。カスピ海沿岸で石油開発が進むと、世界中から技術者や投資家が集まり、当時は世界の石油生産量の半分近くを担った時期もあったといわれています。

その豊かな資源は、現在もアゼルバイジャン経済を支える重要な柱です。こうした「炎」と「エネルギー」の歴史は、現代の街づくりにも色濃く反映されています。炎をモチーフにした超高層ビルや、エネルギーの流れを表現した建築が数多く建てられているのは偶然ではありません。バクーの建築は、この国の歴史や文化を映し出す"シンボル"としてデザインされているのです。

ドラマ『VIVANT』続編の映像に登場した街並みも、新旧が融合した景観の一部。世界遺産である石畳の歴史地区から数分歩くだけで、曲線を描く文化施設や炎を模した高層ビルが現れます。そのギャップは他の国ではなかなか見られない景色で、観光客にも人気を博しています。この様子から、「未来都市」と呼ばれるほど。

バクーで見たい"謎建築"7選 実はすべて意味があった

未来都市のような景観をつくるバクーの建築は、奇抜さを狙ってデザインされたわけではありません。その多くは、「炎」「海」「風」「カーペット」など、アゼルバイジャンの自然や文化、歴史をモチーフに設計されています。

建物の形には、この国が歩んできた歴史や未来への思いが込められており、その背景を知ることで見え方は大きく変わります。ここでは、バクーを代表する7つの建築を取り上げ、それぞれのデザインに込められた意味とともに、その魅力を紹介します。

フレイム・タワーズ|「火の国」を象徴するランドマーク

バクーの街を見渡すと、真っ先に目に飛び込んでくるのが3本の高層ビルからなるフレイム・タワーズです。VIVANTのPR映像でも印象的に映っています。

その名の通り、建物全体が燃え上がる炎をイメージしたデザインとなっており、「Land of Fire(火の国)」というアゼルバイジャンの愛称を象徴しています。前述したように、古くからこの地域では天然ガスが地表から噴き出し、自然発火する現象が見られたことから、火はこの国の文化や信仰と深く結び付いてきました。

夜になるとLEDライトによって建物全体が炎のように揺らめき、バクーの夜景を代表するランドマークになります。

フレイム・タワー

所在地 9R5G+RCX, Bakı, アゼルバイジャン

ヘイダル・アリエフ・センター|波のように流れる世界的名建築

白く滑らかな曲線だけで構成されたような建物は、世界的建築家のザハ・ハディドによる代表作です。日本では、新国立競技場の当初デザインを手掛けた建築家として話題になった人物です。流れるような曲線を生かした未来的な建築で知られ、「建築界の女王」とも称されました。ヘイダル・アリエフ・センターは、その代表作の一つとして世界中から建築ファンが訪れています。

直線をほとんど使わない大胆なデザインは、波や風、大地のうねりなど自然の流れを表現。ソ連時代の画一的な建築とは対照的な自由なフォルムは、「未来へ向かう新しいアゼルバイジャン」を象徴する存在でもあります。

館内は単なる展示施設ではなく、美術展や現代アートの企画展、歴史・文化を紹介する展示、コンサートや国際会議などが開催される複合文化施設です。アゼルバイジャンの伝統文化から最先端の芸術まで幅広く発信しており、「この国の文化の発信拠点」として国内外から多くの人が訪れています。外観だけでなく、ぜひ館内にも足を運びたい建築です。

ヘイダル・アリエフ・センター

所在地 1 Heydər Əliyev prospekti, Bakı 1033 アゼルバイジャン

営業時間 火曜日から金曜日 10:30~18:00

土曜日、日曜日 10:30~17:00

定休日 月曜日

アゼルバイジャン・カーペット博物館|巨大なカーペットを巻いたような建物

海沿いに建つこの博物館は、遠くから見ると巨大なカーペットが巻かれているように見えるユニークなデザインが特徴です。アゼルバイジャンは古くからカーペット織りが盛んな国で、その伝統技術はユネスコ無形文化遺産にも登録されています。建物そのものを巨大なカーペットに見立てることで、国を代表する文化を建築で表現しています。

館内には17世紀から現代までの貴重なカーペットや織物が数多く展示されているほか、地域ごとに異なる文様や色彩の特徴も紹介されており、観光地の1つ。タイミングが合えば、職人による手織りの実演を見学できることもあり、アゼルバイジャンの伝統工芸を間近で体感できるスポットです。

