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スランプ中の小説家の前に現れたのはゴシップ好きの女性編集者! 意外な言葉をかけてくる彼女とともに、新たな作品を書き上げることはできるのか?【書評】

  • 2026.7.11

【漫画】本編を読む

『空五倍子先生の書けない生活』(本田/新潮社)は、書きたいのに書けなくなってしまった小説家と新しく担当となった文芸編集者が再生を目指す、執筆リハビリコメディだ。

主人公は小説家・空五倍子唯生。デビュー小説「再生」がいきなりヒットし、将来を期待された新人作家だった。しかし、その後の彼に待っていたのは長いスランプだった。何も書けず、何にも感動できない。自分のことを「無用な存在」のように感じてしまうほど心は折れていた。

そんな唯生の前に現れたのが、新しく担当となった文芸編集者・縹ちとせだ。やわらかな雰囲気をまとった彼女は、書くことから遠ざかっていた唯生に再び筆を持たせようとする。しかし唯生を励ましてくれたと思いきや、その後に彼女が語り出したのは出版業界のひどい話、つまりゴシップの数々だった。作家の心を動かすきっかけが美しい言葉ではなく生々しい噂話というところに本作の面白さがある。だがスランプの解消に関係がなさそうに感じるその言葉の裏には、確かに「この人の作品をもう一度読みたい」という編集者としての熱さを感じるのだ。そんな作家と編集者が単なる仕事相手ではなく、素晴らしい作品を生み出すために並走する関係として描かれているところも見どころである。

また、マルチに活躍する売れっ子作家や饒舌な関西弁のホラー作家、性豪として知られる大御所作家など、クセの強いキャラクターが登場するのも本作の魅力だ。彼らのエピソードは笑える一方で、創作を続けることの苦しみと、書くことを生業にしている人の業を伝えてくるのだ。

クリエイティブな仕事をしている人にとっては共感する部分があり、もし唯生と同じ悩みを抱えていたら現状を変えるヒントを得られるかもしれない。そしてそういう業界にいない人も、ふたりの姿を見て明日への活力をもらえるはずだ。

文=ゆくり

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