Azerbaijan Carpet Museum

所在地 28 Mikayıl Hüseynov Prospekti, Bakı 1000 アゼルバイジャン

営業時間 火曜から金曜日 10:00~18:00

土曜日、日曜日 11:00~19:00

休館日 月曜日

Dəniz Mall|カスピ海に浮かぶ"花"のような近未来ショッピングモール

カスピ海沿いを歩いていると、ひときわ目を引くのがDəniz Mallです。上空から見ると巨大な花が開いたようにも、海に浮かぶ貝殻のようにも見える独創的なフォルムで、バクーを代表する現代建築の一つとなっています。「Dəniz」はアゼルバイジャン語で「海」という意味。その名の通り、カスピ海との一体感を意識したデザインが特徴で、ガラス張りの外観は時間帯によってさまざまな表情を見せます。

館内には世界的ブランドショップやレストラン、カフェ、映画館などが入り、観光の合間に立ち寄るスポットとしても人気です。筆者は飲み物を買いに行ったり、観光の合間のお手洗いスポットとしても重宝しました。夜にはライトアップされ、未来都市・バクーを象徴する景観の一つとなっています。

Dəniz Mall

所在地 26b Mikayıl Hüseynov Prospekti, Bakı, アゼルバイジャン

営業時間 10:00~23:00

SOCARタワー|エネルギー大国を象徴する本社ビル

SOCARはアゼルバイジャン国営石油会社。その本社ビルは、ガラスがねじれるような独特のフォルムが印象的です。石油や天然ガスによって発展してきた国の歴史を背景に、建物は炎やエネルギーの流れをイメージして設計されたともいわれています。

単なるオフィスビルではなく、この国の経済発展そのものを象徴する建築です。空港とバクーを繋ぐ幹線道路沿いにあるのでお見逃しなく。

SOCARタワー

所在地 113 Heydər Əliyev prospekti, Bakı, アゼルバイジャン

ポート・バクー・タワーズ|港町から国際都市へ

写真左側の建物

カスピ海沿岸で進められた再開発エリア「ポート・バクー」の中心に建つ高層ビル群です。ガラス張りの洗練されたデザインは、かつて石油輸出で栄えた港町から、国際都市へと発展を遂げるバクーの新たな姿を象徴しています。

周辺には高級ホテルやレジデンス、ショッピング施設、レストランなどが集まり、ビジネスと観光の新たな拠点として発展を続けています。近代的な街並みの背後には、世界遺産の旧市街が広がっており、歴史と未来が同じ景色の中で共存するバクーらしさを実感できるエリアです。

夜景が印象的

Port Baku Towers

所在地 151 Neftçilər Prospekti, Bakı, アゼルバイジャン

クレセント・ベイ|未来を描く三日月の街

カスピ海沿岸で進められている大規模都市開発プロジェクトがクレセント・ベイです。その名の通り、三日月(クレセント)をモチーフにした都市デザインが特徴で、高層ビルやホテル、商業施設、オフィスなどが一体となった新しい街づくりが進められています。

現在も開発が続いていますが、完成すればバクーを代表するウォーターフロントになると期待されています。伝統的な街並みを守りながら、新しい都市空間を生み出そうとするアゼルバイジャンの都市戦略を象徴するプロジェクトであり、「未来都市・バクー」が今なお進化を続けていることを感じられる場所です。

Crescent Bay Baku

所在地 64 Neftçilər Prospekti, Bakı 1010 アゼルバイジャン

なぜバクーには個性的な建築が多いのか?

街を歩いていると、「なぜこんなにユニークな建物ばかりなのだろう」と不思議に感じるかもしれません。その背景には、大きく3つの理由があります。一つ目は、石油・天然ガスによる豊かな資源です。19世紀後半から石油産業で発展したバクーは、その経済力を生かして都市開発を進めてきました。

二つ目は、1991年の独立です。ソ連から独立したアゼルバイジャンは、「新しい国家像」を世界に発信するため、世界的建築家を招き、都市そのものをブランド化するプロジェクトを推進しました。

そして三つ目が、「火の国」というアイデンティティです。炎や風、波、カーペットなど、アゼルバイジャンを象徴するモチーフを現代建築に取り入れることで、この国ならではの景観が生まれました。

つまり、バクーの建築は奇抜さを競っているのではなく、国の歴史や文化、未来へのビジョンを表現する"建築による自己紹介"なのです。

VIVANTをきっかけに、建築からアゼルバイジャンを知る旅へ

ドラマ『VIVANT』続編をきっかけにアゼルバイジャンへ興味を持ったなら、ぜひバクーの建築にも目を向けてみてください。一見すると不思議な形に見える建物も、その背景を知ることで、この国の歴史や文化、そして未来への思いが見えてきます。

「なぜこの形なのか」を知りながら街を歩けば、バクーは単なるロケ地ではなく、建築そのものが物語を語る"屋外ミュージアム"のように感じられるはずです。ドラマの世界観を追体験しながら、未来都市・バクーならではの景観をぜひ体感してみては?


 

©︎Keiko Morota

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